「北京五輪、日本こそ異議を唱えよ」
『週刊新潮』’08年4月17日号
日本ルネッサンス第309回
北京五輪聖火リレーの走者でフランスの元テニス・プレーヤー、アルノー・ディパスカル氏が、炎の消えたトーチを手に茫然と立ち尽くしている。なんと象徴的な映像だろうか。
ロンドンでは警官隊2,000名による警備が、度々破られた。パリ市当局は、ロンドンの二の舞を防ごうと、3,000名の警官を配置して、外国のVIPを迎えるのと同じ厳戒態勢で臨んだ。マシンガンで武装した警備兵がリレーコース沿いの地下鉄入口に立つなか、聖火は、フランス国家警察機動隊の車輛48台をはじめ500名を超える機動隊員や警官隊らに守られて運ばれた。
それでも隊列は破られ、聖火は4度も消された。激しい抗議に直面して、聖火を消さざるを得ない異常事態の発生は前例がない。パリでのリレーは途中で打ち切られ、トーチと種火はバスで最終地点に運ばれた。
北京五輪の聖火リレーは、明確に失敗したのだ。国際社会は、チベットに対する中国の弾圧に烈しく抗議しているのである。
他方、中国国営の新華社通信は「パリでの聖火リレーはスムーズに始まったが、途中で抗議に遭い、バスの中に避難した」「パリ市民はチベット独立分子による妨害行為に憤りを感じている」として、国際世論は北京五輪を支援していると強調した。
明らかに真実は逆である。五輪開会式への出欠を明確にしていないサルコジ仏大統領の欠席を、いまや62%の人々が支持し、欠席を示唆する各国指導者には、ナンシー・ペロシ米国下院議長、プラスニク・オーストリア外相、レインデルス・ベルギー副首相らがいる。ポーランド首相、ドイツ首相、チェコ大統領は欠席を表明済みだ。
チベット人が命を賭けて問うているのは、他民族を武力で弾圧し続ける一党独裁国家の蛮行を、国際社会は黙認するのかという問いだ。そして国際社会には、中国の弾圧を見過ごすことは出来ないとの断固たる思いが広く深く存在する。
見るに意味なし、NHK
これまで政治とスポーツは別との立場をとってきたIOC(国際オリンピック委員会)のロゲ会長でさえ、4月7日、各国オリンピック委員会連合(ANOC)総会の開かれた北京で「チベットにおける対立の速やか、かつ平和的な解決」を求めた。ノルウェーオリンピック委員会委員長のポール氏は「聖火リレーの計画変更が必要か否かの検討をしなければならない」と述べた。計画変更がリレーのコースや規模の変更なのか、リレー自体の取り止めなのかは定かではない。しかし、これまで目を向けなかった大規模抗議活動に、IOCが留意せざるを得なくなったのは確かである。
中国政府は、それでも強気である。「通過国当局に順調なリレーを保証する義務がある」とし、各国に警備態勢の強化を求めたのだ。そのような中国に対して、リベラルな論調と中国贔屓で知られる米国東海岸の新聞、「ボストン・グローブ」が4月8日、「北京の主敵」という社説を掲げた。「北京五輪が近づくにつれて、中国当局は、中国共産党支配を批判する言論人、チベット仏教の僧侶たち、新疆の回教徒などの弾圧に乗り出した。彼らは国家の敵とされ、収容所に拘束されている」と指摘した。「中国の頑なな独裁者たちの常軌を逸した支配は、彼らに対する国際社会の批判が正しいことを証明しているのである。急激な経済成長を遂げても、人権尊重において、五輪主催国に相応しい資格を欠くこと甚だしい」、中国当局こそが、北京五輪の敵なのだと結論づけた。
翻って日本はどうか。
7日、聖火リレーのトーチが当局によって消されたという衝撃のニュースを、私は20時すぎの「CNN」で知った。「BBC」に切り換えてみると、「炎が消された」との確認情報をパリ支局が報じていた。飛行機などを駆使する聖火の運搬では、種火だけを運ぶこともあるのだろうが、大規模な抗議行動の前に、トーチの炎を消さざるを得ない状況に追い込まれたのは、異常中の異常で、北京五輪はまさにこの点でも歴史に残るだろうと考えた。それだけに、同ニュースを21時のNHKニュースがどう伝えるのか、大きな関心があった。
だが、NHKは一言も報じなかった。事件発生から、30分以上がすぎているのに、21時のニュースで報じないのは何故か。情報が入手出来ていないのか。とすれば、速報を旨とするテレビ報道では落第である。それとも、情報は入手していても、伝えなかったのか。とすれば、情報の価値への適正な判断が出来ないという点でこれまた落第である。NHKの報道は見るに意味なし、聞くに意味なし。その点で受信料を払う甲斐もないと嘆息するゆえんだ。
福田康夫首相も存在意義を欠く。チベット人の抵抗について、事態を把握していると思わせる首相発言は、皆無である。古くからの日本とチベットの関係、多くの価値観の共有、親日であり続けてきたチベットの近代史を考えれば、いまこそ日本政府が物を言わなければならない。
「親日」チベット人の国旗
両国関係はダライ・ラマ13世が統治した1910年代、仏教関係者を軸にした交流から始まる。チベット出身のペマ・ギャルポ氏が語る。
「13世は、日本の東西本願寺と密接な関係を築きたいと切望し、仏教国として留学生交換制度を作りました。仏教同盟で結ばれた両国間には軍事的な絆もありました」
ちなみにチベットは、7、8世紀にかけて軍事大国として力を誇った。その後、仏教への帰依が強まり、日本で言う戦国時代を経て、ダライ・ラマを頂点とする仏教国へとチベットは変遷を遂げたのだ。
1910年代以降、チベットとの関係を日本は開拓し、13世が進めたチベット近代化を支援した。軍事面でも最新式の軍事教練をチベットに施した。ペマ氏が解説した。
「チベットは同じ仏教国で、先進国だった日本に親しみを抱いたのです。そして第二次世界大戦のとき、チベットは連合国から基地として国土を使わせてほしいと要請されます。中国で勢力を拡大する日本に対抗するためです。日本との友好関係に基づいてチベットは断りました。日本は敗れましたが、チベット人は今でも親日です」
チベットの国旗はダライ・ラマ13世と親交のあった青木文教氏の助言を得て現在のデザインになったとも、ペマ氏は語る。
そんなチベットで進行中の人権弾圧と、民族浄化と呼ぶべき「チベット文化の虐殺」に蓋をしたままの中国に、平和と友好のためのスポーツの祭典を開催する資格はあるのかと、国威発揚を目論む中国に、日本はどの国よりも抗議をしなければならない。首相が中国を気にして言えないのなら、心ある政治家たちが、声を大にして発言すべきだ。
福田首相の北京五輪開会式不参加を要望
一昨日(15日)の本会第11回幹事会は議員40名の出席の下、開され、審議事項の一つである「福田首相の北京五輪不参加を求める決議文」を全会一致で…
トラックバック by 草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN — 2008年04月23日 18:26
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トラックバック by 闕芽漆蟠幄オキ繝シPRIDE OF JAPAN — 2008年04月24日 06:30
【緊急支援】胡錦濤来日時にチベット旗だらけにするOFF
6日に胡錦濤国家主席が日本に来日するとのことで飛んで火に(ry
どうやら日本だけエクストリーム・聖火リレーはボーナスステージのようです。
つまりまだ日本のターンは終わ…
トラックバック by 帝國ブログ — 2008年05月04日 14:17
自民売国勢力、移民庁設置を画策
自民、外国人定住へ基本法・「移民庁」設置など検討
聖火リレー事件により、たかが数千人の中国人による撹乱工作程度で国内法が機能しなくなるという実態が明らかになったばか…
トラックバック by 政治ブログ — 2008年05月06日 04:00