「チベット問題の行方は抑圧者としての中国の姿を示す」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月29日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 733 チベット騒乱が拡大中だ。3月10日に約500人の僧侶が始めたデモは、中国政府の厳しい弾圧と警官隊との衝突のなかで暴徒化し、死者は当局の発表でも一三人に上った。死者を出すほどの武力行使が行なわれたことを、中国当局が認めたわけだ。 実際はどれほどの犠牲者が出ているのか。その点を含めて、チベット暴動の実態…
「中国の正体見せた、チベット暴動」
『週刊新潮』'08年3月27日号 日本ルネッサンス 第306回 ラサ燃ゆ。世界注視のなかで発生したチベット暴動を、中国の胡錦涛国家主席は臍を噬む思いで見詰めていることだろう。 1989年春、今回と同じくラサで発生したチベット人の暴動を、後に語り草となる苛烈な弾圧で鎮圧したのが、当時、チベット自治区党委員会書記の胡錦涛氏だった。中央政府の指示を待つことなく、自ら鉄兜をかぶって軍を出動させ…
「失敗に終わった道路改革を放置する福田政権の愚」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月22日号 【特集】 自民党税制調査会長の津島雄二氏は3月10日、日本記者クラブで会見し、道路特定財源をめぐる与野党の対立に触れて「弾力的な対応をしてもいい」「なにがなんでも(10年間で59兆円を高速道路建設目的で確保する)という人は党内でも少数派だ」と語った。 自民党首脳部でさえも、さすがにためらうのが、現在の野放図な道路政策だ。昨年11月に国土交通省が制定…
「理念を超えた実用を唱える韓国・李大統領の閣僚布陣への不安」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月22日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 732 李明博大統領ははたして韓国の救世主となりうるか。金大中、盧武鉉両政権下の「失われた10年」の傷を癒やし、韓国再生を成し遂げられるか。韓国には期待よりも不安が広がっている。韓国で最も信頼されている言論人、趙甲済(チョウカプセ)氏が語った。 大統領は、理念を超えて実用を重んじると言います。しかし、実用主…
「 無法な海上攻撃、日本は怒れ 」
『週刊新潮』'08年3月20日号 日本ルネッサンス 第305回 南極海で調査捕鯨を続ける日本鯨類研究所の調査母船、日新丸に、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)が、執拗な攻撃を繰り返した。3月3日には海上保安官2人と乗組員1人が負傷した。 後述するように日本の調査捕鯨は、国際捕鯨委員会(IWC)で認められた合法的な行為である。それに対してSSが行ったことは、海賊行為に他なら…
「 気概薄弱で、事なかれ主義になりがちな現代の日本人に観て、考えてほしい映画 」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月15日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 731 安倍晋三氏が首相だったとき、米国下院で慰安婦問題に関して日本政府に謝罪を求める決議案が可決、成立した。 福田康夫首相の訪中に先立って、中国では「南京大虐殺記念館」が大幅改修されて再開された。 いずれのケースにおいても、事実は大幅に曲げられ、捏造されており、日本は理性的に反論すべきだった。しかし、政府…
「 中国の主張は責任転嫁ばかり 」
『週刊新潮』'08年3 月13日号 日本ルネッサンス 第304回 毒入り餃子事件の展開は日中両国の国柄の違いを際立たせた。同事件は中国人の涙や微笑、そして言葉が意味するものを、分かり易い形で、私たちに見せてくれる。 事件をざっと振りかえってみる。 2007年11月、ジェイティフーズが中国河北省の「天洋食品」製造の冷凍餃子を輸入。12月28日、千葉市で冷凍餃子を食べた母子が食中毒症状を起こす。08年…
「 台湾・総統選に立つ国民党の馬英九氏 過去の言動から見る、中国との親密度 」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月8日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 730 3月22日に行なわれる台湾の総統選挙は、少数与党、民進党の謝長廷(シャ・チヨウテイ)氏と、最大野党、中国国民党の馬英九氏の闘いだ。台湾人(本省人)と中国系の外省人のどちらが選ばれるかは、台湾の未来に決定的な影響を及ぼす。 台湾立法院(国会)は昨年12月の選挙で、国民党が四分の三に迫る議席を獲得した。…
「 台湾は親中反日に傾くのか 」
『週刊新潮』'08年3 月6日号 日本ルネッサンス 第303回 2月24日、台湾総統選挙の候補者、与党・民主進歩党の謝長廷氏と、野党・中国国民党の馬英九氏が初の直接公開討論に臨んだ。言葉の正しい意味において台湾の運命を決するであろう二人の対決を、民進党派でも国民党派でもない中立の第三者で、台湾事情に詳しい友人に聴いた。 この友人は、政策論と説得力において謝氏が馬氏に優っていた、馬氏は質問に答えら…
「 日本人が知っておくべき国際情勢を読み取る“ツボ” 」
『週刊ダイヤモンド』 2008年3月1日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 729 1979年のイラン革命のとき、世界は、イランが米ソいずれの陣営に入るのか、固唾をのんで見守った。国際社会では、米国に近かったパーレビ国王を倒したホメイニ師はソ連陣営に入るとの見方が有力だった。 だが、米国務省きってのアラブ通の人物は、イランは決してソ連の手には落ちないと断言した。なぜなら「ロシア人はけ…