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2001.02.26 (月)

「 北朝鮮に援助を続け拉致問題を放置する日本政府の弱腰 」

『週刊ダイヤモンド』 2001年3月3日号
オピニオン縦横無尽 第386回

横田めぐみさんのご両親をはじめ、北朝鮮の拉致被害者の家族ら11人が2月25日から3月4日まで米国を訪問し、実情を訴える。

 日本人の問題を米国世論および米国政府に訴えなければならないのは、日本政府に頼っていては、埒があかないからだ。めぐみさんの母親の横田早紀江さんが語った。

「めぐみが北朝鮮にいるらしいと判明してすでに4年目に入りました。私たちはこの4年間、外務省にも頻繁に足を運び政府にお願いしてきましたが、本当に何も進展しておりません。それどころか、まるで、拉致問題は解決されてはならないというような雰囲気さえ、感じます。うかがいしれない闇が、日朝関係の底にあるという実感です」

 早紀江さんは、米政府の対北政策のほうが、日本政府の対応よりわかりやすいというのだ。

 たとえばブッシュ政権は北朝鮮への支援は行なうけれども、それは北朝鮮が約束を履行することが前提だと明言した。対照的なのが北朝鮮が約束を反古にしようとも、ひたすら援助を先行させる日本政府の姿勢だ。

 北朝鮮の約束不履行の事例は多くあるが、2月23日の衆議院予算委員会で新たな事実が判明した。

 民主党の金子善次郎議員が、1995年に日本から送った50万トンのコメのうち、30万トンについて質問したのだ。加藤紘一自民党幹事長、河野洋平外相の時に送ったこのコメは、20万トンが無償援助、30万トンが有償で10年間の据置き後の30年払いである。

 この据置期間には、超低利の利子がつく。北朝鮮側は、この利子をまったく払っていないのだそうだ。

 双方で合意した条件に基づいてコメ支援が行なわれているにもかかわらず、彼らはその条件を守っていない。が、日本側にとって憤るべきは、支払いしないことについていっさいの説明がないことである。食糧庁がすでに46回も督促したが、すべて無視されてきた。

 約束事についての誠意が欠けているにもかかわらず、日本政府はその後も幾度かの無償コメ支援を行なってきた。現在は、河野外相が北朝鮮側に誠意が見える、自分の責任において決定したので了承してほしいとして、50万トンの無償コメ支援を実施中だ。

「なのに、拉致問題についてはカケラも見えてきません」と早紀江さん。

 家族らの訪米に北朝鮮側は怒りに満ちたメッセージを労働新聞で報じた。

「ありもしない拉致問題をあちこちに持ち込むなら」「日朝が合意した行方不明者調査事業さえも消えてしまう」「その解決の道は永遠に閉ざされかねない」というのだ。「わがほうに歯向かっていては、得るものはひとつもないと心得るべきだ」とも報じている。

 拉致された人びとに危険が及ぶかもしれないことをうかがわせる内容だ。めぐみさんの父親の滋さんが語った。

「逆にいえば、彼らにできることはその種の恫喝を口にすることだけだということです。それだけ私たちの動きを気にしているのです。

 私たちは悩み苦しみ、その果てに行動することを決めました。もう、心を決めているのです。私たちが訴えなければ、政府は動かない。親の私たちが全力を尽くすしかないのです」

 河野外相はじめ政府当事者は皆、ご両親の声を聞き、その決意にならってほしい。が、現実は期待できないことを示している。金子議員の質問に、政府委員がこれまで拉致されているのは10人だといわれてきたが、それ以外の行方不明者についても「そういう(拉致の)可能性は当然あると思っている」と答えた。国会で、10人以外にも拉致されていると警察当局が考えていることが明らかにされたのは大ニュースだ。が、問題意識を欠落させた河野外相はなんの反応も示していないのだ。

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「 北朝鮮に援助を続け拉致問題を放置する日本政府の弱腰 」

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