「 対露外交は希望的観測を持つことなく厳しい要素を過小評価しないのが大事だ 」
『週刊ダイヤモンド』 2019年2月2日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1265 「心配が現実になった」と感じた日露首脳会談だった。1月22日、日本時間の夜8時45分から小1時間遅れで始まった日露首脳会談は、約3時間続いた。 その後、安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領の共同記者会見が行われたが、中継画像で両首脳が会見場に入った姿と表情から不首尾は瞬時に見てとれた…
「 原発輸出を助け、技術を継承せよ 」
『週刊新潮』 2019年1月31日号 日本ルネッサンス 第837回 日本国の土台のあちこちが液状化し始めているのではないか。危惧すべきことの筆頭が中央省庁の官僚の劣化である。 厚生労働省の勤労統計調査が15年間も不適切に集計されていた。同統計は月例経済報告など政府の経済分析に関わる基幹統計で、雇用保険の失業給付もこれを基に算定される。それが2004(平成16)年以降ごまかされていたと…
「 法を無視する「力治」思想の国家に対し日本は力なき国である限り苦しい立場だ 」
『週刊ダイヤモンド』 2018年1月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1264 1月14日、河野太郎外相とロシアのラブロフ外相が、安倍・プーチン会談の前座としてモスクワで会った。ラブロフ氏の表情は硬く、視線は険しく、まるで領土返還への日本の期待を憎んでいるかのようだった。 ラブロフ氏は2004年の外相就任以来、河野氏を含め日本の外相11人と協議してきたベテランである…
「 現在革命続行中、文在寅政権の異常さ 」
『週刊新潮』 2019年1月24日号 日本ルネッサンス 第836回 個人的な感想だが、韓国の文在寅大統領は「信用できない男」の典型ではないか。とりわけ1月10日、韓国大統領府で開かれた年頭の記者会見での発言や表情は、知的に耐えきれないものだった。 韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に、日本の排他的経済水域(EEZ)内で、火器管制用レーダーを照射した問題でも、「朝鮮人戦時労働者問題」…
「 米大統領選挙に向け最初に名乗り出た女性 ウォーレン氏の出馬表明が映す米国の分裂 」
『週刊ダイヤモンド』 2019年1月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1263 1月3日、昨年11月の中間選挙で改選された米連邦議員らが初めて議会に招集された。4日付の米各紙は下院に集った民主党議員団の写真を大きく掲載したが、女性議員が多いために文句なしのカラフルさだった。若い議員も多く、子連れ姿も少なくなかった。椅子の数に較べて議場に詰めかけた人数の方が多く見えたのは、…
「 新年に考えた、日本の問題あれこれ 」
『週刊新潮』 2019年1月17日号 日本ルネッサンス 第835回 元旦、各紙の社説を読み較べた。まず「読売新聞」である。兎に角、長すぎる。内外の事情に万遍なく触れているが、何か特別に心に残る発信があるわけでもないのが残念だった。 「朝日新聞」は「権力のありかを問い直す」として、事実上、朝日定番の安倍政権批判を展開した。 小見出しのひとつが「弱い国会を強くせよ」である。これには…
「 「同盟重視論」が見えないトランプ大統領 米国の攻勢に中国・習政権は後退の一年か 」
『週刊ダイヤモンド』 2019年1月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1262 2018年は最後まで気の抜けない1年だった。19年の今年はその延長線上で、より大きな変化と試練が生じるだろう。そうしたことを念頭に置いて決断を下せば、逆に日本にとっては好機の年になる。世界情勢に油断なく気を配り、気概を持ち続けることが必須だ。 昨年12月、ジェームズ・マティス米国防長官は…
「 国柄を考える、平成最後の天皇誕生日 」
『週刊新潮』 2019年1月3日・10日号 日本ルネッサンス 第834回 12月23日の今日、平成の時代最後の天皇陛下のお誕生日を祝って、わが家でも朝早くから国旗を掲揚した。いつ見ても日章旗は清々しく美しい。白地に赤い日の丸。無駄がなく、これ以上ないほどすっきりした構図である。 この日、皇居は3度にわたって日の丸の小旗の波で埋まった。誰しもが天皇ご一家のお出ましに感動し、平成の30年…