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2017.09.30 (土)

「 自民党は憲法改正へ正面から問題提起を 長期の国家戦略を念頭に議論始めるべき 」

『週刊ダイヤモンド』 2017年9月30日
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1200
 

9月19日、ドナルド・トランプ米大統領が初めての国連総会演説で拉致問題に言及した。

「かわいらしい13歳の日本の少女は古里の海岸からさらわれ、北朝鮮のスパイの日本語教師にさせられた」

米国の大統領による思いがけない言及に、横田早紀江さんが笑顔で取材に応じていた。その2日前に開催された、「今年中に全拉致被害者を取り戻す国民大集会」に、早紀江さんは夫の滋さんと、御自身の体調不良を理由に初めて欠席した。彼女の笑顔は、御夫妻が米大統領の言葉に勇気づけられていることを物語っていた。

拉致問題解決への強力な援護となる米大統領発言に、菅義偉官房長官も「涙が出る程嬉しい」と語った。

トランプ大統領はさらに北朝鮮が米国や同盟国に害を及ぼす場合、北朝鮮を全滅させる(totally destroy)と激しく非難した。金正恩氏の圧政を憎む人々にとっては心強い限りである。しかし、40分を超えた演説はトランプ大統領が日本を含む同盟諸国に多くを求めていることも明らかにした。

「米国は永遠に世界の、とりわけ同盟諸国の偉大なる友人だ。しかし、われわれはこれ以上利用されるわけにいかない。米国は何の見返りもない一方的ディールに甘んじない」

トランプ大統領は拉致された13歳の横田めぐみさんの悲劇を許さず、同盟国日本を最大限の軍事的手段で守ると宣言したが、同時に「米国国民の利益が第一だ」と繰り返し、日本は何をしてくれるのかと問うているわけだ。

自民党幹部が語った。

「トランプ大統領は、北朝鮮攻撃は2日で片がつくと考えているようです。その2日の、極めて激しい攻撃を日本はどのような形で支えるのか。現行憲法の制限を米国政府は十分に認識していて、憲法の枠内でよいが、その中で日本は何ができるのか。日米対話の通奏低音がこの問いなのです」

トランプ大統領に指摘されるまでもなく拉致問題ひとつ考えても、日本の国防体制がいざとなれば全く国防に値するものでなく、めぐみさんたちの救出に資するものでもないのは明らかだ。

一昨年成立した平和安全法制で、北朝鮮有事の時、自衛隊は日本人救出のために北朝鮮に上陸できるようになった。しかし以下の3つの条件がつけられており、実際には不可能だ。(1)当該国(北朝鮮)の了解を得ること、(2)当該国が平和な状況であること、(3)当該国の軍と協力すること、だ。こんな条件がつけられている限り、自衛隊の日本人救出作戦遂行は不可能だ。

こうした状況下、10月22日、衆議院が解散され総選挙が行われることになった。北朝鮮有事が近いと思われる中で行われる総選挙の最大のテーマが、わが国の安全保障体制を如何に強化するかであるのは明らかだ。

いよいよ、めぐみさんたちを救出できる状況が生まれるかもしれない。救出するのは自衛隊以外あり得ず、この時を無為にしてはならない。そのために必要なのは結局、憲法改正であろう。経済大国でありながら、安全保障を米国に全面的に頼らなければ生き残れない、世界一脆弱な日本のその根本を改善する時だ。

だからこそ、世界情勢大激変の中で、自民党は憲法改正について正面から問題提起するのがよい。長期の国家戦略を念頭にきちんとした議論をいま始めるべきだ。

幸いにもアベノミクスはかなりいい線にきている。野党や安倍晋三首相に批判的な人々はアベノミクスはいまだ成功していないと主張するが、安倍政権になってからの経済と民主党政権当時の経済を較べてみれば答えは明らかだろう。失業率は下がり、自殺者も減少し、求人倍率は目ざましく上がった。株価を含めた経済指標も大いに改善された。日本の自力強化に向けて自民党が頑張る時だ。

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