「 『昭和天皇実録』公表で浮上する政治利用への疑問 」
『週刊ダイヤモンド』 2014年10月4日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1053 言論人として自身が目を通していない資料について述べるのは不見識なことだが、それを承知で書いてみたい。 9月9日に公表された「昭和天皇実録」である。1万2,000ページに上る膨大な量だそうだ。これから出版社を選考して来年出版されるとのことだが、新聞社や雑誌社は資料を入手し、それぞ…
「 靖国神社での安倍首相の祈りはすべての人々に捧げられている 」
『週刊ダイヤモンド』 2014年1月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1017 「本日、靖国神社に参拝を致しました。日本のために尊い命を犠牲にされたご英霊に対し、尊崇の念を表し、そして御霊やすかれなれと手を合わせてまいりました」 昨年12月26日、政権発足満一年の節目の日に靖国神社に参拝した安倍晋三首相はこう述べた。首相は神社本殿と共に、同神社の鎮霊社にも祈り…
合祀を気にしていなかった中国 定型化した報道はウンザリだ
『週刊ダイヤモンド』 2013年5月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 984 4月22日、春の例大祭で靖国神社に詣でた。春も秋も、例大祭のときは澄んだ冷たい空気が御社(みやしろ)を包んでいるように思う。空は晴れやかな青磁色、きりりとした空気が緊張感をもたらし、祖国に殉じた人々の魂が私たちを見つめていると感じる瞬間である。 それにしても靖国神社に政治家が詣でるこ…
「 戦略的アプローチと勁さで外交を立て直してほしい 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年9月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 902 なるほど、現在(いま)はひたすら癒やしを求めているのか。多くの混乱と対立、政策の理不尽さという負の遺産を引き継ぐ政権選びはこういうふうになるのか。それにしてもこれで米中両国をはじめ、国際社会に伍して日本を引っ張っていけるのか、そう感じた民主党代表選挙だった。 398人の民主党議員を前に、5人の候…
「映画“靖国 YASUKUNI”で真に問われるべき問題」
『週刊ダイヤモンド』2008年4月12日号 新世紀の風をおこすオピニオン縦横無尽735 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」は、都内四館、大阪市内一館での公開が決まっていたが、突然の上映中止となった。 中止を決めた映画館側は「営業上の総合的判断」「観客や近隣に迷惑がかかる」などを理由として挙げている。 靖国神社問題は、中国が政治問題として取り上げ続ける問題だ。それだけに、日本としては…
「 李登輝氏に見る旧き佳き日本 」
『週刊新潮』 2007年6月21日号 日本ルネッサンス 第268回 5月30日から6月9日まで、台湾の李登輝前総統が日本を訪れた。後藤新平生誕150年を記念して創設された後藤新平賞の受賞のためである。6月1日に六本木の国際文化会館で行われた授賞式は、立見の人が出る盛況だった。その後、曽文恵夫人とお孫さんらを伴って芭蕉の奥の細道の一部を歩き帰京、都内での講演には、これまた1,…
「 小泉参拝、日中外交の基礎とせよ 」
『週刊新潮』 '06年8月31日号 日本ルネッサンス 第228回 小泉純一郎首相の8月15日靖国参拝は過半の国民の意思を反映したもので、明らかに成功だった。8・15参拝後に行われた各紙世論調査の数字はまさにそう告げている。 昭和天皇のお言葉のメモとされる元宮内庁長官、富田朝彦氏の手帳を、“絶妙なタイミング”で報じた『日本経済新聞』の世論調査が、8月21日朝刊に掲載された。結果は支持が…
「 首相の靖国参拝は日本外交の指針 8月15日参拝の意義を重視せよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年8月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 654 小泉純一郎首相が8月15日、礼服着用で靖国神社を参拝した。8月15日の参拝という公約と中韓両国との外交関係とのあいだで揺れ動いてきた五年余の任期の最終段階で、首相は公約を果たすとともに、対中外交において正しい姿勢を示したといえる。 首相の参拝は今後の日本外交の重要な指針となる。中国の主…
「 国益を賭けて果たせ、15日参拝 」
『週刊新潮』 '06年8月17・24日号 日本ルネッサンス 第227回 8月4日、安倍晋三官房長官が今年4月15日に靖国神社を参拝していたことが報じられると、多くの新聞が、これで靖国神社問題が9月の自民党総裁選挙の争点になるのは避けられなくなったと分析した。とりわけ私の目を引いたのは『朝日新聞』だった。 朝日は5日付の朝刊1面で「苦肉の隠密参拝」とし、2面の「時時刻刻」で、安倍氏は…
「 富田メモ、今や必要な全面公開 」
『週刊新潮』 '06年8月10日号 日本ルネッサンス 第226回 何とも全体像がわからないのが「富田メモ」だ。元宮内庁長官の故富田朝彦氏が昭和天皇のお言葉として書き残し、『日本経済新聞』が報じたあの断片的なメモには実に多くの謎がある。 日経が報じたのは、4枚続くメモの、最後の頁の一部である。ところが、日経が報じなかった3頁目に書かれた文言が、テレビで裏がえしで報じられていたのを反転さ…