「 完全敗訴でも開き直る文科省 」
週刊『週刊新潮』 2007年4月26日号 日本ルネッサンス 第261回 去る3月29日、東京高裁で極めて地味な、ある裁判の判決が言い渡された。判決は、被告である国(文部科学省)に40万円の支払いを命じた。上告期限の4月12日になっても、敗訴した国が上告しなかったため、判決は確定した。原告で元東大医学部輸血部長、柴田洋一氏の勝訴が確定した瞬間である。 柴田氏は03年9月に、情報公開制度…
「 実態は外交戦争に等しい日中関係 その対極にある台湾の懐の深さ 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年4月21日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 687 4月第一週を北京で過ごし、安倍晋三首相の昨年秋の訪中後の変化を見た。会う人全員が、しばらく前とは打って変わって、日中関係の改善ぶりを強調し、中国が未来志向の関係構築を望んでいると語る。彼らは一様に、二国間関係の構築の条件は二つ、靖国神社への総理参拝は行わないことと台湾問題に口出…
「 外国特派員団に南京事件否定論 」
週刊『週刊新潮』 2007年4月19日号 日本ルネッサンス 第260回 4月2日、立命館大学教授の北村稔氏が東京有楽町の外国特派員協会(FCCJ)で講演した。テーマは「南京事件」或いは「南京大虐殺」である。氏は『「南京事件」の探究 その実像をもとめて』(文春新書)の著者で、今回は同書の英訳本『The Politics of Nanjing』(University Press of Ame…
「 沖縄の集団自決をめぐる教科書検定に異議を唱えたNHKの偏向報道 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年4月14日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 686 高校の歴史教科書における沖縄戦についての記述に、文部科学省から検定意見が付いたとして、3月30日のNHKはこれを大きく報じた。検定で問題とされたのは、第二次世界大戦末期の沖縄戦において、旧日本軍が住民に集団自決を命じたというくだりである。NHKはまず、集団自決を命じたとされて…
「 『京都議定書』は空手形に終わるか 」
週刊『週刊新潮』 2007年4月12日号 [特集]日本ルネッサンス 第259回 昨年11月、ケニアのナイロビで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議第12回会合(COP12)の会議で英国財務省作成のスターン・レビューが発表された。内容は、人類が直ちに地球温暖化の原因となる二酸化炭素削減に取り組めば、年間の対策費は世界のGDPの1%で済むが、放置すれば、5~20%が必要になる…
「 薬害肝炎訴訟で司法が裁いた国の責任 無意味な控訴は避け早期の政治決着を 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年4月7日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 685 3月23日、東京地方裁判所は薬害肝炎訴訟で、製薬企業とともに国の法的責任を明確に認めた判決を下した。 手術や出産に当たって、止血のために投与された濃縮血液製剤によってC型肝炎に感染したとして、東京、仙台、名古屋、大阪、福岡の全国五地裁で提訴されたのが薬害肝炎訴訟だ。うち、すで…
「 訴えるゴア元米副大統領 」
週刊『週刊新潮』 2007年4月5日号 [特集]日本ルネッサンス 第258回 映画「不都合な真実」が連日立ち見だそうだ。元米国副大統領のアル・ゴア氏が世に問うた同作品は、慈しみ合いのなかで、家族を形成してきたゴア家の物語と、人類の直面する環境問題を融合させた内容である。人間の欲望と身勝手ゆえに進んだ地球温暖化。たったいまから皆が生活を変えなければ、「将来世代に対して、破滅し…