「 『民団』団長就任後に続く異常事態発生の不可解 河丙鈺氏はいったい何者か? 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年7月8日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 648
在日本大韓民国民団(民団)を舞台にして発生した異常事態に対して、長年、日本と韓国の相互の発展に尽くしてきた民団の良識派の巻き返しが行なわれている。
異常事態の進行は、5月17日に突然発表された「民団・総連5・17共同声明」によって明らかになった。同声明は、約45万人のメンバーを擁する民団が、その一割程度のメンバーしか持たず、拉致、麻薬、偽札、不正資金洗浄などの犯罪にもかかわらず、現在も金正日総書記を信奉し、支え続ける在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に、事実上吸収合併されることを意味するものだった。
共同声明は、2つの組織が年来の対立を乗り越え協力関係を築いていくことを謳い上げ、具体的活動として、韓国の光州で6月15日に開催された「民族統一大祝典」への共同参加、日本の植民地からの解放を記念する「8・15記念祝祭」の共催に加えて、民団が2003年以来行ってきた脱北者支援センターの活動中止などを挙げていた。
上の共同声明が発表されるや否や、民団地方本部から反対の声が上がった。5月18日には長野県地方本部が、民団と朝鮮総連は脱北者、拉致、人権問題などでの立場の相違があまりにも大きいとして、両組織の和解に反対した。
新潟県、千葉県、東京都地方本部の9つの支部、愛媛県、富山県の各地方本部も反対を表明した。民団中央本部にはそのほかにも多くの反対意見が寄せられ、共同声明で提唱された行事の共同参加や共催はすべて見送られた。6月24日、全国からの要求によって民団執行部がついに臨時中央委員会を開催。参集した中央委員約200人を前に、団長の河丙鈺(ハ・ビョンオク)氏は、5人の副団長全員を辞任させて新たに3人の副団長を任命する意向を示した。また、朝鮮総連との共同声明は、民団の機関決定を経ずに合意されたとして謝罪、「和解」の合意は「白紙に近い状態」だと述べ、自ら共同声明の正当性を否定した。
臨時中央委員会はそれでも治まらず、全中央委員の半数を超えるメンバーから河団長の辞任を求める声が相次いだ。だが、団長への責任追及の声が高まったとき、突然、議長が委員会を事実上中断したという。その結果、団長辞任については決着を見ないまま閉会した。
ここで、河団長の人物像を知る必要がある。氏は今年2月に団長に就任すると、4月11日には民団執行部を率いて訪韓し、青瓦台で盧武鉉大統領と面会。その席で氏は、毎年8億5,000万円の本国政府から民団中央への支援金の継続を陳情したという(5月30日付「産経新聞」正論/西岡力氏)。ちなみに、盧大統領は理解を超えるほどの親北路線を継続中である。
その二週間後、民団は突如、朝鮮総連と在日韓国民主統一連合(韓統連)に接触した。朝鮮総連は北朝鮮の出先機関であり、韓統連もまた金総書記べったりの組織だ。金総書記の手足として機能する両組織に取り入るかたちで民団の側から持ちかけたこの三者会談から、先の共同声明が生まれていったのだ。
民団内部に驚愕の波紋を広げた共同声明発表の主役、河氏には、民団の団長でありながら北朝鮮の影が色濃く漂う。朝鮮総連の朝鮮学校で講師を務めていたことは氏自身も認める事実である。加えて氏は否定するが、朝鮮大学の卒業生だとの報道もある。
民団に発生した異常事態が、事実上、朝鮮総連による民団の吸収合併につながるものであること、そのような異常事態が、河氏の団長就任後、機関決定も経ずに短期間に発生したことを考えれば、河氏がいったい何者なのかはきわめて重要な要素となる。自身の経歴については、氏自身、詳しく説明する責任がある。
盧武鉉政権:誕生前夜 その4・・国民参与と「族閥言論」
激烈な選挙戦を経て、 大韓民国第16代の大統領となった盧武鉉。 今回の「その4」では 彼の就任後の、ネットを駆使したポピュリズム全開の …
トラックバック by 待避禁止! — 2006年07月15日 01:40
対北朝鮮経済制裁 其の参 【資金経路】
北朝鮮はどのように資金を得ているのか?
トラックバック by 徒然なるままに@甲斐田新町 — 2006年07月15日 11:02
国連安保理:対北朝鮮決議の採択・・北の強硬化と今後の展開
◆中露含む全会一致で北朝鮮決議を採択
国連安全保障理事会は15日午後(日本時間16日早朝)、
公式会合を開き、…
トラックバック by 短く斬れ — 2006年07月16日 21:22
北朝鮮のサイバー戦能力は?・・亡命コンピューター技術大学教授の証言
◆北朝鮮軍にサイバー戦部隊、労働党らが直接統制
合同参謀本部で幹部を務めた軍消息筋が11日、
北朝鮮軍が人民武…
トラックバック by 短く斬れ — 2006年07月19日 00:52