「 世界の安定剤、マティス長官の安全観 」
『週刊新潮』 2017年6月15日号 日本ルネッサンス 第757回 毎年シンガポールで開催される「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」は、世界の安全保障戦略で何が一番の問題になっているかを知り、大国の思惑がどのように交錯しているかを知る、極めて有意義な場である。今年は米国防長官、ジェームズ・マティス氏が演説を行った。 トランプ大統領が、ロシア問題で追及され、身内のジャ…
「 市場経済も軍事力も拡大中の北朝鮮 日本は国民守る手立ての早期整備を 」
『週刊ダイヤモンド』 2017年6月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1185 「北朝鮮はわれわれが考えていた以上に強い国力を有していて、経済は成長を続けています。市場経済が発達して、恐らく、国民の生活水準は過去になかった程、高くなっていると思います」 米国のジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」の編集長兼プロデューサーを務めるジェニー・タウン氏…
「 白村江の戦い、歴史が示す日本の気概 」
『週刊新潮』 2017年6月8日号 日本ルネッサンス 第756回 少し古い本だが、夜久正雄氏の『白村江の戦』(国文研叢書15)が非常に面白い。 昭和49(1974)年に出版された同書を、夜久氏が執筆していた最中、日本と中華人民共和国との間に国交が樹立された。中華民国(台湾)との国交断絶を、日本政府が北京で宣言する異常事態を、氏は「これは私には国辱と思へた」と書いている。72年の田中…
「 「自分ファースト」に映る小池都知事 言葉に信を置けない同氏の実行力を注視 」
『週刊ダイヤモンド』 2017年6月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1184 飯島勲氏といえば長年小泉純一郎元首相に仕えた人物として名高い。 小池百合子氏といえば、政党を渡り歩き、多くの政界実力者に接近してきたことで名高い。都知事就任以降の氏は、敵を作って対立構造に仕立て、相手を悪者、自身を改革の旗手と位置づけて、高い支持率を保つ。 次から次へと敵を作り出し…
「 吉田清治氏長男、父親の謝罪碑書き換え 」
『週刊新潮』 2017年6月1日号 日本ルネッサンス 第755回 5月19日、インターネット配信「言論テレビ」の番組「言論さくら組」でジャーナリストの大高未貴さんがスクープを披露した。 「言論さくら組」は今年2月に発足した、物言う若手女性たちの一団が出演する番組である。私自身は若くないが、頼もしく勇気のある女性、世の中の不条理に疑問を感じ、そのことについて思い込みで判断するのではなく…
「 自衛隊は違憲のまま放置すべきでない 国際情勢の厳しい今こそ改正へ歩みを 」
『週刊ダイヤモンド』 2017年5月27日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1183 安倍晋三首相が、憲法改正の直球を投げた。現実主義の極みを行くその提言で、停滞しきっていた憲法改正論議が賛否両論共に、俄かに活性化した。 首相は5月3日の「読売新聞」紙上で単独インタビューとして改正への斬新な考えを披瀝した。同日午後には「民間憲法臨調」などが主催する「公開憲法フォーラム」…
「 首相提言で改憲論の停滞を打破せよ 」
『週刊新潮』 2017年5月25日号 日本ルネッサンス 第753回 停滞の極みにある憲法改正論議に5月3日、安倍晋三首相が斬り込んだ。➀2020年までに憲法改正のみならず、改正憲法を施行したい、➁9条1項と2項を維持しつつ、自衛隊の存在を明記したい、➂国の基(もとい)は立派な人材であり、そのための教育無償化を憲法で担保したい、という内容だ。 それまで弛緩しきっていた憲法改正に関する…
「 経済政策の具体論見えない共産党 共闘の民進党ともに描けぬ明るい展望 」
『週刊ダイヤモンド』 2017年5月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1182 連休中に読んだ『共産主義の誤謬』(福冨健一著、中央公論新社)がためになった。民進党が日本共産党と選挙協力を深めようとするいま、共産党が一体どんな政策を実現しようとしているのか、知っていればきっと役に立つ。 皇室については「一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は民主主義お…
「 離党後、真価が問われる長島氏 」
『週刊新潮』 2017年5月18日号 日本ルネッサンス 第753回 「言論テレビ」で衆議院議員の長島昭久氏が語った。これまで幾度か、離党の意向を示して揺れた氏が本当に民進党を離党した。決断は如何にしてなされたか。 「蓮舫氏が代表選挙に出た昨年9月、私は共産党との関係を白紙に戻すことなどを要請しました。しかし、蓮舫氏は何もしませんでした」 民進党は「次の選挙」や「国会の次の質問…
「 戦後70年を経て再演された「海道東征」と根源的な自然の力宿す高千穂の巡り合わせ 」
『週刊ダイヤモンド』 2017年5月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1181 過日、偶然が重なって日本をお創りになった神々の世界に触れることができた。感動の重なりで心が充たされる経験だった。 4月19日、東京で「産経新聞」主催のコンサートがあり、初めて「海道東征(かいどうとうせい)」を聴いた。周囲の人たちに尋ねても海道東征のことを知っている人は多くはなかった。私と…