「 米軍の攻撃は核不拡散につながるか 」
『週刊新潮』 2025年7月3日号 日本ルネッサンス 第1152回 6月22日の日曜日、週末の全世界に衝撃が走った。日本時間の午前11時、トランプ米大統領がホワイトハウスで短い演説をした。 「少し前にわが軍はイランのフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3主要核施設に大規模攻撃を行った」「主要3施設は完全かつ全面的に消滅した」 ヴァンス副大統領、ルビオ国務長官、ヘグセス国防長官を…
「 イラン攻撃、米国とイスラエルの覚悟 」
『週刊新潮』 2025年6月26日号 日本ルネッサンス 第1151回 6月13日、イスラエルが複数のイラン核施設に攻撃を加え、世界を震撼させた。誰しもイスラエル・イランの戦いが全面的な中東戦争の引き金になる危険性に身構えたはずだ。 わが国は石破茂首相、林芳正官房長官、岩屋毅外相、中谷元・防衛相、加藤勝信財務相が同日夕方に会合を開いた。うち四氏が防衛大臣経験者である彼らが20分間の会議…
「 世紀の「クモの巣」作戦に日本こそ学べ 」
『週刊新潮』 2025年6月19日号 日本ルネッサンス 第1150回 6月1日、世界を驚愕させたウクライナの「クモの巣」作戦が実行された。わが国では余り報じられていないが、「クモの巣」戦法は戦争の在り方を大きく変えることになる。元陸上幕僚長で、シンクタンク「国家基本問題研究所」企画委員の岩田清文氏が強調する。 「117機の小型ドローンで強力なロシアの戦略爆撃機や早期警戒管制機などを破…
「 尖閣危うし、危機に気付かない日本 」
『週刊新潮』 2025年6月12日号 日本ルネッサンス 第1149回 5月3日、中国の海警船2302から飛び立ったヘリコプターがわが国尖閣上空の領空を侵犯した。この事件は対日戦略で中国側が新たな局面に入ったことを示しており、わが国は最大級の警戒心をもって対処しなければならない。しかし石破茂首相は関心を示さず、岩屋毅外相は中国を刺激しない方策に汲々とする。これでは尖閣防衛も、日本有事と同義の…
「 小泉氏で米価全体はどれ程下がる? 」
『週刊新潮』 2025年6月5日号 日本ルネッサンス 第1148回 5月21日の「コメ担当大臣」就任は小泉進次郎氏にとってこの1年の内に挑戦する3番目の大きな課題になった。最初の課題は⓵昨年9月の自民党総裁選挙出馬、⓶が同年10月の石破茂自民党総裁下での選挙対策委員長である。 ⓵では候補者9人の討論で氏の政策論の空虚さが白日の下に晒され急速に支持を落とした。⓶では政治資金問題に関して…
「 朝日と見紛う読売皇室提言 」
『週刊新潮』 2025年5月29日号 日本ルネッサンス 第1147回 宮崎・高千穂神社宮司の後藤俊彦氏から5月15日、緊迫の電話をいただいた。 「今朝の『読売新聞』の記事は何なのでしょう。非常に驚きました」と、宮司。 神職最高位の「長老」にある後藤宮司は全国8万社の神社を代表する。宮司は読売の1面の見出し、「皇統の安定現実策を」を見て、保守のメディアとして筋の通ったことを書いて…
「 石破農水族内閣がコメ騒動の元凶だ 」
『週刊新潮』 2025年5月22日号 日本ルネッサンス 第1146回 驚いた。地元のスーパーマーケットには5キロで4000円以下のコメはなく、最高値は7000円台だ。1年前の2倍から3.5倍である。備蓄米30万トン以上を放出したのに、コメ市場は正常化する気配が全くない。石破農水族政権の大失政だ。 すぐに二つの原因が思い浮かぶ。⓵政府が放出米を消費者に近い卸売業者や大手スーパーではなく…
「 危機高まる、実戦並みの中国統合演習 」
『週刊新潮』 2025年5月15日号 日本ルネッサンス 第1145回 世界各地で「醜い紛争」が続発している結果、米中2大国及びその周辺国が戦争勃発の引き金を引く可能性がかつてなく高まっている、と米国の著名な論客、ウォルター・ラッセル・ミード氏が4月29日、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)に寄稿した。 米国のインド・太平洋軍司令官、サミュエル・パパロ将軍は4月10日の…
「 自民党再生へ、萩生田氏の決意 」
『週刊新潮』 2025年5月1・8日合併号 日本ルネッサンス 第1144回 4月18日、自民党元政調会長の萩生田光一氏が「言論テレビ」で語った。 「先日、高市(早苗)さんとゆっくり食事をしました」 高市氏は「めちゃくちゃ元気」で「闘う気力は全然衰えていないと感じた」という。2024年9月の自民党総裁選挙での反省点や感じるところを話し合ったそうだ。 別の日、雑誌『正論』で萩…
「 中国の覇権に連合体制で対応せよ 」
『週刊新潮』 2025年4月24日号 日本ルネッサンス 第1144回 「中国はたった20年で国際社会の商船の半分以上を建造する大造船国となったが、米国はシェア0.1%の国になり果てた」 これは米国を代表するシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が先月報告した内容だ。中国が2024年に建造した商船の総排水量は、米国が第2次世界大戦以降の約80年間で建造した全商船の合計トン数を上…