カテゴリー:周辺諸国・外交

「 普天間飛行場問題で考えるべき 中国の軍事脅威の異常な高まり 」

『週刊ダイヤモンド』   2010年2月6日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 824




1月24日の沖縄県名護市の市長選挙の結果は、鳩山政権の終焉への第一歩となる可能性が大きい。どの国の、どの時代の歴史を見ても、国防の基本を蔑ろにした国は滅びている。鳩山由紀夫首相の友愛外交は、その背後に強固な軍事的備えがあって初めて生きてくるのだが、首相の外交は単なる空疎な言葉だけであり、これでは日本は持たない。

普天間飛行場の移設がより困難になり、日米安全保障体制が機能しなくなったとき、日本の国防の危うさは文字どおり日本の浮沈につながる。北澤俊美防衛相や平野博文官房長官は危機を実感しているのであろう。選挙結果は受け止めるが、「手続きも含めて法律でやらなければならない部分もある」(平野官房長官)の発言に見られるように、移設が全面的に選挙結果によって左右されるわけではないとの姿勢を示している。

なぜ、今、普天間飛行場移設問題を含めて日米安保の万全の体制が必要か。中国の軍事的脅威の高まりが尋常ではないからだ。米国は、2002年から毎年、国防総省の報告書「中国の軍事力」を発表。一方、共和・民主超党派の米中経済安保調査委員会も報告書を発表、QDRと通称される「4年ごとの国防計画見直し」などで中国の軍事力を分析してきた。

そうした情報を読めば、首相の唱える安保・外交政策がいかに的はずれで問題外であるかがわかる。米国の分析をざっと紹介する。たとえば、日本が将来直面するであろう中国の脅威を、すでに現在体験中の台湾のケースである。米国は、02年の段階で、すでに、台湾は台湾海峡の制空権を中国に奪われたと分析する。その年、台湾海峡に臨む中国大陸の沿岸には、台湾を狙う短距離ミサイルが350基配備ずみだった。09年には、その数は1,150基に増えている。毎年100基以上増え続けているのである。

むろん、右のミサイルへの核弾頭の装備は可能であり、方角を変えれば、ただちに日本攻撃にも使えることは言うまでもない。

中国は、軍事力で台湾を制圧出来る水準をすでに確立済みだが、それでは不十分だ。台湾問題に米国が介入出来ない状態をつくらなければならない。そこから、すさまじいとしか言いようのない「介入阻止作戦」が展開されてきた。その方法は二つ、サイバー攻撃で米国を機能不全に追い込み、潜水艦を駆使して空母を足止め、あるいは破壊することである。

第一の作戦は、米軍の強みでもあり弱点でもあるハイテクへの高度の依存性を突くものだ。そのために、中国人民解放軍には二つの特別部隊がつくられた。国防総省、国務省をはじめ、考え得るすべての研究機関や大学のコンピュータに侵入して情報を盗む部隊、もう一方は必要なときにコンピュータ網を攪乱し、破壊する部隊だ。ちなみに、中国軍では、これらサイバー攻撃部隊を「暗殺者の棍棒」と呼んでいる。

「暗殺者の棍棒」が、たとえば国防総省に仕掛けたサイバー攻撃は、07年に4万3,880件、08年は5万4,640件、09年は前半だけで4万3,785件だった。年間9万件に迫るすさまじさである。

この数は、国防総省一省に対する攻撃であり、有事の際には米国全土に一斉攻撃が始まると考えてよい。

第二は空母に対する潜水艦の攻撃能力の強化である。06年10月、中国の攻撃型潜水艦が沖縄沖で訓練中の米空母「キティホーク」にまったく気づかれることなく、8キロメートル地点まで接近して浮上したように、中国は米空母を攻撃する能力を十分に備えてしまった。

こうした状態があるからこそ、米国は日米安保条約をも踏まえて備えを固めたいと考えている。米国との協力は日本の安全を守ることにつながる。それが鳩山首相にはわからないのだ。

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「 金正日の経済失策、脱北詩人の眼 」

『週刊新潮』 2010年1月28日号
日本ルネッサンス 第396回



「北韓(北朝鮮)では、民心はドルの価値と正比例します。ドルの支配力が日増しに金正日総書記の神格化を圧し潰すはずです」

こう語るのは脱北詩人の張真晟(チャンジンソン)氏だ。氏は、かつて当欄で紹介した詩集『わたしの娘を一〇〇ウォンで売ります』(晩聲社)の著者である。

氏は長く金正日総書記に仕え、その人物像や業績を讃える幾多の詩を書いた。1997年に脱北して金正日に大打撃を与えた黄長燁(ファンジャンヨプ)氏さえ、総書記の三男、正雲氏について知らなかったほど秘密の多い人物が金正日である。だが張氏は金正日の側近くで年月を過ごした。それだけに、氏の語る北朝鮮情報は、黄長燁氏のもたらす情報に較べてさえも、驚嘆と傾聴に値する。

09年11月末に明らかになった北朝鮮のデノミネーション(通貨改革)について張氏が分析した。

「デノミと一緒に断行されたもうひとつの措置に注目すべきです。平壌の国家保衛部が全国の闇ドル両替屋に一斉検挙の網をかけた。これは全土にまたがる闇取引市場を潰す市場クーデターでした」

北朝鮮における公の外貨取引は89年に始まったという。88年のソウル五輪に対抗して、翌年平壌で「世界青年学生祝典」が開催された。訪れる外国人が北朝鮮で外貨を使用出来るように、金正日は特別のウォン「外貨交換札」(以下交換札)を作った。ドルとの交換レートは1対2だった。

交換札は、印刷から預金及び貸し出しまでの全てを、金正日の実妹の金敬姫(キムキョンヒ)が運営する統一発展銀行が管理した。こうして平壌で外貨商店が急増し、同行は外国銀行との信用取引を認められた北朝鮮初で、唯一の国際銀行となった。同行と日本の関わりについて、張氏が述べた。

「統一発展銀行を支えたのが朝銀信用組合の日本からの送金でした。最初の6億円が初期の投資資金となりました。後に朝銀が破綻したのは、金総書記が自分の王朝の神格化のために交換札をまるで空から降ってくる無料の外貨のように、束でバラ撒いたからです。朝銀の破綻で朝鮮総連は麻痺し、金正日は自分で自分の首を絞める結果となりました」


偽ドル・ロンダリング


世界青年学生祝典は北朝鮮に大きな赤字を残した。金正日の交換札の浪費も続いた。ドルと交換札のレートが1対2から1対10に落ち込むのにさほど時間はかからなかった。

統一発展銀行から引き出される交換札には北朝鮮政府の信用の裏打ちがあるはずだが、北朝鮮政府の信用そのものが空疎なため、為替レートは坂を転げ落ちる雪だるまのように膨れ上がり、97年には遂に1対7,000になった。

「つまり紙屑になって消えたのです。そのときから、今度はドルと北韓ウォンの直接交換が始まりました」と張氏。

その前年から金正日は北朝鮮国民に「苦難の行軍」を強いていたが、その中で300万人が餓死した。配給がとまった代わりに市場の設置が許され、市場は急拡大した。そこで通用するのは価値の裏打ちを欠くウォンではあり得ない。ドルである。

「北韓政府はまず、ドルとウォンの為替レートを1対150に設定しました。ところがレートはまたもや急落、09年の年初には1対4,000になりました。平均的労働者の月給が2,000ウォンにすぎないのに、です。北韓政府にとって米国は理念の敵、同時に資本の敵でもあります」

金正日は遂に市場の力に押しまくられた揚げ句のインフレを認め、00年7月1日、市場価格を反映した賃金政策を断行、賃金は大幅に増額された。これは金正日がまたもや判断を誤った瞬間だと、張氏は言う。

「賃金に市場価格を反映させ、同時に市場そのものを押さえればウォンの価値を守ることが出来ると、彼は考えたのです。しかし、市場は増刷されたウォン紙幣によって活性化し、商品価格は天井知らずとなりました。生産のない市場における輸入対消費という不均衡な経済構造が価格高騰をもたらすのは当然です」

ウォンの実勢価格が再び続落し、外貨の闇取引も急増した。01年、金正日は全ての市場に公式の外貨両替所を設置させたが、効果はなかった。そこで彼は偽造ドル紙幣を北朝鮮の貿易会社に割り当て始めた。

「米国政府がスーパーKをはじめ、北韓によるドル偽造に厳しい監視体制を敷いたこともあり、北韓には大量の偽ドルが蓄積されたのです。金総書記の秘密資金を管理する39号室傘下の金融機関、大成銀行は北韓の全貿易会社に偽造ドルを割り当て、2対1で本物にして返還せよと命じました」

偽造ドル10万ドルを受け取り、本物5万ドルを上納せよということだ。北朝鮮の全機関、全貿易会社が死に物狂いでマネーロンダリングに走ったのだ。米国の摘発でさらに追い詰められると、偽造ドルは国内市場で取引きされるようになり、ただでさえ脆弱な北朝鮮の金融流通システムはさらに危機的状況に陥った。




崩れ落ちようとする巨大ダム

米国は05年9月、偽ドル、麻薬取引き、テロ支援などの理由を掲げて北朝鮮に対する金融制裁に踏み切った。北朝鮮と取引きをする金融機関に、米国の金融機関との一切の取引きを禁止するというもので、それはその金融機関の市場からの撤退、つまり閉鎖を意味していた。対象となったのがマカオの銀行、バンコ・デルタ・アジアだった。

金正日は米国の金融制裁を非常に恐れ、制裁解除に向けて必死の交渉を行った。その理由は、金正日が世界の銀行に保有している50億ドル(約4,500億円)を超える資金を引き出せなくなり、軍や組織を支配出来なくなるからだと考えられた。ところが、もっと別の理由があったと張氏は語るのだ。

「米国の制裁で北韓内でドルがさらに暴騰し、市場不安も高まり、政権の命が脅かされます。為替レートの防御能力が皆無の北韓ほど『外貨による侵略』に脆弱な国はありません。ドルの支配力こそが政権を潰しかねないのです」

だからこそ、金正日は次なる抵抗に進んだ、それが去年暮れの通貨改革だというのだ。ウォンを政府のコントロールの下に引き戻し、貨幣価値を自力で調整しようとしたわけだ。外貨闇取引所への一斉検挙も平仄が合う。だが、と張氏は反問する。

「北韓は崩れ始めた巨大ダムのようなものです。砂袋を積んで持ちこたえられるものでしょうか」

政治空白で漂流する鳩山政権は、近い将来予見されるこの朝鮮半島情勢の流動化と有事に対処出来るのか。崩れ落ちようとする巨大ダムを、それでも支え続けて、北朝鮮への影響力確保を至上命題とする中国に、対処出来るか。そのような危機に備えての米韓両国との戦略を構築出来るのか。展望は果てしなく暗い。

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「 小沢一郎氏ら民主党が提案する外国人参政権付与案に私は反対 」

『週刊ダイヤモンド』   2010年1月23 日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 822



今月11日の政府・民主党首脳会議で、永住外国人に地方参政権を付与する法案を18日召集の通常国会に提出することが確認されたと報じられた。


同法案に関して、民主党内にはもともと深い亀裂があった。推進派の小沢一郎、鳩山由紀夫、岡田克也各氏らの勢力に反対する渡辺周、長島昭久、松原仁各氏らが存在し、法案を推進すれば民主党は分裂しかねないと見られていた。だからこそ、マニフェストにもこの項目は盛り込まれなかった。

ところが今、小沢氏らは、一挙に同法案の成立を図ろうとする。この性急さは何故か。
地方参政権問題が再浮上したのは昨年10月、鳩山首相が訪韓したときだ。李明博大統領との共同記者会見で質問され、首相は「国民の感情、思いは必ずしも統一されていない」が、「前向きに検討したい」と表明した。

小沢氏も動いた。民主党政権樹立直後に訪日した李大統領の実兄であるハンナラ党の李相得(イ・サンドク)議員に、「通常国会で目鼻をつけたい」と語っている。

その後、小沢氏は12月に訪韓した。600人の大代表団を引き連れて中国を訪問した帰り、皆と別れてほぼ単身での訪韓である。11日夜に韓国入りし、翌日、ソウル国民大学で講演し、「日本政府の姿勢を示す意味でも政府提案として出す」と語った。

同日、小沢氏は李大統領と非公式の会談を行い、大統領主催の晩餐会にも出席した。だが、氏がどのような会話を交わしたのか、日本側はほとんどつかんでいない。通訳も含めてすべて韓国側が準備を整えたからだ。

政界の実力者、小沢氏が韓国大統領と会うのに日本側の通訳も同行させず、日本政府がその発言を把握出来ないというのは異常である。この秘密めいた実力者同士のサシの会談で、小沢氏が参政権問題についてもなんらかの約束をしたことは考えられる。結果として、通常国会に法案を提出するという現在の民主党の方針がある。

小沢氏は自身のウェブサイトに外国人参政権推進の理由を書いている。要約すれば、(1)永住外国人の大半を占める朝鮮半島出身者は強制的に日本に連行された、(2)参政権取得には帰化が最善だが、国籍取得のための法律的な要件が厳しく、帰化が難しい、の二点に尽きる。

(1)は明らかに間違いである。確かに戦前戦中に強制連行などで日本に来た人々は約200万人に上る。しかし、今日本在住の朝鮮半島出身者の大半は、日本の敗戦で多くが朝鮮半島に戻ったなか、自らの意思で日本に残った人々だ。あるいはさまざまな理由で、戦後日本に来た人々だ。

ちなみに朝鮮半島出身のこれらの人々は永住外国人として分類される。一般永住外国人とは異なり、参政権を除けばほぼ日本人と同等の種々の権利を与えられている。

(2)については、私も疑問に思い、シンクタンク国家基本問題研究所で、帰化の法的要件には改善の余地があると指摘し、具体的に提言を行ってきた。その意味では小沢氏の指摘に同意するのだが、しかし、だからといって、一足飛びに、外国籍のままで参政権を与えるということにはならない。

深刻な問題だと思われるのは、小沢氏らの提案する外国人参政権法案が永住外国人を超えて一般永住外国人に参政権を与えるという内容である点だ。つまり、急増する中国人永住者に参政権を与えるという意味だ。

現在、日本在住外国人の最大勢力は中国人で65万5,000人強、うち永住資格を取得ずみの人々は14万2,000人余だ。この数は年々際立って増えている。これでは中国共産党員の資格を持つ人々が、日本で投票権を行使して日本の政治を動かす事態を招きかねない。まさに悪夢ではないか。

以上の理由で私は民主党の外国人参政権付与案には断固として反対である。

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「 領土外交に汚点、小沢・鳩山の無策 」

『週刊新潮』 2010年1月14日号
日本ルネッサンス 第394回


2つの国が領有権を争う領土について、それぞれ主張を展開するのは当然のことだ。しかし、日本政府はまず相手国の立場を度し、日本の立場を十分に主張してこなかった。そのツケは北方四島にも竹島にも明らかで、主張なき無策は必ず、尖閣にも影を落とすだろう。

昨年12月25日に発表された高校の学習指導要領解説書では、領土問題としての竹島の記載が見送られていた。学習指導要領はほぼ10年に一度改訂され、解説書も更新される。したがって、高校教育では向う10年間、韓国と領有権を争う竹島についての教育が不徹底になる可能性がある。

川端達夫文部科学大臣は、解説書を公表した日の記者会見で「竹島はわが国固有の領土であり、正しく認識させることに何ら変更があるわけではない」と述べた。

氏は保守派の政治家であり竹島を解説書に記載することは、氏にとっても文科省にとっても既定方針だった。にもかかわらず、蓋を開けてみれば解説書は一変した。日本が竹島の領有権を諦めたととられ、歴史的な汚点となりかねない解説書は如何にして生まれたのか。

日本政府の領土問題に関する発言や外交姿勢の及び腰は自民党時代からのものだ。学習指導要領とその解説書に、領土問題として明記されてきたのは北方領土に限定され、竹島はまったく触れられてこなかった。

他方、韓国の竹島不法占拠は年毎に昻じ、いまや警備部隊が常駐し、電話線が引かれ、郵便番号も住所も定められている。竹島を所管する島根県は思い余って05年、「竹島の日」を設けた。韓国の反発は凄まじかったが、島根県の動きは、改めて、日本人に領土や国土についての教育の重要性を気付かせた。こうした中、新学習指導要領の中学社会科の解説書に竹島を「我が国固有の領土」と明記するかどうかの問題がまず、持ち上がった。05年のことだ。



火に油を注ぐ生半可な配慮


文科省の立場は明確だった。05年3月に中山成文科相(当時)が新指導要領に明記すると答弁。しかし、3年後の08年2月、新指導要領案が公表されたとき、竹島の文字は消えていた。理由は、反日政策を掲げた盧武鉉大統領の後に、李明博氏が登場し、竹島問題の主張を控えることがより良い日韓関係の構築につながると日本政府が期待したからだ。

学習指導要領の改訂は解説書の更新を意味する。韓国は日本への働きかけを重層的に展開した。08年5月19日、韓国外相は駐韓日本大使を呼びつけ警告した。7月、洞爺湖サミットへの参加直前に、李大統領が共同通信と会見して「日本の指導者たちが無理に(竹島を)載せることはしないと信じている」と牽制した。来日した大統領は、9日、福田康夫首相と立ち話形式で短時間会談し、慎重な対応を求めた。韓国大統領府は、大統領が「深刻な憂慮」を伝え、福田氏は「十分に分かっている」と答えたと発表した。

国内では文科省が「我が国固有の領土」と明記すべきと主張し、外務省は反対に見送りを求めた。そして結論は中途半端なものになった。

08年7月14日に発表された解説書には、「我が国固有の領土」という表現はなかったが、竹島について、「韓国との間に主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要」と書き込まれていた。婉曲な表現ながら、初めて、竹島を領土問題として盛り込んだわけだ。日本の視点に立てば「竹島はわが国固有の領土」と書いて当然だが、そうは書かずに婉曲な表現をとったことについて町村信孝官房長官は、「日韓関係をぎくしゃくさせてはいけない」と説明した。

だが、このあと、日韓関係は「ぎくしゃく」どころか、大荒れとなった。李大統領は「断固たる措置をとる」よう指示し、柳明桓外相は駐韓日本大使を呼びつけて抗議し、駐日韓国大使を召還した。29日には韓昇洙首相が、首相として初めて竹島に上陸。30日には韓国軍が最新鋭戦闘機、F-15Kを含む大部隊を動員し「独島(竹島)防衛演習」を行った。

福田首相は解説書発表の直前まで、自ら文言をチェックし、韓国への配慮に努めたが、李大統領は8月15日に、「韓国が強い国になれば、日本が私たちの領土を不当に欲しがることもなくなる」と演説した。

日本が「竹島は紛れもなく韓国固有の領土です」とでも言わない限り、韓国側は納得しないのである。生半可な配慮は、むしろ火に油を注ぐ。

そして今回の高校用の学習指導要領解説書である。文科省は、大臣、副大臣、政務官の三役以下、中学用の解説書同様、竹島の記述は当然と考えていた。が、三役会議で提示されたのは、竹島を除外した案だった。


竹島の二文字が落ちたのは…


川端大臣が三役会議で、文科省としては不満だが、内閣の一員として上の決定に従うとの意思表示をしたのは、小沢一郎幹事長の訪韓時期と重なる12月中旬だと思われる。小沢氏は中国訪問後、12月11日夜にほぼ単独で韓国入りした。李大統領と2人だけの非公式会談の内容は非公開である。韓国側が通訳を務めたために、日本政府は小沢氏が何を語り、何を聞いたかも把握出来ていない。だが、その席で、李大統領がかねてより関心を示していた外国人参政権、天皇陛下御訪韓などとともに、高校指導要領解説書問題に触れた可能性は大きいと見るべきだろう。

したがって、小沢氏が李大統領の要請を受けて影響力を行使し、解説書の内容を大幅に変更させた可能性は少なくない。一方で、元凶は鳩山由紀夫首相その人だとも考えられる。首相は11月15日、シンガポールでのAPEC首脳会議で、李大統領と歩きながら短時間、2人だけの会話を交わしている。そのとき、李大統領が、「教科書の件、重要ですので宜しくお願いしたい」と述べ、鳩山首相が「分かっています」と答えていたことは取材で確認出来た。

小沢、鳩山両氏との会談が、解説書問題で12月の発表を前にした重大な時期であることを李大統領は意識していただろう。大阪生まれで日本人の感情の機微にも通じている大統領だけに、その説得が功を奏したと考えて、ほぼ間違いないだろう。つまり、最終的に竹島の二文字が落ちたのは、小沢、鳩山両氏かまたはいずれか、民主党トップの「政治決断」ゆえだったと考えてよいだろう。

自民党はそれでも竹島の二文字をどうにか書き込んだ。民主党はそれを水泡に帰しかねない決定をした。一方韓国では、12年からの中学社会の解説書で竹島について「日本が継続的に国際紛争に訴えようとする意図を分析し、領土を守る方法も考える」とし、生徒たちに具体策を考えさせるよう踏み込んでいる。

国益を害する点において、民主党外交の罪は重いのである。

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「 有事の可能性が大きい北朝鮮 自由統一に向けた備えが急務 」

『週刊ダイヤモンド』   2010年1月9日新春号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 820


新しい年が巡り来た。私たちの前に広がるこの一年は緊張溢れる年になるだろう。民主党政権下の政治的空白と機能停止状況から脱して、多くの緊急事態に向けての準備を整えなければならない。その一つが北朝鮮有事である。

近い将来、北朝鮮情勢が激変する可能性は大である。日本は北朝鮮有事を日韓関係の根本的改善につなぎ、植民地時代の記憶を乗り越え、真の日韓友好関係を築くべく戦略を練らなければならない。

そのために、朝鮮半島の危機を真に韓国の国益となるような方向で乗り越えるための支援を行なうことが必要だ。それは、韓国による朝鮮半島の自由統一を日本の戦略目標とすることだ。米韓両首脳は昨年6月16日に「自由民主主義と市場経済にのっとった平和統一を志向する」とした自由統一ビジョンを発表した。日本はこの考えに沿って、日米韓の戦略対話を、政府、軍および民間専門家の各レベルで行なわなければならない。

そのなかで、米韓軍が北進するとき、日本はどのような協力をすべきなのか、拉致被害者の安全確保のために、米韓両国にどのような協力を求めるのかも、詰めておく必要がある。朝鮮半島の自由統一の主体はあくまでも韓国であることを内外に明らかにして、日韓、および日米韓の連携で動くのである。

このような戦略を、昨年、シンクタンク国家基本問題研究所(国基研)で発表し、同提案を持って、年末に韓国を訪れた。多くの専門家と意見交換したなかで、意外だったのは、韓国の戦略問題専門家のなかに、日本は統一韓国を望んでいない、分断国家のまま、弱い韓国にとどめておくことが日本の利益にかなうと考えているのではないかと思う人びとが少なからず存在したことだった。そうしたなかで、日本は韓国の自由統一を支持すべきだと明確に打ち出した国基研の提言を、多くの人びとが前向きに受け止めた。

韓国戦略問題研究所の高在弘(コージェイフン)氏は、北朝鮮有事の研究者として知られる若手研究者である。氏は有事の際に起きうる状況として、四つのケースを挙げた。(1)特定国(中国)が一方的に軍事的、政治的に介入、(2)米中合意によって朝鮮半島の分裂が固定化、(3)北朝鮮に社会主義体制が維持される、(4)南北朝鮮が連邦制となる。

いずれも韓国にとっては望ましくなく、こうしたシナリオを避けるために、利害が衝突する点についてあらかじめ協議を重ねることの重要性を、氏は強調した。

とりわけ問題になるのが、不可避と思われる中国軍の早期介入である。場合によっては、韓米両軍が三十八度線から北上し、中国軍が国境から南下し、平壌(ピョンヤン)で相対峙するという最悪のケースも考えられる。このような方向に、事態が向かう場合、危機を回避するために、日本に果たしてほしい重要な役割があると、高氏は言う。

第一に、北朝鮮有事で、同じ民族である韓国軍が進入するのは正当な行為だと発表し、中国の部隊派遣には正当性がないという国際世論をつくる先頭に立ってほしいというのだ。日本の国益を考えても、これは当然である。

だが次の言葉を聞いたときに、私は少なからず驚いた。氏は言った。

「もし、中国軍が北朝鮮に入るなら、日本も自衛隊を派遣する可能性があるという意思表示をしてほしい。そのことによって中国軍の撤退を誘導してほしい」

タブーと思われてきた日本の自衛隊の派遣を表明せよというのである。それは韓国の日本に寄せる期待と信頼の表れである。韓国の若手研究者の言葉に応えることができれば、日韓関係は確実に過去を乗り越え、新しい次元に立つことができるだろう。そこまで考え、賢く戦略的に対処できる日本に、今年は成長してほしい。そのための議論を闘わせていきたいと私は思う。

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「 拉致の実態を前にして政府の脆弱性を痛感する 」

『週刊ダイヤモンド』   2009年12月19日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 818



12月6日、東京都港区の「ゆうらいふセンター」で行われた、「いかに救い いかに守るか」と題された拉致と国防に関するシンポジウムに参加した。実際の議論に先立って、全員で約20分間のビデオを見た。主催者である予備役ブルーリボンの会が作ったものだ。

同会は、自衛官OB、即応予備自衛官、予備自衛官、予備自衛官補によって構成され、北朝鮮人権法の趣旨を踏まえて拉致問題に関する啓発活動を行ない、拉致被害者救出の具体的可能性を探ろうとする純粋な民間団体である。

同会の代表、荒木和博氏は北朝鮮に拉致された可能性が否定できない、いわゆる特定失踪者の調査に関しても地道な努力を続けてきた。荒木氏らは曽我ひとみさんら拉致被害者の証言を基に、実際に工作員らはどのようにして拉致を実行するのか、シミュレーションを行なってみた。拉致する役もされる役も、屈強な予備自衛官が務めた。

曽我さんはお母さんのミヨシさんと一緒に歩いていたところを、背後から来た数人の男たちにあっという間に縛り上げられ、さるぐつわをはめられ、クルマに押し込まれた。シミュレーションでは、縛り上げてクルマに乗せるまでわずか一九秒だった。曽我さん役を演じたのは屈強な男性であるが、それでも複数の男に背後から襲われれば、簡単に引き倒され、足を縛られ、後ろ手に縛り上げられてしまう。

もう一つのシミュレーションは、蓮池薫さんらが体験した事例だった。海岸で襲われ、袋詰めにされるケースだ。これもいとも簡単に実行された。

荒木氏が語った。

「拉致は、向こうがその気になれば、日本の長い海岸線の至るところで可能だということです。海岸線を守る体制がまったくなく、守ろうという気も政府にはないように思えます」

氏は、政府に欠けているのはもう一つ、いかに、拉致されている人たちを救い出すかだと強調する。いま、とりわけ救出作戦を考えなければならないのは、北朝鮮情勢が流動化の度合いを増しているからだ。

たとえば北朝鮮は突然、デノミを行なった。統制経済よりも、闇経済が力を持ち、人びとは手にした現金を貯め込んできた。デノミはそうしたおカネを吐き出させて市場に回し、再び経済を活性化させようという狙いだ。

しかし、新紙幣と交換できる額に10万ウオンの上限を設けたために、多くの庶民の虎の子の貯金が失われることになる。経済の恨みは、金正日政権の崩壊を早める結果につながっていく。

そうしたときに、拉致被害者をどのように救い出すのか、シンポジウムではさまざまな具体論が語られた。荒木氏らが北朝鮮向けに実施してきた短波放送番組「しおかぜ」で、北朝鮮情勢が混乱に陥ったとき、東海岸の特定地点目がけて集結するように呼びかけるというのもその一つだった。海上に船を待機させ、日本人を救出する計画だ。

混乱のなかで、どのようにして拉致被害者らが海岸線まで逃れてくるのか、具体的にどの地点に集合するのか、日本から派遣する船は海上保安庁なのか海上自衛隊なのか、そうした日本の動きは、朝鮮半島、特に韓国の目にどう映るのか、多くの疑問が生じてくる。

本来、こうした事柄は、日韓政府間で詰めるべきことだ。当然そこには米国も入っていなければならない。また作戦を成功させるには情報を収集していなければならない。そしていま、その気になれば情報は取れるのである。多くの脱北者から事情を聞くこと、彼らに、有力な情報にはそれなりの対価を支払うという日本政府の意思を明確にするだけで、それは口コミ社会の北朝鮮に広がり、情報が集まってくる。

民間人が一堂に集い、こんな作戦を議論しながら、国民を守るという国家の基本的役割を忘れ去ったかのような政府の脆弱さを痛感した。

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「 莫大な国費投入で『中国の頭脳』を育んでいる『日本の大学』 」

『週刊新潮』 2009年12月3日号
日本ルネッサンス[拡大版] 第389回


「 教育崩壊 」 (後編)



日本にはいま、短大を含め1,200近くの大学が存在する。大学院大学も各地に創設された。これだけを見ると、日本は文字どおり高学歴の、知的国家であるかのような印象だ。その一方で、日本の学生たちの著しい学力低下は覆うべくもない事実だ。

高等教育の実態把握のために、京都大学経済研究所所長の西村和雄氏らが数学力についての比較テストを行ったのは2001年だった。対象は大学の学部生、院生、短大生である。結果は予想以上に深刻で、西村氏らは危機感を深めた。


「旧帝大の経済学系院生の学力の水準が、同じ大学の学部生や地方の国立大学の夜間の経済学部の学生よりも低かったのです。98年に調査した女子短大生と同じレベルでした。驚いて翌02年、調査科目を英語、国語、理科、社会にも広げました」


その結果も惨憺たるものだった。問いによってバラつきはあるが、前年同様、院生の学力の信じ難い低下が明らかになった。たとえば、{1+(0.3-1.52)}÷(-0.1)2 (2は二乗)の計算である。


基本ルールさえ知っていれば、単純計算を順序どおり行うことで解ける問いだ。にもかかわらず、院生の正解率は半分以下の48%にとどまり、短大生の正解率、60%に及ばなかった。


ガラスに当たった光が空気の中でどの方向に進むかの問いは、短大生の90%が正解したが、院生の正解率は67・1%だった。


他にも、平安時代と室町時代のどちらが古いのかを知らない院生、アメリカの首都名を知らない院生、絶体絶命の「体」、五里霧中の「霧中」が書けない院生も、少なくなかった。理系知識においても文系知識においても、呆れるほど貧しい院生たちの現実が浮き彫りにされたのである。


繰り返すが、これは旧帝国大学の大学院生の調査である。明治維新以来、日本は目ざましい発展を遂げて世界を刮目させた。それを可能にしたのが、学問研究の基礎を担い、人材を育て上げた旧帝大である。つまり、東大、京大、東北大、九大、北大、京城大、台北大、阪大、名大だった。日本の敗戦後の1947年、旧帝大から「帝国」の文字が消え、京城大学と台北大学はなくなった。かつて日本の知的土台を構成し、日本飛躍の原動力となった旧帝大の、その院生たちにいまなにが起きているのか。


西村氏も、東大名誉教授で千葉工業大学惑星探査研究センター所長の松井孝典氏も、学力低下が特に顕著な理系の分野について、その背景に文部科学省の間違った教育政策があると指摘する。


91年7月、当時の文部省大学審議会の大学院部会が「大学院の量的整備について」という中間報告を纏めた。「2000年までに大学院生を倍増し、18万人程度にする」との内容だった。


院生倍増の理由は、研究者需要の拡大が予想される、企業が高度の専門知識と能力を備えた人材を求めている、留学生の増加が予想されるなどとされた。


右の中間報告は政策に反映された。結果、91年当時約9万人だった大学院生は10年後に20万人を超え、06年には26万人へと、倍増にとどまらず3倍近くに増えた。



では、日本人の知的水準もその分、高まり、世界を牽引するような研究成果を生み出してきたのか。結果は正反対である。先に見たように、まず、日本人学生の質が低下した。そしてもうひとつの大きな変化が生まれた。日本の大学院がまるで中国をはじめとする外国人留学生のための学問研究の場となったかのような状況が生まれたのだ。

松井氏は今年3月の定年まで東大で教えていたが、まず日本人学生の質低下の背景についてこう語る。

「学生の基礎学力の低下は、東大も同じですが、とりわけ深刻なのが大学院でした。定員が大幅に増やされた結果、学部よりも大学院の定員のほうが多いという珍しい事態が生じました。結果、院生は内部進学者よりも外部進学者の方が多くなり、大学院入試の平均点も下がっていったのです」



中国人留学生に席巻


かつては、定員に満たなくても、研究レベルに達していない学生を院生として取ることはしなかった。ところがいまや定員割れは許されない。定員割れすると、教授削減の圧力が文科省から掛かる。さらに教授の評価基準のひとつに「どれだけの数の学生を育てて博士号をとらせたか」がある。


こうした状況の下で、学力の低下した日本人学生を相手に教授らの涙ぐましくも虚しい努力が続いた。


「どんなに成績の悪い学生でも、一定数は博士課程に上げて論文を書かせなければなりません。そのため多くの教授が、学生の代わりに論文を書いてやるような状況が生まれています」と松井氏。


地方のある国立大学法人では、どうしても修士論文を書けない院生のために、講義終了後にレポートを提出させ、2本のレポートで修士の学位を授与することを検討している例もある。



西村氏は責任の大きな部分は文科省の矛盾する方針にあると語る。

「ゆとり教育で最も置き去りにされたのが理科教育でした。僕らが高校生のときは95%が物理を履修しましたが、いまの高校生は約10%です。そのなかで物理に秀でる生徒は100人中5人くらいでしょう。文科省はこんなカリキュラムを組ませ、日本の子供たちは物理を学ばなくてもいいという酷い教育をしてきた。そしていざ大学に来ると、基礎が出来ていない、それでも定員を守って、院生を取れという。となると、外国人留学生を取らざるを得ないでしょう。留学生の約6割は中国人学生です」

こうした一連の事情に加えて、日本の高等教育が外国人留学生、特に中国人留学生に席巻される要因に、政府の積極的な留学生受け入れ政策がある。京都大学大学院人間・環境学研究科教授の中西輝政氏が疑問を語った。


「自民党政権のときに留学生を30万人に増やす計画を作りました。アジアからの留学生を積極的に募集するといいますが、大半が中国の学生です。国を挙げて中国人を迎え入れる、こんな国策は他国では聞いたことがありません。日本は本当に珍しい国です」


中国人留学生急増の背景に、日本の国費、もしくは民間の奨学団体による支援の充実がある。大学によって事情は異なるが、留学生への経済的支援策は、日本人の大学院生に対する支援策よりもはるかに手厚いのである。


自民党参院議員で安倍・福田内閣で教育再生担当総理補佐官を務めた山谷えり子氏が語った。


「外国人留学生1人につき、1年間で奨学金として約250万円、かかると言われています。優秀な学生に来てもらい、留学後も日本に残ってくれたり、母国へ帰った後に日本との架け橋になってくれることを期待して生まれた制度です。しかし残念ながら、いまの日本はそのような国家戦略を持ち合わせているように思えません」



「目が死んでいる学生」


政府の留学生優遇政策を反映して、各大学も積極的な支援策を講じている。松井氏が語る。


「東大には『東京大学博士課程研究遂行協力制度』という独自の制度があり、博士課程の大学院生2,000名に、年間30万円を支給しています」


この制度は必ずしも留学生だけを対象としたものではないが、私費留学生でも申請すれば支給して貰えるために優秀な外国人留学生確保のための制度という意味合いが強いと指摘されている。


この他にも、東大は東大フェローシップ(外国人留学生特別奨学制度)で、優秀な留学生140名程度に月額15万円を援助している。


「そもそも優れた学生に来てほしかったら、魅力的な大学作りを行い、優れた教授陣をえていい教育をするべきなのです。教授陣の給料を抑え、削ったお金を留学生に渡して呼び集めようという考え自体がおかしい。外に目が行きすぎて、内に対する視点がなくなっています」


外国人留学生、とりわけ中国人学生への豊かな経済支援策とは対照的に、日本人の院生たちを取り巻く状況の厳しさを指摘するのは水月昭道氏だ。


氏は、立命館大学人間科学研究所研究員で、「高学歴ワーキングプア」という言葉を創った人物だ。外国人留学生との比較で、日本人の院生の「不利な状況」について氏は、こう語る。


「分野にもよりますが、修士号に2年、博士号に3年、計5年を大学院ですごすと、学費だけでも平均で600万円はかかります。日本の院生は奨学金を借りている人が多い。多くの留学生は日本人院生のように借金をしなくてすみます。日本の文科省も留学生の母国政府も彼らにさまざまな援助を提供し、就職先も確保されていますが、日本人の院生にはそれがありません」


奨学金を借りたか、自費で学んだかは別にして、院生らが博士課程を修了しても就職率は約50%だったこともある。2人に1人が就職出来なかったのだ。その数は毎年5,000人近くに上り、これまでに約10万人の高学歴無職者が生まれている。


氏は語る。


「大学は彼らを非常勤講師として安く使います。代わりは幾らでもいると、大学側は考えますので、状況は改善されず、やる気のある人でもやむ無く国外や民間企業に行ってしまいます」


国立大学のある教授は、このことを逆から見てこう語った。


「外に出るだけの実力も気持もない『博士たち』が研究室に残るのです」


別の教授もこう語った。


「院生を日本人学生と中国、もしくは韓国の学生で較べると、文句なしに意欲のあるのは中韓の学生です。能力も中韓の学生のほうが高い場合が圧倒的に多い」


松井氏は東大の本郷キャンパスで3、4年生を教えてこう感じたという。


「みんな目が死んでいるのです。僕らの時代は、東大理学部に入る学生は圧倒的多数が研究者志望だった。しかしいまは、学力が低下して学部学生でも何をやりたいのかわからない人が増えた。そうした目の死んでいる学生を相手に授業をすることは、研究者として一番耐えられないことでした」


こうしてみると、日本人学生の学力の低下と政府の留学生政策が、負の相乗効果で下降スパイラルを形成しているのが見えてくる。中国はその間にも留学生を国家建設のために積極的に活用してきた。


中西教授の指摘である。


「鄧小平の時代から、過去30年間、中国は技術開発を自力で行うより、先進科学技術立国に学生を送り、技術を持ち帰らせることを国策としてきました。日米欧に積極的に学生を送り出しましたが、知的財産権の概念が確立されてから、米国は敏感に反応し、技術流出に厳しい制限を課しました。留学生や企業の技術者が出国しようとして、米国政府当局に身柄を拘束されるケースが相つぎました。結果、ここ10年ほど、日本への優秀な中国人留学生が増えたのです。ここ数年来の米国の状況、中国の国策を考えると、各々の学生が分野別にミッションを受けて、先進的な技術や知識の習得・吸収を目的に来日していると見てよいでしょう」


そのような状況があるにもかかわらず、日本の留学生優遇政策はなんの検証も加えられることなく続いている。たとえば、中国人留学生たちは、卒業後どのようなコースを歩んでいるのか。国費を投入して育てたからには、卒業後の彼らが日本のために役立っているか否かを調べ、後学のよすがとしなければならない。だが、文科省は満足な追跡調査さえ行っていない。国費は投入されたまま、放っておかれているのだ。



悪しき成果主義


これ以上の政策不在はないだろう。どの国にとっても人材こそが国の基礎である。とりわけ資源もなく、隣りに大国たらんと渇望し、尋常ならざる努力を続ける覇権主義の中国を抱える日本にとっては、各分野で優れたリーダーとなる人材を育成しなければ、国そのものがもたない。にもかかわらず、人材育成に最重要の役割を果たす高等教育の場において中国人留学生らの席巻を許し続けている。彼らをも育てながら、日本人学生をどのように育てていくのか。なにを為すべきなのか。元文科大臣の伊吹文明氏は、日本の高等教育における質の低下は大学院生の数の倍増だけでなく、5年前に実施された国立大学法人化に大きな原因があるとして、次のように語った。


「国立大学を法人化したことによって、大学人が教育者であることに専念出来ず、経営者や管理者に化けてしまった。大学教育がすぐに経済的メリットや金を生み出すものに特化した感があります。明らかに大きな弊害が生まれており、日本にとっての深刻な危機です」


国立大学法人化は、国立大学の経営を合理化し、競争力を強め、学問研究をさらに高度に推進するための改革だったはずだ。現実に起きたことは、しかし、その目的とは大きく外れた、大学らしからぬ民間企業のような評価基準の導入だった。政府は大学に出してきた運営費交付金を減らし、大学自らがお金を集めるよう誘導した。長い思索の時を費やして為される人類に貢献するような研究は許されなくなった。短期的に成果を出すことが求められ、悪しき成果主義が目立つようになった。伊吹氏はそのことに言及し、断言する。


「大学を国立に戻すべき」


高等教育の惨状を改善するには、伊吹氏の指摘するような大胆な発想が必要である。1,200校にも上る大学の整理統合も必要だろう。同時に、例えば旧帝大を真に日本を代表するエリート校として立て直すことが欠かせない。それらを、中国の精華大学や北京大学、米国のハーバード大学などに劣らない大学にするには、大学への文科省からの天下りをなくし、大学教育への官僚の影響を排除すること、十分な予算を注入し、長期的かつ自由な研究を許すことは基本の中の基本である。


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「 北朝鮮による中国人拉致事件が多発 放置する中国政府の実態を直視せよ 」

『週刊ダイヤモンド』   2009年11月28日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 815



11月17日、東京文京区民センターで横田早紀江さんのお話を、救う会全国協議会常任副会長の西岡力氏とともに、じっくり聞く機会を得た。めぐみさんが拉致されて11月15日で満32年。子どもを奪われた空白の32年は、どれほど長く、つらい日々だったことだろう。

畳をかきむしって泣き叫び、隣家のお婆さまが気づかって見舞ってくださった日々。めぐみさんの拉致が判明してからは、寒い日も暑い日も、救出を訴え続ける日々。こうしたことをあらためて2時間にわたってうかがった。

「涙が枯れるといいますが、本当に涙が出てこなくなりました」

早紀江さんはそう言いながら日程表を見せてくださった。心底、驚いた。かなり忙しいと自分では考えている私よりも、なお、早紀江さんのほうが忙しいように思えた。私の日程は、取材して書く人間としては当然の結果だが、彼女はもともと家庭の人である。しかも、お年も七十代の半ばである。

拉致被害者の母というだけで身を粉にして訴え続けてきた。民主党政権ができたときも、政府、各党を回り、解決を頼んだ。早紀江さんは語る。

「こうしたことは本来、政府の役割です。政府のほうから、こういう措置を取りますという報告や説明が、家族になされるのが通常の国家ではないでしょうか」

早紀江さんの言葉が示すように、拉致問題解決への政治の動きは、家族が引っ張ってきた面が否めない。疲れた体に鞭打ちながら全国を巡り、夜、休むとき、時々、こう思うという。

「この苦しみはいつまで続くのか。こんな苦しい日々が人生なら、もう二度と、生まれてきたくない。そしてハッと気づくのです。私よりも、もっと深い苦しみや絶望の中に、めぐみも他のお子さん方も、ずっと、いるのだと」

思い直して決意する。翌朝目覚めて支度をして出かける。その決意を早紀江さんはこう語る。

「いつどこで倒れて死んでも、悔いのないように、命ある限り、拉致の解決を訴え続けます」

金正日政権との交渉が、非常に困難なものであることは確かだ。国際的な包囲網なしには難しいことも明らかだ。その際忘れてならないのは、中国の果たしている役割である。

中国はずっと、北朝鮮を経済的、軍事的に支えてきた。金正日政権が今も存続しえているのは、一にも二にも、中国が水面下で支えてきたからだ。

だが、中国の仕業はそれだけではないことが、早紀江さんの会での話で判明した。中国は長年、北朝鮮の拉致の片棒を事実上担ってきたというのだ。これは西岡氏が脱北者の姜哲煥(カン・チョルファン)氏の記事を紹介するかたちで語った。姜氏は、生きて出る人は稀といわれる政治犯収容所の地獄から生還し、中朝国境の鴨緑江を渡り、中国経由で韓国に逃れ、今新聞記者として活躍する人物だ。

その姜氏が、脱北者を支援してきた中国の朝鮮族多数が、北朝鮮に拉致され続けていると、11月17日付の「朝鮮日報」で報じたのだ。中国公安当局は拉致被害者は200人に上ると考えているとも報じられている。

北朝鮮保衛部は、脱北者が急増した1990年代後半から、北朝鮮住民の脱北を支援する中国の朝鮮族に標的を定めて拉致を開始したという。北朝鮮は問題外だが、もっと深刻なのが、中国政府による拉致被害者の返還要求や抗議がほとんどないことだ。朝鮮族であっても、中国籍の中国国民であるにもかかわらず、中国政府はこの一連の拉致事件を事実上、放置し、北朝鮮の蛮行を見逃し、結果として拉致の片棒を担いでいるのである。

日本人の拉致解決を阻む大きな要因に、こうした中国政府の姿勢があることを認識しなければならない。拉致解決は、北朝鮮一国が相手ではない。真の相手は中国だということだ。

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「 外国人参政権法案を議員立法で提出もくろむ鳩山政権のご都合主義 」

『週刊ダイヤモンド』   2009年11月21日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 814



鳩山由紀夫氏がまだ民主党幹事長だった今年4月、彼は外国人参政権問題についてこう語っている。

「まさに愛のテーマだ。(私が)友愛と言っている原点はそこにある」
さらに、氏はこうも語った。

「仏教の心を日本人が世界で最も持っているはずなのに、なんで他国の人たちが、地方参政権を持つことが許せないのか」(「産経新聞」2009年10月10日付)

氏は、外国人の参政権は地方政治にとどまらず、国政においても認められるのがよいとまで明言する。国政選挙に外国人を参加させて、国家というものが維持出来るのかなどという発想は、氏には無縁なのであろう。

この鳩山政権下で外国人参政権問題が急展開し、実現されかねないという懸念は少なからぬ人びとが共有する。だが、首相の夢見る少年のような幼い発想とは別に、外国人参政権問題についての民主党の意見はまったく集約されていない。意見集約が不可能だったからマニフェストにも載らなかった。

他方、民主党は個々の議員による立法を事実上禁止する通達を、小沢一郎幹事長名で九月一八日に出した。民主党の法案はすべて政府提案、いわゆる閣法として出す、個々の議員は立法などせず、次の選挙に備えて政治活動に専念せよという趣旨の通達である。

立法府の面々に立法を禁ずるという尋常ならざるこの通達は、従来、多くの議員立法を行ってきた民主党の、闊達な議論を封殺するものだ。

こうした状況下の11月6日、山岡賢次国対委員長が、突然、自民党の川崎二郎国対委員長との会談で、現在の国会に外国人への参政権付与法案を議員立法で提出すると述べたのだ。

山岡氏は、党内に賛否の溝があるために、党議拘束をかけずにやるとの考えも示した。つまり、政府としての統一見解が出せないから、閣法でなく議員立法でやるというのである。なんというご都合主義か。

私は、そもそも、議員立法を禁ずること自体反対である。また、そのルールを例外的に破り、自分たちの通したい法案はなんとしてでも通すという独善主義にも反対である。
それでも、山岡氏は自信をうかがわせた。小沢チルドレンと呼ばれる1年生議員143人は、ほとんどが小沢、山岡ラインの指示に従って、参政権付与法案の支持に回るであろう。社民党、そして民主党、自民党のリベラル派を足せば、法案可決は可能だと確信している口振りだ。

民主党で外国人参政権に最も熱心な人物の一人、川上義博参院議員も9日、可決に向けての「自信はある」と述べている。

地方参政権というが、地方自治体は、原子力発電所や米軍基地などに代表されるように、国家政策の根幹にかかわる問題に直接関係している。地方選挙だからといって軽視は出来ない。

また、地方参政権付与の対象となる在日永住者のなかには金正日政権に忠実な朝鮮総連加盟者が多数存在し、中国共産党員もいる。韓国籍の永住者は韓国の参政権も保有しており、日本の参政権を得れば、日韓両国で政治に直接かかわる立場を得る。

民主党は、韓国が05年に外国人に地方参政権を認めたのであるから互恵主義で日本も同様にせよと主張する。だが、韓国で永住が認められるのは韓国人の配偶者やその子どもたちに限られ、永住在韓日本人は約300人にすぎない。特別永住資格を与えられた在日韓国人約40万人(朝鮮籍の人々を含めると約45万人)とは比較にならない。つまり、互恵主義は成り立たないのだ。

このような矛盾と問題を抱える法案だけに、反対論が続出し、山岡氏は現時点での法案提出を断念した。独善的手法で突っ走りかねない民主党の政権運営には、不安がいっぱいだ。

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「 善意で日本の力を殺ぐのか、民主党 」

『週刊新潮』 2009年11月19日号
日本ルネッサンス 第第387回


先週の小欄でも詳述したが、鳩山由紀夫首相は事前に内容を詰めることもなくCO2排出を1990年比で2020年までに25%削減するという、空前の政策を国連で発表した。

同案作成の中心人物だった参議院議員の福山哲郎外務副大臣は「Voice」12月号に、「政権交代によって、政策決定の在り方も180度変わった」として、以下のように書いた。

「もはや、『やれるか、やれないか』『やれるものをやろう』で政策を決めるのではない。『これをやる』という政治の意思を示し、そのために行ないうる政策を総動員する方向へと、舵は切られたのだ」

福山氏は、麻生太郎前首相の打ち出した05年比15%削減案は「あまりに中途半端」「説得力がない」「中国やインドなどに、新しい枠組みに参加しない理由を与えているも同じ」と手厳しいが、果たしてそうか。

たしかに民主党の25%削減案は「中途半端」ではない。異常なほど突出している。だが、同案は麻生案より余程「説得力がない」。民主党自身、25%の根拠もその実現策も未だ示し得ていない。また、福山氏は麻生案では中国やインドの参加が得られないと言うが、鳩山首相が国連で衝撃の25%目標を打ち上げても、米中もインドも乗ってこなかった。逆に、先進国に40%削減を求めてきた中国は日本に倣って削減にコミットするより、さらなる援助を求めた。

私も関わっているシンクタンク「国家基本問題研究所」で10月20日、民主党案についての研究会を開いた。同案の日本経済への影響について、経団連環境安全委員会委員長の坂根正弘氏は語った。

「日本は世界のGDPの8%を占める一方、CO2排出では4%です。どの業界も多分、(省エネにおいては)自分たちが世界一だと自負している。もし世界一でないなら、潔くペナルティを払うと、皆、言うと思います」



月餅を降らせているのは日本


世界一の自負があればこそ、従来の自民党政府の、そしてこれからの民主党政府の、日本がCO2削減目標値を達成出来ない場合に払うペナルティには納得いかないというのだ。
「先に経団連は05年比4%削減案を発表して批判されました。この数字は、欧米諸国が13乃至14%削減案を出し、それに必要な費用と同じ削減費用を日本がかけるとしたら、4%に相当するということで打ち出したのです」

坂根氏が語ったのは限界削減費用、追加的にCO2を1トン削るのに必要な費用のことだ。省エネが進んでいる企業や国ほど同費用は高くなるのであり、現在、限界削減費用は、全世界で日本が断トツに高い。

21世紀政策研究所が興味深い試算を行った。限界削減費用の算出には、削減目標値、基準年などの要素が関ってくるが、各国が掲げる目標値を基に計算すると、1トンのCO2を削減するのに、EUは54ドルかかる。カナダ65ドル、豪州25ドル、米国16~30ドルに対して、麻生政権の05年比15%削減なら、150ドルだった。鳩山首相の90年比25%なら、なんと、621ドル~1,071ドルに跳ね上がる。

日本は京都議定書で公約した6%削減を国内では達成出来ず、排出権取引で排出枠を海外から購入した。つまり、日本の企業が外国企業に最新鋭の技術を提供し、そこで生じた排出量の減少分をその外国企業なり政府が排出権として確保し、それを日本政府が税金で購入したのだ。

自民党政権は06~08年の3年間で26件の排出権取引を実施、内19件が中国相手だった。日本の技術による設備更新と金銭的メリットを当然の権利であるが如く享受するのが、中国にとって通常のパターンになっているのだ。待っていれば月餅が空から降ってくると中国人はほほ笑む。月餅を降らせているのは日本である。

排出権を購入してきたのは政府だけではない。経済界も同様だ。これまでに電力、鉄鋼業界を中心に日本の産業界は京都議定書の6%達成のために排出枠を購入してきた。支払額は1兆円に達すると経団連はいう。

「我々には京都議定書のトラウマがあります。結局、米国も中国も参加せず、EUは自分たちに有利な1990年が基準だと主張し、日本はこの日本に不利な条件を呑んだ。結果、世界一の燃費効率を血の滲む努力で達成した我々が非難される事態となった。なぜこうなるのか……。鳩山さんは高い目標を掲げて日本が世界をリードすると仰る。全世界の4割強のCO2を排出する米中は本当にその高い目標についてくるのか。私は本当に心配しています」

福山氏は前述の記事で、「『各国が賞賛』といった評価を受けたのは今回の鳩山発言が初めてである」と胸を張った。確かに各国は賞賛した。だが、そこには人類社会の理想を共に目指そうとの前向きの賞賛とともに、「もっと大量の月餅を日本が世界にバラ撒くことになる」と、ほくそ笑みつつ捧げた賞賛もあることを知らねばならない。そこが解らなければ、あまりにも外交音痴である。


日本が一人負けをする

坂根氏は鳩山首相の「政治主導」で、このままCO2削減が実施されれば、鉄鋼のような基幹産業は日本に立地出来なくなると警告する。
「鉄や化学は生産段階のCO2比率が大きい割に、対価がもらいにくい。新日鐵がもの凄いコストをかけてCO2を減らして作った鉄でも、鉄は鉄です。小松やトヨタが高く買うかと言えば、そうはならず、安い外国の鉄を買うでしょう。結果、日本の鉄鋼産業は成り立ちにくくなります。

一方、鉄を買った製造業、たとえば私の会社である小松製作所の場合、一台の建設機械によって生ずるCO2のうち、鉄やゴムなどの素材段階で4%、会社で機械を製造するのに4%、残りの92%は機械のユーザーが燃料などで排出します。したがって、素材や製造段階の4%ずつを締め上げて削るよりも、92%分を如何に効率よく削るかという発想が大事です」

こう言うと、産業界は抵抗勢力のように非難されるが、決してそうではないと氏は強調する。産業界の提案は産業毎のモデル作りである。

「産業毎に最新モデルを出して、情報開示をし、各国のレベルをそこまで上げる。相当難しい課題ですが、我々は我々の技術への正当な評価を得たうえでそれらを提供し、全世界のCO2を削減しようと考え、ある時期まで、極めて真面目にこのセクター別アプローチで世界を引っ張ってきた。ところが、ここにきて鳩山さんの政治主導で完全に違う方向に向かってしまった。非常に残念です」

民主党案の25%削減で日本が一人負けをする自縄自縛に陥りかねない。日本の技術を生かしてビジネスチャンスにつなげるためにも、民主党は世界への愛に加えて、もっと日本の国益を考えよ。真面目に産業界の主張にも耳を傾けることだ。

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プロフィール

櫻井よしこ Yoshiko Sakurai

職歴

1971~74
クリスチャンサイエンスモニター紙
東京支局勤務
1975~77
アジア新聞財団
DEPTHNEWS  記者
1978~82
アジア新聞財団
DEPTHNEWS  東京支局長
1980~96
TVニュースキャスター
1980~現在
ジャーナリスト

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