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2008.03.08 (土)

「 台湾・総統選に立つ国民党の馬英九氏 過去の言動から見る、中国との親密度 」

『週刊ダイヤモンド』   2008年3月8日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 730

 3月22日に行なわれる台湾の総統選挙は、少数与党、民進党の謝長廷(シャ・チヨウテイ)氏と、最大野党、中国国民党の馬英九氏の闘いだ。台湾人(本省人)と中国系の外省人のどちらが選ばれるかは、台湾の未来に決定的な影響を及ぼす。
台湾立法院(国会)は昨年12月の選挙で、国民党が四分の三に迫る議席を獲得した。もし総統職をも国民党の馬氏が押さえれば、台湾はこれまでとは大きく様相を変え、中国への急接近も予想される。それは、中国の台湾およびアジアでの安全保障政策の大きな弾みとなる。結果として、台湾は中国の一地方政府に位置づけされかねない。
このような見方を強く否定するのは国民党副主席の江丙坤氏である。1971年に東京大学で博士号を取得した氏は、立派な日本語で語った。
「日本では国民党が正しく認識されていないと感じています。馬英九氏も反日のレッテルを貼られていましたが、昨年の二回目の訪日で、その誤解は解けたと思います」
香港生まれの台湾育ち、ハーバード大学出身の馬氏は2006年7月、国民党主席として来日し、次のように語った。「台湾と北朝鮮は東アジアの二つの火薬庫」「台湾は、抑止力として地対空誘導弾パトリオット(PAC3)や対潜哨戒機(P3C)を米国から輸入したい」。
実際には、しかし、陳水扁総統が進めようとした米国からの武器・装備の購入は国民党の反対によって予算が組めない状態が長く続いた。
馬氏は日米との安全保障上の協力について問われ、こう語った。
「条約がないため、台湾からなにかするのは難しい」
確かにそのとおりだ。しかし、この素っ気ない言い方は、米国からの武器・装備購入への消極的姿勢と併せて考えれば、氏が、台湾海峡における中国のさまざまな示威的な活動を、脅威とは感じていないことを思わせる。
このようなことから、06年の訪日では親中・反日の印象を残した氏は、07年11月、国民党総統候補者として再来日した。二年前の反省に立ち、昨年の馬氏はスピーチの一部に日本語を使うなど、親日ぶりをアピールした。自民党をはじめ各党幹部との会談も精力的にこなし、「来年、皆さんを総統府でお迎えしたい」と自信を見せた。
だが、ここに興味深い背景事情がある。馬氏が来日するときには、中国政府は日本の外務省にはいっさい注文をつけないのだ。氏がどんな重要人物に会おうが、クレームはこないという。
反対に、民進党の謝氏の来日に当たっては、「政府要人や政党幹部には会わせるな」との厳しい注文がつけられる。
中国側が、国民党首脳が日本側の首脳と親しくすることになんら反対しないのは、国民党と中国が水面下で通じていることを示すのではないか。民進党と日本側の接触に神経をとがらすのは、中国政府が彼らを敵視しているからではないか。中国の反応が、馬氏の親中ぶりを物語っているといえる。
馬氏は「三つのノー(三不)」政策、(1)独立しない、(2)統一しない、(3)武力行使をしない、を掲げる。
国民党副主席の江氏は、三不政策の目的は現状維持を最優先し、台湾経済を強化することだという。経済が健全なら、中国も武力行使には出ないという前提に立つのだ。
経済最優先で軍事力の整備にはさほど気をつかわないのは、中国が最も望む台湾のかたちである。その種の外省人政府の誕生こそ、中国の台湾奪取を可能にする。
こうしたなか、2月26日の国民党系の新聞「聯合報」が、馬氏が日本統治時代の抗日志士の家族らと会い、彼らの支持を請うたと報道した。日本を敵として戦った人びととの連携、それを大きく伝え、馬氏を支持する国民党系のメディア。やはり馬氏は、基本的に反日なのかと思わざるをえない。

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櫻井よしこ氏がネット新番組の発表をいたします。
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