「ヒラリー、感情を克服できるか」
『週刊新潮』’08年4月24日号 日本ルネッサンス 第310回 演壇ですれ違ったヒラリー・クリントンとバラク・オバマ両氏。笑みを作った表情には、白い歯がこぼれている。だが、その眼光は凄まじい強さで相手にとどめを刺そうとしているかのようだ。両氏の対立が険しい感情的対立に陥ってしまっていることを示す写真だった。 二人は4月13日の日曜日、米国ペンシルベニア州メサイア・カレッジで「信仰と正義(fai…
「中国のチベット弾圧を日本の首相、仏教界は黙認するのか」
『週刊ダイヤモンド』2008年4月19日号 新世紀の風をおこすオピニオン縦横無尽736 4月5日の関西テレビの番組「ぶったま」をユーチューブで見た。独立総合研究所所長の青山繁晴氏が司会した同番組に、天台宗別格本山書写山圓教寺の執事長、大樹玄承氏が出演し、チベット問題について発言した。 別格本山は本山に準ずる格式の高い寺という意味で、書写山は山号、圓教寺が寺号である。緊張した面持ちで大樹氏は仏教者…
「北京五輪、日本こそ異議を唱えよ」
『週刊新潮』’08年4月17日号 日本ルネッサンス第309回 北京五輪聖火リレーの走者でフランスの元テニス・プレーヤー、アルノー・ディパスカル氏が、炎の消えたトーチを手に茫然と立ち尽くしている。なんと象徴的な映像だろうか。 ロンドンでは警官隊2,000名による警備が、度々破られた。パリ市当局は、ロンドンの二の舞を防ごうと、3,000名の警官を配置して、外国のVIPを迎えるのと同じ厳戒態勢で臨ん…
「映画“靖国 YASUKUNI”で真に問われるべき問題」
『週刊ダイヤモンド』2008年4月12日号 新世紀の風をおこすオピニオン縦横無尽735 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」は、都内四館、大阪市内一館での公開が決まっていたが、突然の上映中止となった。 中止を決めた映画館側は「営業上の総合的判断」「観客や近隣に迷惑がかかる」などを理由として挙げている。 靖国神社問題は、中国が政治問題として取り上げ続ける問題だ。それだけに、日本としては…
「チベット問題、首相は強く抗議せよ」
『週刊新潮』’08年4月10日号 日本ルネッサンス第308回 福田康夫首相は3月29日、チベットへの弾圧を続ける中国政府に関して、「声高に批判したり、いまから北京オリンピックと関連付けることは、今の段階で適当かどうかよく考えないといけない」「関係者間で冷静に解決してほしい」と述べた(『産経新聞』3月30日付)。 チベット問題の実態を弁えない首相が、一方的に中国政府側に偏った立場に立っているのは…
「台湾総統選、馬氏勝利の要因とその背景にある米中の合意」
『週刊ダイヤモンド』 2008年4月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 734 台湾総統選挙で、国民党の馬英九氏が勝利した。根っからの親中派と見られてきたにもかかわらず、総人口2,300万の85%が本省人(台湾人)の台湾で、外省人(戦後中国大陸から台湾に渡った中国人)の馬氏が大勝したのはなぜか。 最大の要因は、氏が台湾人意識を積極的に取り入れたことだろう。かつて、台湾の大学生たちは…
「台湾総統選“国民党圧勝”は日本の危機」
『週刊新潮』'08年4 月3日号 日本ルネッサンス【拡大版】 第307回 国民党・馬英九氏が大勝利した台湾総統選挙は異様に盛り上がった。対立候補の与党民進党・謝長廷氏は台北中心部で選挙運動の最後の瞬間まで訴え続けた。 「中国は、台湾は中国の一部だと主張している。私が敗退すれば、中国の主張は世界に浸透する。私が当選すればそれはなくなる」 「逆転勝ち!」の黄色の文字を染め抜いた揃いの黒地のTシャツを着…
「チベット問題の行方は抑圧者としての中国の姿を示す」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月29日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 733 チベット騒乱が拡大中だ。3月10日に約500人の僧侶が始めたデモは、中国政府の厳しい弾圧と警官隊との衝突のなかで暴徒化し、死者は当局の発表でも一三人に上った。死者を出すほどの武力行使が行なわれたことを、中国当局が認めたわけだ。 実際はどれほどの犠牲者が出ているのか。その点を含めて、チベット暴動の実態…
「中国の正体見せた、チベット暴動」
『週刊新潮』'08年3月27日号 日本ルネッサンス 第306回 ラサ燃ゆ。世界注視のなかで発生したチベット暴動を、中国の胡錦涛国家主席は臍を噬む思いで見詰めていることだろう。 1989年春、今回と同じくラサで発生したチベット人の暴動を、後に語り草となる苛烈な弾圧で鎮圧したのが、当時、チベット自治区党委員会書記の胡錦涛氏だった。中央政府の指示を待つことなく、自ら鉄兜をかぶって軍を出動させ…
「失敗に終わった道路改革を放置する福田政権の愚」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月22日号 【特集】 自民党税制調査会長の津島雄二氏は3月10日、日本記者クラブで会見し、道路特定財源をめぐる与野党の対立に触れて「弾力的な対応をしてもいい」「なにがなんでも(10年間で59兆円を高速道路建設目的で確保する)という人は党内でも少数派だ」と語った。 自民党首脳部でさえも、さすがにためらうのが、現在の野放図な道路政策だ。昨年11月に国土交通省が制定…