「 脱原発の独、未来は問題だらけだ 」
『週刊新潮』 2023年4月27日号 日本ルネッサンス 第1046回 欧州の盟主を自任するドイツが4月15日、稼働中の最後の原子力発電3基を停止した。同国は2003年以降、16基を停止させ、今回、完全に脱原発を果たしたことになる。 欧州では1970年代に反核運動と反原発の動きが結びつき、デモは左翼イデオロギー闘争の色彩を帯びた。その中で緑の党が生まれ、彼らは現在、社会民主党ショルツ連…
「 中国の分断作戦に嵌った仏大統領 」
『週刊新潮』 2023年4月20日号 日本ルネッサンス 第1045回 中国の戦略の基本は孫子の兵法の教え、敵勢力の分断である。中国は常に日米及び米欧分断を画策してきた。その罠に見事にはまった、というより自ら飛んで火に入ったのが、マクロン仏大統領だ。氏は欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長に声をかけ、両氏は共に訪中したが、両者の対中姿勢の違いはこれ以上ない程鮮やかだった。 4月5日…
「 中国、国土買収の嵐、超党派で止めよ 」
『週刊新潮』 2023年4月13日号 日本ルネッサンス 第1044回 中国人女性が沖縄県島尻郡の無人島、屋那覇島を買い取っていたと判明したとき、フジテレビの緊急世論調査で99%の人が外資への土地売り渡しを規制すべきだと答えた。この圧倒的な数字は、国土を奪われ続ける深刻な事態を何十年も放置してきた政治への強い抗議でもある。 それから約ひと月、畏友の加藤康子(こうこ)氏が上海電力問題を調…
「 日中首脳が演じた世界の善と悪 」
『週刊新潮』 2023年4月6日号 日本ルネッサンス 第1043回 岸田文雄首相は3月20日、インドでモディ首相と首脳会談を行い、その日の夜中にチャーター機でポーランドに飛んだ。「遅い、遅い」といわれたウクライナ訪問を果たすために、列車に乗りかえて10時間東に進み、21日、ウクライナの首都キーウに到着した。 ゼレンスキー大統領と会談し、ロシアによる侵略戦争を「国際秩序の根幹を揺るがす…
「 台湾・日本有事の実態はこんなに悲惨 」
『週刊新潮』 2023年3月30日号 日本ルネッサンス 第1042回 国際刑事裁判所(ICC)が3月17日、ロシアのプーチン大統領にウクライナからの子供連れ去りに責任があるとして、戦争犯罪容疑で逮捕状を出した。ロシアの歴史を美化し、大ロシア帝国の復活と、自らがその盟主におさまることを夢見るプーチン氏にとって、耐え難い恥辱であろう。 ICCの決断は恐らくプーチン氏の逮捕にはつながらない…