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2004.01.24 (土)

「 小泉政権への支持率上昇は民主党の頼りなさの反映 外交・安保政策を確立せよ 」

『週刊ダイヤモンド』 2004年1月24日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 第527回

小泉純一郎内閣への支持率が上昇したと、1月13日のNHKが報じていた。小泉政権を支持すると答えた人は8ポイント上がって54%、支持しないと答えた人は9ポイント下がり、35%となったそうだ。

小泉政治のどこが、そのように評価されるのだろうか。首相の掲げた構造改革は、道路公団民営化で無残な失敗が明らかになった。予定していた9,342キロメートルの高速道路全線を造り、1万1,520キロメートルをも目指す構造に改悪されたのが、小泉改革の結論だった。財政投融資と政府保証による無制限の借金の連鎖も断ち切られることなく、続く。郵政三事業の民営化や財投資金からの脱却、特別会計への斬り込みも、見果てぬ夢となったのだ。

小泉改革は掛け声だけだと、心底、思うに至った決定打は、私にとってはこの道路公団民営化だったが、それ以前にも、小泉改革に疑問を抱いた案件は少なからずあった。

たとえば、小欄でもたびたび取り上げた国立大学法人化問題である。今年4月に実施の国立大学法人化は、日本の学問、研究、教育を土台から切り崩していく内容だ。住民基本台帳ネットワーク、個人情報保護法など、改悪としか言いようのない法律の制定および改定の例は、すぐにいくつも浮かんでくる。

そして、ダメ押しが、前述のように道路公団民営化問題だった。
「構造改革!」「自民党をぶっ壊す!」というスローガンは、小泉政治の実態を反映しておらず、真に言葉上の訴えにとどまる構図は、どの案件にも当てはまる。

にもかかわらず、小泉政権への支持率はなぜ、上昇するのか。答えは、国民の信頼を勝ち取りえない民主党にあるのだろう。

民主党の外交・安全保障政策は、どう見ても頼りない。民主党は、現状でのイラクへの自衛隊派遣に反対してきた。集団的自衛権や憲法第九条問題などをしっかり議論してから派遣せよとの主張は、正論である。が、その正論は、結論を先延ばしにし、現状への対処から逃げる姿勢と通底する。

イラク国民の世論調査を見ると、いずれの社の調査にも、イラク国民が強く内政、民生の安定を望み、米英を筆頭とする外国勢の助力を渇望している実態が見えてくる。たとえば、米ゾグビー社の調査では、65%が「1年以内」の米軍駐留を求めており、逆に米ギャラップ社の調査では、72%が「より長い期間」の米軍駐留を望んでいる。

米軍が治安を回復して、インフラを整えて去ったあと、どんな政府をつくりたいのかについては、「米英型の議会制民主主義」と答えたのが、ギャラップ社の調査では39%、英ユー・ガブ社の調査では36%とトップ、次が「イスラム型の合議制政府」で、ギャラップ社で29%、ユー・ガブ社で26%だ。

どんな政府をつくるか、イラク国民も未確定なのが、この数字から見えてくる。しかし、自前の政府をつくるための条件整備に力を貸してほしいとの要望が強いことも、同じく見えてくる。こうした状況が少しずつ日本にも伝わり、自衛隊派遣への支持も広がってきた。そのなかでの民主党の反対は、政権政党となったときに、この政党で国際社会に通じるのかという危惧を、国民に抱かせる原因となっている。民主党に政権を任せるのは心許ないという国民の想いが、先の内閣支持率調査では、自民党への支持率30%、民主党14%という数字となって表れた。政権交代を望むなら、民主党は外交、安全保障政策の見直しがどうしても必要だ。

ここまで書いて考えた。公明党との融合が進む小泉自民党は、確実に質的変化を遂げつつある。自民党は、かつての自民党ではなくなりつつある。となれば、自民党をぶっ壊すと叫んだ首相は、この点だけは公約を守っているのかしら、と。

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