「 異変続出、習主席に精神の不安か 」
『週刊新潮』 2023年10月12日号 日本ルネッサンス 第1068回 「習近平の精神状態はおかしい。尋常じゃない」 産経新聞台北支局長の矢板明夫氏が語った。確かに中国はおかしい。元々異形の国ではあるが、理解し難いことが多発している。外相に続いて国防相も突然姿を消した。中国軍の最強部隊、ロケット軍もトップ2人が突如解任され、今や組織としては機能し得ない大混乱の中にある。 一体全…
「 核なき世界への道は現実重視から 」
『週刊新潮』 2023年10月5日号 日本ルネッサンス 第1067回 ロシアに不条理に攻めたてられ、必死に戦っているウクライナの在り様は他人事とは思えない。彼らの直面する問題は、ロシアを中国に、ウクライナを日本に置きかえれば日本の問題そのものである。だからこそ、力を持たない国の悲劇という点で、日本はもっと学ばなければならない。 ウクライナのゼレンスキー大統領は9月19日、国連総会で演…
「 対中投資が日本の首を絞める 」
『週刊新潮』 2023年9月28日号 日本ルネッサンス 第1066回 安倍晋三元総理が目指したデフレ脱却の重要性を、産経新聞編集委員の田村秀男氏が『米中通貨戦争』(育鵬社)で明解に示している。 デフレ下では物価は下がり続けるため、おカネは長く持っていればその分、価値が上がる。結果、人々はおカネを使わず、国内需要は伸びない。日本経済は中国などの海外市場に依存することになる。中国マネーで…
「 80歳の現役科学者が世界を変える 」
『週刊新潮』 2023年9月21日号 日本ルネッサンス 第1065回 ノーベル賞候補にも挙げられている山本尚氏の『80歳・現役科学者感動の履歴書』(産経新聞出版)が面白い。今、氏は、自身が「破壊的イノベーション」と確信する研究に燃えている。 岸田文雄首相の好む語彙のひとつが、持続的社会、持続的成長などと使われる「持続的」だ。日本では「破壊的」であることよりは「持続的」が重視されている…
「 サイバー弱者日本、ウクライナに学べ 」
『週刊新潮』 2023年9月14日号 日本ルネッサンス 第1064回 3年前、ソフトバンクの無線の設備ネットワーク情報全てがロシアの産業スパイに持ち去られた。ロシア人スパイは逃亡し、日本を丸裸にするネットワーク情報は今もロシア当局の手中にある。こんな気味悪いことはない。彼らが日本の情報をどう使うかは、ウクライナ侵略における彼らの行動を見れば明らかだ。 2014年、クリミア併合の直前、…
「 ホタテ問題、今は中国と戦うとき 」
『週刊新潮』 2023年9月7日号 日本ルネッサンス 第1063回 8月24日、東京電力福島第一原発の処理水放出が始まるや、中国は即、日本の全水産物の禁輸を発表した。 野村哲郎農水相はこれを「想定外」とコメントしたが、本気か。松野博一官房長官は「丁寧に説明する」と語ったが、一体何を考えているのか。中国政府は福島のトリチウム処理水が極めて安全なことは百も承知の上で、政治的戦いを仕掛けて…
「 この儘では米国の核の傘は破れるか 」
『週刊新潮』 2023年8月31日号 日本ルネッサンス 第1062回 今月18日、ワシントン郊外の大統領山荘、キャンプ・デービッドでの会見で、バイデン大統領はこう切り出した。 「もし私が幸せそうに見えるなら、それは私が幸せだからだよ。すばらしい、すばらしい会談だった」 左右の岸田文雄首相、尹錫悦大統領を見ながら、バイデン氏は満足そうだった。「ワシントン・ポスト」紙は日米韓三首脳…
「 バイデン・トランプ、最悪の権力闘争 」
『週刊新潮』 2023年8月17・24日合併号 日本ルネッサンス 第1061回 8月1日、米連邦大陪審はトランプ前大統領を四つの罪で起訴した。起訴状によると、➀大統領選の結果を認定する連邦政府の機能を弱め、米国を欺こうと企てた、➁選挙結果の認定手続きを妨害した、➂認定手続きを妨害するため他者と共謀した、➃憲法で保障された選挙権を侵害した➃である。 今年3月に初めて起訴されて以来、3度…
「 安倍総理、緑したたり水清き丘に 」
『週刊新潮』 2023年8月10日号 日本ルネッサンス 第1060回 7月最後の日曜日早朝、山口県下関市の下関グランドホテルを出発して、長門市油谷(ゆや)のお墓に眠る故安倍晋三総理を訪ねた。 下関市から車で1時間半、国道191号線で日本海を左に見ながら北上していく。出発するとすぐに彦島が見えてきた。米英仏蘭と戦い敗れた長州藩に英国が割譲を要求した土地だ。海上の離れ小島を想像していたが…