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2014.10.25 (土)

「 「産経」vs「朴政権」の本質は日本vs朝鮮半島プラス中国 」

『週刊ダイヤモンド』 2014年10月25日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1056

10月9日、産経新聞前ソウル支局長、加藤達也氏はソウル中央地検によって在宅起訴され、15日には出国禁止措置がさらに3カ月間延長された。この明らかな言論弾圧に、日本政府は「民主国家としてあるまじき行為」と強く非難した。

加藤氏は韓国のセウォル号が沈没した4月16日、幾多の命を奪った同事故について最終的な責任を負うべき最高指揮官、朴槿恵大統領の所在が7時間も不明だったことについて、記事を書いた。現地有力紙などの報道を引用した記事の内容が朴大統領の名誉を毀損したというのだが、いかなる公人も7時間も所在不明となれば、あらゆる推測が飛び交うのは当然である。ちなみに日本の安倍晋三首相の動静は分刻みで発表されている。大事故発生当日に長時間所在不明などということは、民主主義国では通用しない。

加藤氏の初公判は11月13日となった。つまり、民主主義国では当然の報道をしたことによって裁判にかけられるのだ。これは報道の自由を脅かす言論弾圧以外の何物でもない。

「ウォールストリート・ジャーナル」をはじめとする欧米メディア、国境なき記者団、国連事務総長報道官ら、国際社会はすでに厳しい批判を発表した。韓国地元紙も「朝鮮日報」をはじめ、加藤氏の起訴は、かえって韓国の恥を国際社会に晒すとして、反対論を掲載した。

逆に韓国外務省報道官は10月14日の記者会見で「韓国はいかなる国よりも言論の自由をよりよく保障している」と語ったが、しらじらしいばかりだ。加藤氏の拘束や起訴が正しい措置だと信じているのは、韓国と自身の立場を見極めることのできない朴大統領くらいのものであろう。

だが、日本のメディアの同件の扱いも危うさを含んでいないか。同件は実は、報道の自由の問題を超えて、日韓関係、朝鮮半島の未来、さらには中国問題に行き着く深刻な要素を含んでいる。「産経対朴政権」の対立は「日本対朝鮮半島プラス中国」の対立である。

朴政権の加藤氏に対する措置について、韓国外務省はこれは日韓関係とは無関係だと言った。日韓関係の悪化故に、または歴史問題故にこのようなことが起きたのではないと言ったわけだ。しかし、問題の本質はやはり日韓関係だ。反日のあまり、朴政権は加藤氏を起訴したが、朴大統領を待っているのは親北朝鮮勢力の強化と中国の支配の広がりである。報道に携わる言論人は本来、そこまで読み取って報ずるべき性格のニュースが加藤氏問題だと私は思う。

しかし、日本のメディア、とりわけ国民から視聴料を受けているNHK、その看板ニュース番組の「ニュースウオッチ9」はその点を見ているか。

実は私は過日、慰安婦と女子挺身隊を一体のものとして捏造記事を物した植村隆・朝日新聞元記者と、氏を雇用した札幌市の北星学園大学に、インターネット上で誹謗中傷、攻撃が行われていることでNHKの取材を受けた。

私の主張は先週の小欄に書いた通りだ。下調べとして私の話を聞いたNHK社会部が同件をどの番組でどのように取り上げるのかは私の関知するところではない。

しかし、NHKは加藤氏が外国の官憲にすでに2カ月にわたって拘束され、さらに3カ月間拘束され続けること、記者として当然の公人に対する報道をしたことで起訴されたこと、加藤氏がこれから裁判を闘い続けなければならないことについてどう思うのか。こうしたことを「ニュースウオッチ9」は伝えていない。キャスターの大越健介氏は他のニュース項目についてはコメントしても、加藤氏の件についてはしていない。

これでは何のためのニュース番組かと思う。国民のためのメディアといいながら、こんなメディアでしかあり得ない日本の未来こそ心配だ。

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