2001.03.31 (土)
薬害エイズ事件で刑事罰に問われていた
2001年3月28日、薬害エイズ事件で刑事罰に問われていた安部英被告人に、東京地裁は、「無罪」の判決を言い渡しました。
判決言い渡しの瞬間、法廷の傍聴席から、これまでに聞いたこともないようなうめきとも驚きともいえる叫び声があがりました。それほど、予想を超えた信じがたい判決でした。1997年から始まったこの裁判を足かけ5年にわたって傍聴してきた私にとっても、まさかの判決でした。
判決の理由をよく読んで痛感したのは、永井敏雄裁判長、そして右陪席の上田哲裁判官らの視線は被害患者には向けられていないということでした。視線は医師の側へ、医療機関の側へとしか向いていません。
そんな判決に接したいま、あらためて問いたいのは、司法はなんのためにあるのかということです。政治も経済も司法も、すべて国民をより幸せにし、国民の生命と安全を守るためにあるはずです。にもかかわらず、今回の判決は、国民が医療を受けるとき、医師の側は最低限の治療さえしていれば罪に問われることはなく、患者は死なされても死なされても、医師の責任を問うことができないといっているに等しいものです。