「 『国破れて霞が関あり』の現実 バラ撒きでなく、ムダづかい防止を競え 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年8月29日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 802
若林亜紀さんという、ご本人に言わせれば「変わった経歴を持つ」ジャーナリストがいる。
厚生労働省の外郭団体で特殊法人の日本労働研究機構(現在は独立行政法人労働政策研究・研修機構)で「労働白書」などの出版に、10年間、携わった。ところが、そこですさまじい公金の浪費と不正を目にする。彼女は考えたすえに、内部告発をして退職し、ジャーナリストになった。裁判は最高裁まで闘って勝利したが、これが弁護士をつけない本人訴訟だったというから、敬服する。
その若林さんが文藝春秋から『国破れて霞が関あり』を出版したのは今年6月末だった。今、8月末の総選挙に向けて、各政党が国民へのバラ撒きを喧伝中だ。子育てや高齢者への支援、生活重視の議論も確かに大事なことだ。しかし、カネや物に重点を置いた各党の公約は、国民を軽く見過ぎている。同じ、カネについて論ずるなら、どんなに税がムダづかいされているか、それを防ぐにはどうしたらよいかまで踏み込んでほしい。
若林さんの『国破れて』は、その点すさまじい。各省を個別に取り上げ、傘下の独立行政法人における税金の不正使用から信じがたい自己保身の実態まで、実名で書いている。あまりの事態に、読んで思わず笑ってしまうが、次の瞬間、これでは日本は持たないと深く嘆息するのだ。
まず彼女が1991年から10年間勤務した日本労働研究機構である。事務職での採用にもかかわらず、氏は出勤初日に「ニセ研究員」にされる。給与が研究員の予算から出されるからという理由だった。
同研究機構は研究員60人を擁するという前提で国から補助を受けていたが、25人が欠員、10人はニセ研究員だった。彼女はおかしいと思いながらも、「一生懸命働けば本当の研究員になれるかもしれないと思」ったという。
で、研究機構の実態だが、「ほぼ全員が遅刻、昼休みは3時間」「3時のお茶を飲みながら夕方まで暇をつぶし」「5時になると夕刊」「5時半にはさっさと帰」るのだそうだ。職場の和室大広間では、平日昼間から囲碁大会も開かれた。彼女がレポートを書くと、「生意気だ」「必要ない」と上司に止められた。
およそまともな人間のいるところではないのだ。そして、こんなことがあった。当時すでに問題となっていた非正規就労者増加の原因に関して行なった調査で、「大学卒業後、すぐに正社員として就職しなかった人は4年たっても正社員比率が低い」という結論が出た。
同調査結果を発表する段階になって本省の澤田陽太郎労政局長(当時)が、「労働省が法案を通そうとしているときに、都合の悪い結果を発表するのは控えてほしい」と、「横やり」を入れた。
発表は中止され、労働者派遣法の関連法は「無事成立した」と彼女は書く。その後、派遣社員が急増し、現在、大きな社会問題となっていることは周知のとおりだ。
派遣社員の存在が製造コストを下げ、日本経済の競争力を支える要因だという見方がある一方で、いくら働いても満足に生活できず結婚する余裕もない貧困層が多数生まれたのも事実である。
人間を単なる労働力と見なす派遣法について、若林さんは、「一連の法改正は、日本の労働政策の大転換であり、許されない大改悪だった」と手厳しい。派遣も含めて働き方の問題の議論は容易ではない。だが、明らかなのは、不都合な情報を隠したまま派遣関連法が可決され、その裏に、心卑しい特殊法人の存在があり、それを支えるのに巨額の税が投入されているということだ。
各政党は各種バラ撒きよりも日本国に巣くうこうした卑劣な負の構造をいかにして変えていくかを語ってほしい。私の見るところ、自民党も民主党も、霞が関改革に関しては失格である。
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