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2006.04.22 (土)

「 DNA鑑定で一歩前進した拉致問題解明に明らかな障害 “亡国の政治家”2人の関係 」

『週刊ダイヤモンド』    2006年4月22日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 638

横田めぐみさんの夫は、韓国の拉致被害者、金英男(キムヨンナム)氏である可能性が高いというDNA鑑定の結果が、4月11日、発表された。

英男氏は、めぐみさんが拉致された翌年の1978年8月に、海水浴に出かけたまま行方不明となっていた。当時高校1年生だった氏は、現在44歳のはずだ。しかし、2004年11月に訪朝した藪中三十二外務省アジア大洋州局長らが面会した“めぐみさんの夫”と名乗るキム・チョルジュン氏と英男氏が同一人物か否かは、現時点では確認されていない。

めぐみさんの伴侶については、さまざまな情報が飛び交ってきた。英男氏が特定された今、2人がどれほどの不安のなかにいたことかと、あらためて思う。母親の早紀江さんは、相手が北朝鮮の男性でないことが出国をより容易にするのではないかと語る。しかし、2人の安否を確かめ、出国を迫っていくには、日韓両国が緊密に協力し合うことがどうしても必要だ。にもかかわらず、韓国側の無関心はいったいなぜか。

拉致問題への韓国政府および国民の冷淡なまでの無関心は、南北分断の歴史のなかで培われてきた。長年隠されてきた拉致問題が判明したあとも、韓国政府は真相究明に動かなかった。それどころか、金大中政権以来ずっと、韓国政府は明確に拉致問題に背を向けてきた。父親が拉致された崔祐英(チエウヨン)さんは、2000年6月の南北首脳会談で拉致を議題にしてほしいと訴えたが、金大中氏の回答は「ノー」だった。

北朝鮮との関係改善を最重要課題ととらえれば、拉致問題の提起はむしろ妨げになるという金大中氏の考えは、現政権にも引き継がれた。

かたやソウルで取材すると、多くの人びとが、北朝鮮に家族や親戚がいると答える。その比率は驚くほど高い。理由は、拉致被害に加えて、朝鮮戦争で発生した離散家族である。戦争末期に北朝鮮に連れ去られた人びと、あるいは北朝鮮に家族を残して逃げてきた人びとなどさまざまだ。そうした人びとは数百万人から1,000万人、じつに韓国総人口の4分の1に相当するという統計もある。韓国の人びとは、したがって、拉致被害は離散家族被害よりも規模は小さい、小さいから気にしないというのだ。

韓国政府の金正日政権に対する腫れ物に触るような政策にもかかわらず、昨年11月以来、北朝鮮は、韓国が送り続けてきた経済的援助は「南朝鮮当局の腹黒い下心をさらけ出した」もので「われわれの尊厳ある政治体制への挑戦」だと言い始めた。肥料援助や投資援助を受けながら、同時進行のかたちで、盧武鉉大統領の対北援助は「吸収統一」を目指した謀略だと非難する北朝鮮。

背後には、中国への依存がある。「現代コリア」3月号で佐藤勝巳氏が指摘したのは、金正日が次から次へと資産を中国に売り渡している事実だ。北朝鮮最大の鉄鋼資源を有する茂山鉱山の採掘権は、50年分をわずか9億円で売却した。東海岸と西海岸の漁業権も、羅津港の埠頭の長期使用権も売却した。その結果、中国は初めて日本海への自前の出口を確保した。

さらに金正日は、黄海と日本海の大陸棚の石油採掘権も中国に売却した。現金欲しさに、国土と資源をたたき売りに等しい値段で中国に売り渡し、事実上、中国に併合される状況が生じている。まさに国を滅亡に導きつつあるのだ。

にもかかわらず、盧武鉉大統領は自国の拉致被害者の安否さえ尋ねることが出来ず、ひたすら金正日の顔色をうかがうのみだ。盧武鉉大統領もまた、亡国の政治家と言わなければならない。これでは拉致のみならず、どんな問題も決して解決されない。米国との協力を維持しながら、日本政府こそが拉致問題解決に、持てる最大の力を注入しなければならないゆえんである。

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