「 戦略3文書、戦後体制への決別を評価 」
『週刊新潮』 2022年12月29日号 日本ルネッサンス 第1030回 12月16日、岸田政権が発表した安全保障に関する戦略3文書はわが国の安全保障の在り方を根本から変えるものだ。戦後日本を特徴づけてきた空想的な平和主義を岸田政権は明確に批判し、その批判が戦略として位置づけられた。まさに歴史的な一歩である。 岸田氏は発する言葉数は多いが、真の意図がよく見えてこないと私は注文をつけてき…
「 習近平、社会主義は米資本主義に勝つ 」
『週刊新潮』 2022年12月22日号 日本ルネッサンス 第1029回 戦略的に見てこれ以上のタイミングはなかっただろう。臨時国会閉幕の12月10日、萩生田光一自民党政調会長が台湾を訪問した件だ。与党三役としては19年ぶりで、台湾の平和と安定を重視する日本の決意を内外に示した。中国には強い抑止力となったはずだ。 安倍晋三元総理の暗殺以降、台湾に芽生えた心細さ、誰が日台関係強化の推進軸…
「 中国の人権侵害に初めて物言う日本 」
『週刊新潮』 2022年12月15日号 日本ルネッサンス 第1028回 相手が中国となると、わが国は政界も財界も信じ難いほど卑屈になる。一例が、中国の人権侵害問題には一言の抗議もできないという事実である。ところが12月5日、ようやくこの悪弊が破られた。超党派の「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」が設立総会を開いたのだ。 これまでわが国にはチベット、ウイグル、南モンゴルの3民…
「 蔡英文氏敗北、台湾は真の敵を見よ 」
『週刊新潮』 2022年12月8日号 日本ルネッサンス 第1027回 11月26日の台湾統一地方選挙で蔡英文氏の民進党が「大敗」した。日米共に極めて憂慮すべき事態だ。 統一地方選では直轄市6つと、市、県、合わせて22の自治体の首長が選ばれる。民進党は選挙前、7つを保持していた。国民党は14、その他が1だった。今回、民進党は首長ポストを5に減らした。 台湾民意基金会が10月18日…
「 中間選挙が米国の新出発点となる 」
『週刊新潮』 2022年12月1日号 日本ルネッサンス 第1026回 米国の著名な政治学者、ウォルター・ラッセル・ミード氏が「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙でアメリカの展望について楽観的見通しを書いていた。氏はアメリカ合衆国の国歌から「ああ、星条旗はまだたなびいているか? 自由の地、勇者の故郷の上に!」の一節を引用して、アメリカの未来は大丈夫か、と自問した後、「中間選挙で米国の秩序(…