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2008.11.08 (土)

「米国オバマ大統領誕生で懸念される日本にとっての厳しい時代」

『週刊ダイヤモンド』   2008年11月8日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 763

小欄が皆さんのお目にとまる頃、米国では新大統領が選ばれている。選挙は最後までわからないものだが、一応、オバマ氏の勝利を前提にすれば、日本にとって想像以上に厳しい時代がくる。

氏が当選すれば、大統領も上院も下院もすべて民主党および民主党の優位で占められる。古くは1933年のフランクリン・ルーズベルト大統領のときも、65年のリンドン・ジョンソン大統領のときも、同様だった。

10月17日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は社説で、予測されるオバマ政権の誕生を「活動家政府の復活」と呼んだ。「左翼系勢力の揺るぎない優位の時代」がくると懸念しているのだ。WSJ社説は民主党一色の行政府や立法府から生じる問題として医療保険やより強力な組合の結成や税制など、国内問題を列挙した。けれど、日本の視点から想起するのは、当時の米政府の外交の失敗と、日本が受けた傷である。

19年、旧ソ連で共産主義インターナショナル(コミンテルン)が結成された。コミンテルンと旧ソ連を承認したときの大統領がルーズベルトだった。以来、コミンテルンは米国政府中枢部にまで浸透し、国務省は三ケタの数のコミンテルンのスパイが暗躍する場となった。このことは、情報公開で明らかにされ、“VENONA”(編注:極秘の意)文書としてまとめられている。

米国の対共産主義宥和策は、コミンテルンの活動の国際的広がりに拍車をかけた。コミンテルンはアジア、特に中国に勢力を広げた。

20~30年代、中国大陸で激しい戦いを続けていた国民党と中国共産党が手を結んだ直接のきっかけは、三六年の西安事件だった。同事件を機に、それまで中国共産党を主敵としていた蒋介石が、一転して共産党と手を結び、日本を共通の敵とし始めた。国共合作で、三万人以下の勢力に落ち込んでいた中国共産党は息を吹き返し、日本が敗れたあと、国民党を破って中華人民共和国を建国した。

中国共産党が国民党と手を結んだ背景に、日本軍と国民党軍を戦わせることで、共産党の戦力を保つべしとするコミンテルンの指示があった。中国共産党はじめ、国際社会に一大勢力を築いたコミンテルンの旧ソ連に対して、宥和策を採った米国は、後に高い代償を払って戦い続けたわけだ。米国外交のこの過ちは民主党が議会で力を持ち、大統領職を民主党が握っていたときに端を発していた。

オバマ氏は米国大統領として、イランや北朝鮮と直接対話を行なうと明言している。イランは早ければ、2009年1月中旬までに、核爆弾製造に必要十分な濃縮ウランを手にする見込みだと、「ニューヨークタイムズ」紙が報じた。イランはそれまでに1,500ポンド分の低濃縮ウランを製造できるし、それを再処理すれば核爆弾製造に必要な高濃縮ウランを手にすると見られている。

このようなイランに対して、リベラル中のリベラル派であるオバマ氏は、かつてのルーズベルトと同質の間違いを犯しはしないだろうか。

常に気になることがある。オバマ氏が選挙戦で触れようとせず、ただされればただの“近隣に住んでいた人物”と答えて追及を逃れてきたビル・エイヤーズ氏のことだ。

95年にイリノイ州で上院議員選挙に初挑戦したとき、オバマ氏は最初の選挙運動の会合をエイヤーズ氏の自宅で開いている。単なる“近隣の人”とは思えない間柄である。この人物は極左として知られている。上下両院共に民主党が多数を握り、オバマ氏自身がリベラルなとき、米国はまたもや左翼路線に大きく傾き、外交に失敗し、その結果、米国の力は大きく削がれていくのではないかと思う。それは中国を隣国とする日本にとって、きわめて厳しい時代を意味するのだ。

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櫻井よしこ氏がネット新番組の発表をいたします。
「米国オバマ大統領誕生で懸念される日本にとっての厳しい時代」

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