「 もっと闊達にしたい改憲論議 」
週刊『週刊新潮』 2007年5月31日号 日本ルネッサンス 第265回 憲法改正の第一歩、「国民投票法」を読むと、改正案の発議には、衆議院では「議員100人以上」、参議院では「議員50人以上」の賛成が要件だと書かれている。各党が党毎にまとまると仮定しても、右の条件を満たすのは、自民党と民主党にとどまる。公明党以下他の全政党は、改正案を発議出来ないのだ。 直ちに二つの疑問が湧く。これで…
「 米中の力のバランスが中国に傾けば? 台湾問題はドミノ倒しの最初の1枚 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年5月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 691 「産経新聞」(5月16日付)は、「中国、米空母攻撃ミサイル開発へ」との野口裕之記者の記事を一面に掲載した。 中国軍が米空母攻撃能力を高めるため、射程1,500~2,500キロメートルの準中距離弾道ミサイル「東風21」の改良に着手したこと、核弾頭搭載が可能な東風21はすでに10…
「 憲法改正、偽の衣を捨て去る時 」
週刊『週刊新潮』 2007年5月24日号 日本ルネッサンス 第264回 5月14日、憲法改正の手続きを定める国民投票法が参議院で可決、成立した。現行憲法は改正のための条件を規定しているにもかかわらず、60年間も、改正を実施する法律がなかった。その法律上の空白が埋められ、憲法改正を党是とする自民党が、立法の不作為を克服して公党としての公約を果たせる体制を、漸く作ったのだ。自分の任期中に憲法…
「 骨の髄まで憲法の価値観に染まった人びと 官僚たちに欠落する『公と国家』の観念 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年5月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 690 特急列車「サンダーバード」の車内で発生した強姦事件の報道に、心が暗くならなかった人はいないはずだ。 昨年8月3日、富山発大阪行きの特急列車、約40人もが乗り合わせた車内で、事件は発生した。犯行は犯人が乗車した午後9時20分直後から大阪到着の11時8分まで、…
「 誰が日本国の名誉を守るのか 」
週刊『週刊新潮』 2007年5月17日号 日本ルネッサンス 第263回 4月11日、名越二荒之助氏が84年の生涯を閉じたことを、私は小さな記事で知った。言論人としての氏の存在が大きかっただけに、お会いしたこともない氏の逝去を心から悼むものだ。 氏は大正12年岡山県生まれ、敗戦でソ連に抑留され、復員後、教員となり、後に高千穂商科大学教授に就任、1997年に退任後は執筆、言論活動に専念。…
「 統一地方選に見る“2大政党化”傾向 政治はむしろ政党に収斂されていく 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年5月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 689 4月の統一地方選挙の結果は、前半も後半も、地方政治での政党化が一段と進んだことを示している。各紙は「政党離れ」「政党の弱体化」などの見出しで報じたが、地方政治における二大政党化の傾向は強まり、むしろ、政治は政党を軸に展開されていくであろうことが見て取れる。 政党中心の政治になっ…
「 被爆地として理に適った姿勢を貫いた長崎市長への許されざる犯行に憤る 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年4月28日・5月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 688 長崎市長選挙に立候補していた、伊藤一長(いっちょう)現市長への銃撃事件とその後の死亡の第一報は、被爆地長崎の反戦平和志向、前市長・本島等氏への銃撃事件の記憶とただちに結び付き、頭の中で伊藤氏の発言がよみがえった。 1995年、前市長の本島氏を破って当選した伊藤氏は、当…
「 三権分立を放棄するのか最高裁 」
週刊『週刊新潮』 2007年5月3・10日号 日本ルネッサンス 第262回 民主主義の根幹は三権分立にある。立法、行政、司法の三権が各々独立し、相互にチェックし合うことで初めて健全な国家運営が可能になる。こんなことは常識のはずだ。 だが、3月27日の最高裁第3小法廷で藤田宙靖(ふじたときやす)裁判長らが下した判断は、司法が政治を慮り、その影響を受けたのか、或いは特定のイデオロギーに染…