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2007.05.12 (土)

「 統一地方選に見る“2大政党化”傾向 政治はむしろ政党に収斂されていく 」

『週刊ダイヤモンド』     2007年5月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 689

4月の統一地方選挙の結果は、前半も後半も、地方政治での政党化が一段と進んだことを示している。各紙は「政党離れ」「政党の弱体化」などの見出しで報じたが、地方政治における二大政党化の傾向は強まり、むしろ、政治は政党を軸に展開されていくであろうことが見て取れる。

政党中心の政治になっていく理由は明快だ。拓殖大学日本文化研究所教授の遠藤浩一氏が解説する。

「小選挙区制度の下ですでに4回の衆議院選挙が行われました。小選挙区制度では、候補者自身の資質も重要ですが、より重要なのが政党の要素です。政党は国民の期待に応えなければ選んでもらえず、政党は生存をかけてその存在意義を高めていくでしょう。つまり、選挙における政党の意味はもっと強調されていくはずです」

日本の政治で最重要の位置づけにある衆議院選挙が政党を軸に展開され続ければ、参議院選挙にも、地方政治にも、同じ傾向が波及する。選挙も政治も政党に帰結していくのは明らかだ。

そこで、統一地方選挙から見えてくることは何か。各紙は民主党の善戦を報じた。確かに、民主党は道府県議会議員選挙で、4年前には205議席、全道府県議数に占める割合は7・8%だったのが、今回は375議席、14・7%へと、約倍増した。市議会議員選挙でも、全体の2・8%から4・7%へと大幅に勢力を伸ばした。

一方、自民党は道府県議選で2003年の占有率が49・7%、今回が47・6%だった。市議選では7・9%から7・5%への微減だった。

民主党善戦の要因は、候補者を発掘し、多くの新人候補を積極的に立てたこと、民主党系の無所属議員を公認し、民主党候補としたことである。

党勢拡大の基本を地方政治に置いた結果、民主党は道府県議375議席で、旧社会党の379議席(1979年)、372議席(83年)に匹敵する勢力を得た。つまり、五五年体制で自民党と競った旧社会党に並んだことになる(「読売新聞」4月24日付朝刊)。

日本の選挙では、地方政治の末端にいくほど、公明党と共産党の勢力が強くなるのは周知だ。市議に占める公明党の勢力は974人、共産党は772人で、自民党の598人をはるかに超える。組織票を必ず投票させ、巧みに割り振ることで両党の勢力は維持されているが、両党が国政レベルでそれぞれ単独で議席を伸ばすのにはおのずと限界がある。共産党に見られるように中央政治で少数政党として存続するか、公明党のように政権与党に食い込み、その位置を保つために徐々に変質していくかのどちらかである。

では、今回善戦した民主党は真に政権奪取の力を貯え、政権政党への道筋を歩んでいるのか。否である。統一地方選挙前半で行われた知事選挙は、結果だけを見れば三勝二敗だった。しかし、小沢一郎代表の地元の岩手県で立候補した達増拓也氏は、事実上、保守系議員だ。無所属ながら民主党候補の印象が強い神奈川県の松沢成文氏も保守系と考えてよい。

後半は、民主党は福島の参議院補欠選挙で勝ち、沖縄で敗れた。福島の増子輝彦氏はもともと保守系候補だったのを民主党候補としたのであり、氏の勝利を支えたのも保守票だった。一方、沖縄で民主党は社民党とも連携して敗れた。リベラル票では勝てない、政権は奪えないということだ。

では、夏の参議院選挙で勝つのは自民党なのか。これも未知数と言わざるをえない。安倍晋三首相の政治姿勢のぐらつきは、政権発足当初と比べて改善されたとはいえ、いまだ、確たる信念として政治に反映されているわけでもないからだ。現在の日本に必要な戦後体制からの脱却と健全な保守の価値観を、どれだけ具体的に打ち出していけるか。自民、民主双方にとって、それが勝利への鍵だと思う。

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