「 自由と民主主義とは別の価値観を力で押しつける勢力との対峙 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年2月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 876 2月10日、エジプトのムバラク前大統領は、最後の演説を行った。スレイマン副大統領に権限の一部を移譲し、自身は9月まで現職にとどまって、即時辞任は拒否すると述べたのだ。米国のオバマ大統領はこの演説に怒り、エジプト軍もこれを了承せず、結果として、30年に及ぶムバラク体制はこの時点で崩壊した。 その…
「 高速道路無料化を根本的に見直せ 」
『週刊新潮』 2011年2月24日号 日本ルネッサンス 第449回 国交省は2月9日、新たな高速道路無料化の社会実験区間を発表した。昨年度の区間を継続する一方で、6月から時間帯や車種を問わない無料化区間を329キロ延ばして計1,981キロ、全高速道路の22%に増やす。一方、トラックやバスなど中型車以上の夜間無料化区間を、北海道、東北、北陸日本海側、九州西岸などを中心に1,493キロ設けるという…
「 貧困と過激派の芽が混在し難航するエジプトの政権移譲 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年2月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 875 オバマ大統領がエジプトのカイロに元駐エジプト大使のウィズナー氏を特使として派遣したのは、ムバラク大統領に即時、もしくは早期に退陣するよう説得するためだったと見られていた。 だが帰国したウィズナー氏は五日、オバマ大統領に、ムバラク大統領による政権維持が今致命的に重要で、米国は即時辞任など求めるべき…
「 帰米日系人が辿った戦争の歴史 」
『週刊新潮』 2011年2月17日号 日本ルネッサンス 第448回 2月5日、千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で「日系アメリカ人の戦時強制収容の記録」を見た。日系3世の伊奈さつきさんの家族史を軸に、帰米日系人が第二次世界大戦の前後、また大戦の最中、どのように扱われ、どのように生きたかを描いた約60分の実録映画である。 帰米とは、米国生まれで米国籍を持ち、教育などを日本で受け、再び米国に戻った日…
「 ネット革命による体制変革を民主主義社会への転換につなげたい 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年2月12日号 オピニオン縦横無尽 874 チュニジアから始まり、2月3日現在も、激しくエジプトを揺るがしているデモは、ツイッターやフェイスブックなどのインターネット革命によって可能になった。 中東における従来の体制変革が軍事クーデターや米軍との戦い、過激なイスラム原理主義勢力の台頭などに起因していたのとは対照的に、チュニジア政府を倒し、エジプトに広がった…
「 家族解体の民主党・男女共同参画 」
『週刊新潮』 2011年2月10日号 日本ルネッサンス 第447回 1月22日、自民党本部で第3次男女共同参画基本計画について考える政策勉強会があった。立ち見が出る盛況振りで、聴衆の圧倒的多数は20代、30代の男女だった。 なぜいま男女共同参画問題なのか。菅民主党内閣が昨年12月17日に閣議決定した「第3次男女共同参画基本計画」は2011年度から5年間、わが国の基本方針となるが、その内容が余…
「 異常な軍拡に統制の危うさ 中国の異質性は高まっている 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年2月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 873 中国の胡錦濤国家主席の訪米で米国メディアが展開した批判はすさまじく、それはオバマ大統領にも及んだ。 一例が「ワシントン・ポスト」紙である。オバマ大統領を「ノーベル平和賞受賞者を拘束する国家元首を公式に招待する最初の米大統領」と批判し、CNNテレビは1月19日の歓迎式典の中継で、「ノーベル平和賞を受…
「 日本こそ認識せよ、国際法の厳格さ 」
『週刊新潮』 2011年2月3日号 日本ルネッサンス 第446回 過日、日本の国防体制の問題点について元外交官で国際的視点から国防問題を研究してきた色摩力夫(しかまりきお)氏の意見を聞いた。興味深かったことのひとつが国際法と国内法の比較と相違だった。 国際法に平時国際法と戦時国際法の2つがあるのは周知のとおりだ。また、一旦批准すれば、全ての国際法は憲法と国内法の間に位置づけられる。憲法はそ…