日本の歴史的遺産が負のかたちで今日なお台湾政治を動かしている
『週刊ダイヤモンド』 2012年1月28日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 921 これまで複数回、台湾の総統選挙を取材したが、今回は日本の台湾統治の後片づけは終わっていないという特別な想いを抱いて帰国した。敗戦後の日本は戦後の台湾事情に関しては基本的に無関係で過ごしてきた。台湾だけでなく日本が戦前かかわった国々の国内政治にはなんの介入もしなかった。それは当然のことではあるが、は…
「中国に引き込まれるか、再選の馬総統」
『週刊新潮』 2012年1月26日号 日本ルネッサンス 第494回 1月14日、諸国の先頭を切って台湾の総統選挙及び立法院選挙が行われた。与党国民党の馬英九氏が再選を果たしたが、得票数は4年前の総統選挙での756万票より67万票少ない689万票にとどまった。国民党が立法院で得た議席は113議席中64。法案成立に必要な過半数は押さえたが、憲法改正も可能とする全議席の4分の3に肉薄した前回より、大…
「韓国による朝鮮半島の平和統一の支持を野田政権は宣言すべきだ」
『週刊ダイヤモンド』 2012年1月21日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 Number 920 北朝鮮の金正恩氏ほど、世界がその実像を知らない指導者はいない。なんといっても、約20年も前に「金王朝」の料理人だった人物の解説が今も各種メディアで珍重されるのである。 だが、人となりが正確にわからなくとも、金正恩新指導部の展望がいかに危ういか、それによって日本の安全保障体制がどれほど…
「 世界中の『指導者交代ラッシュ』で『日本』の正念場 」
『週刊新潮』 2012年1月19日号 日本ルネッサンス・拡大版 第493回 国際政治はいつの時代も首脳の資質に左右される。1981年に誕生した米国のレーガン大統領は、79年に政権を奪取した英国保守党のサッチャー首相、さらには82年に首相となった中曽根康弘氏らと社会主義体制のソ連邦と対峙した。 自由と民主主義陣営が冷戦に勝利して、ユーラシア大陸のアジアには5つの一党支配の社会主義・共産主義国が…
「 野田首相の基本的方針は正しい 価値観を掲げて総選挙に挑め 」
『週刊ダイヤモンド』 2012年1月14日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 919 年明け、新聞が総選挙近しとして立候補者および選挙区動向を特集し始めた。4日の年頭会見で、税と社会保障の一体改革を最重要課題とし、消費税の増税法案提出にこだわる野田佳彦首相の前途を、各紙は「非常に困難」と分析し、解散総選挙を予測する。現状は確かにそうなのであろう。そこで、就任以来4ヵ月間の、野田首相…
「 激動のアジア情勢、危うい野田外交 」
『週刊新潮』 2012年1月5・12日合併号 日本ルネッサンス 第492回 野田佳彦首相は首相の座にありながら、油断がすぎる。年の瀬に韓国、中国、インド、年明けに米国へと立て続けに首脳外交を予定しているが、十分な準備と覚悟はあるのか。そうは思えないのが、12月17、18両日の李明博韓国大統領との会談だった。 韓国では市民団体の韓国挺身隊問題対策協議会が12月14日に、ソウルの日本大使館前に慰…