「 論外の中国案、ガス田共同開発 」
『週刊新潮』 '06年3月23日号
日本ルネッサンス 第207回
東シナ海の天然ガス田をめぐるせめぎ合いで、日中両国が展開する外交は、余りにも対照的だ。
たとえ相手を騙してでも目的達成を目指す勢力と、相手を信じたいと虚しく希望する勢力が相対すれば、敗れるのは後者だ。この場合、前者は中国政府、後者が日本政府であるのは言うまでもない。
3月7日に終了した第4回日中政府間協議での、中国側の提案は予想どおりだった。彼らの提案した共同開発は二か所。一か所は日中中間線から深く日本側に入った尖閣諸島北の海域だ。流石に尖閣諸島から12マイルの日本の領海には入り込んではいないが、それでも日本側排他的経済水域(EEZ)のまっただ中だ。
もう一か所は、現在中国が開発を進めている白樺(中国名春暁)、楠(断橋)、樫(天外天)など一群のガス田の北、日韓大陸棚にかかるこれまた中間線より日本側のEEZだ。
日本が前もって中国に要求していたのは、①白樺と楠など、明確に中間線を跨いでいるガス田の共同開発、②それ以外については中間線の各々の側で双方が独自に開発する、③共同開発についての合意が成立するまでは、中国は白樺、樫の各ガス田での作業を中止する、だった。
中国はこれら全てを拒否し、日本側海域のみでの共同開発を提案し、厚顔にも「東シナ海を平和の海にしたい」と言ってのけた。
時期を同じくして李肇星外相が内外の記者団に、感情も露わに首相の靖国参拝とヒトラー、ナチス崇拝を同列視して口汚く日本を罵った。
東シナ海を平和の海に、という言葉が虚しく響く。
にもかかわらず、取材を進めてみると、日本側に奇妙な空気が流れているのに気づく。驚くことに、今回の中国提案を評価する空気である。
評価の理由は、前述の日韓大陸棚にかかる“北の海域”での共同開発が、中間線を越えて中国側に張り出す可能性があるにもかかわらず、中国側が“敢えて”それを提案したからだ。
この提案を“中国の変化の兆し”と読み解こうとする空気が日本側にあるのだ。中国の一部の人々は変化を志向しているのだが、中国国内にはまだ頑迷な軍部や守旧派がいて、開明派が苦労しているという解釈だ。そこから生ずるのは、開明派を助けるために日本側も少しは譲ってやろうという配慮である。
中曽根康弘氏は首相在任時の85年、靖国神社公式参拝を中国に非難され、翌年から参拝を止めた。氏はその理由を、胡耀邦党総書記の失脚を避けるためと説明した。良好な日中関係を築こうとした胡総書記の足を引っ張るまいと、中曽根氏が決断したのが靖国神社参拝中止だった。
だが、政敵を葬り去る口実など、山程作り出せる。胡総書記は失脚、そして中国は今日に至るまで靖国カードを握るに至った。中曽根氏は明らかに判断を間違えたのだ。そして今もその間違いの延長線上に立ち、靖国に代わる施設を建立せよと説く。政治家が自国の国益を二の次にして他国の国内政治の片方の勢力に力を貸した結果がこれである。今回も日本政府は同じ轍を踏もうとするのか。
鉄面皮で押し通す中国
そもそも東シナ海について、中国の主張は支離滅裂だ。彼らは、自分たちは過去20年近く同海域を開発してきた、中間線は認めないが、日本に配慮して中間線を越えないようにしてきた、それを今更、共同開発と言われても出来ないというのだ。
中国の主張は前提から間違っている。日本が中間線を主張し、中国が受け容れていないということは、東シナ海全域が係争海域であることを意味する。国連海洋法は係争海域での開発を禁じている。つまり、中国は過去約20年も、国連海洋法に違反してきたと自ら告白しているのだ。
また、海面上で中間線を越えていなくても、ガス田は海底で日本側に大きく広がっていることがわが国の調査で確認された。真っ当な国なら一時、その時点で開発を中止し、日本側と協議するだろう。
中国はこれまでも、そしてこれからも決してそのようなことはしないだろう。なぜなら彼らは92年に領海法という法律を作り、東シナ海は沖縄直前の沖縄トラフまで全て中国領だと決めているからだ。中間線を越えなかったのは、日本への配慮というより、日本外交の甘さをよくよく読んでのことであろう。目に見える形で中間線を越えさえしなければ、日本は“一線は越えていない”として、東シナ海の現実と中国の脅威に目をつぶるに違いないと見通していたことだろう。日本が主権国家として正しく対処しようとすれば、当然中国との間に摩擦が生ずる。摩擦を最も怖れるのが日本外交である。ならば摩擦を起こさなくともよいように、日本が自己弁明出来るように、認めてもいない中間線から、申し訳程度に中国側に入ったところで井戸を掘ったのではないのか。
日本の主権を行使せよ
中国が70年代、80年代に南シナ海でやってきたことを、日本政府はなぜ、しっかり分析しないのか。中国は、ベトナムやフィリピンを相手に軍事力で西沙諸島と南沙諸島の実効支配を打ち立ててきた。その手法は、話し合いの一方で強引に実効支配を固めていくというものだ。
今回の中国の提案を地図上で確かめるとその意図が明らかになる。彼らは東シナ海の中間線の西側で独自の開発を進めてきた。今回の提案は、開発範囲を、中間線の東側、さらに日韓両国が争う日韓大陸棚、つまり東シナ海の北部まで広げることを意味する。中国は東シナ海全域に手をのばし、全て中国の海だと宣言しているのが今回の提案だ。これを中国の変化の兆しとするのは希望的観測にすぎない。少なくとも海洋権益に関する中国の過去の行動はそう告げている。
中国の意図を知る最も大事な手がかりは、中国が何を言ったかではなく、何を言わなかったかである。真に平和の海を望む国は、今回のような、隣国への挑戦状に等しい厚顔無恥の提案はしないものだ。中国は、それが可能なとき、南シナ海で西沙諸島と南沙諸島を奪ったように、東シナ海でも日本からこの海と資源と尖閣を力で奪うであろう。日本の為政者は、そのような状況を念頭において、対策を立てなければならない。
対策の第一は、中国同様、話し合いを続行させつつ日本の資源を開発することだ。試掘権を与えた帝国石油の作業の安全と効率を担保するために、外務省、防衛庁、経産省など関係省庁一体の支援体制を作りあげなければならない。尖閣諸島及び日本の海域に、自衛隊、海上保安庁が目配りする警備体制の確立も急がなければならない。日本の領土、領海、排他的経済水域で、日本の主権を行使するのは国家として当然の責務で、国際法上問題はない。主権国家としての振舞いなしには、どの国とも対等の外交はあり得ないのだ。
李肇星、最後の悪あがき
やっぱり、焦ってたのね。 先日の靖国神社参拝批判は耄碌李肇星の私利私欲、中共首脳部に対する点数稼ぎの最期の悪あがきでしたwおしマイケル
トラックバック by 神のいどころ — 2006年03月24日 20:34
人権・同和教育の政治的中立を
福岡県の教育現場は全国的に見てかなり正常化が進んでいます。
しかし、それも完全とはいえず、主任制が有名無実化していたり、偏向した教育が行われている学…
トラックバック by なめ猫♪ — 2006年03月24日 22:44
施行する気満々の鳥取県人権条例
鳥取県の人権救済条例が無期限停止されたようです。しかし・・・
J( ‘ー`)し「しかし、何?」
(‘A`)「記事の下から2番目をお読みください」
…
トラックバック by あきログ — 2006年03月24日 23:03
しっかり!中華人民共和国
私の父は、朝鮮人が大嫌いだ。それは、もう40年ぐらい前、父が勤めていた会社を辞め、自分で会社を興して間もない時に、西成の朝鮮人にだまされ、その会社が倒産し…
トラックバック by 三笠の山に出でし月かも — 2006年03月25日 01:29
駐上海総領事館員自殺事件の後始末ー「血のバランス」はまだとれていない…
日華(台)親善友好慰霊訪問団
東京支部長 藤田 達男
●テクノロジーは一流、運用術は二流以下?
去る3月7日から10日まで、東京ビッ…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年03月25日 11:25
駐上海総領事館員自殺事件の後始末ー「血のバランス」はまだとれていない…
日華(台)親善友好慰霊訪問団
東京支部長 藤田 達男
●テクノロジーは一流、運用術は二流以下?
去る3月7日から10日まで、東京ビッ…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年03月25日 11:25
すみません、お金ありません
あー。
天気いいなー。
どっか行きたいなあ。
会社には来てるけど。
そういやー、中国への円借款閣議決定見送り。
どうなるんでしょうねえ。
もうやめちゃえ…
トラックバック by ふまじめざんス — 2006年03月25日 12:06
我が郷里の「原爆ドーム」!(記事にしたくない記事・・)
決して私が愛器(カメラ)にて、一生涯撮影などしたくなかった「原爆ドーム」を撮影してしまった・・・
(撮影日時:2006年3月25日午前10時過ぎ)
本…
トラックバック by エセ男爵酔狂記 Part-II — 2006年03月25日 20:29
金で日本の政策を買う
大変危険な法案です。今でもどこの国の政治家?と思うような
人達がいますが、合法的に日本を売り渡す事が出来ます。
毎日新聞より以下引用
自民党は17日…
トラックバック by イプサム — 2006年03月25日 22:54
胡錦濤は米国にとって国賓ではないようだ。
米国にとって、中国はえたいの知れない成り上がり国家としか写っていないようである。4月20日に予定をされている胡錦濤の米国訪問は、ビジネスライクであり、「国…
トラックバック by よろずBLOG — 2006年03月26日 00:58
「いのち」を通して見えてくる日本再生への道
戦後60数年経過し、日本は平和を謳歌し世界第二の経済大国となり、物質的にはこれ以上ないというくらいの豊かさを満喫している。その反面物質的豊かさと裏腹に、精…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年03月26日 10:03
「いのち」を通して見えてくる日本再生への道
戦後60数年経過し、日本は平和を謳歌し世界第二の経済大国となり、物質的にはこれ以上ないというくらいの豊かさを満喫している。その反面物質的豊かさと裏腹に、精…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年03月26日 10:03
中国の油田開発要求 中国の油田開発
油田開発問題には、名もないオヤジも、呆れるばかり
トラックバック by オヤジのつぶやき — 2006年03月26日 11:08
東シナ海ガス田問題 その1・・資源と国益
先日、北京で開かれた第四回日中政府間協議で、中国側は日本の共同開発の提案を拒否
トラックバック by 待避禁止! — 2006年03月26日 13:44
中国が変わる
そんなわけないよね。朝日より以下引用
中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席が31日、日中友好7団体代表との会談で示す「重要講話」の草案の概要が明らかに…
トラックバック by イプサム — 2006年03月26日 23:50
人民日報曰く「琉球群島は尖閣諸島を含む」
前回のコメント欄でa Jupさんが紹介してくださったブログの記事を眺めてみます。 この記事は、1953年1月8日付けの人民日報の「琉球群島人民反対美国占…
トラックバック by 中南海ノ黄昏 — 2006年03月30日 00:11
北朝鮮の瀬戸際外交は、もう通用しないであろう
散々、瀬戸際外交を繰り返し、金軍事政権を保身してきた北朝鮮だが、今度ばかりはその手法も通用しなかったようである。韓国首席代表、千英宇(チョンヨンウ)が仲に…
トラックバック by よろずBLOG — 2006年04月12日 14:54
中国が日本に核ミサイル
●日本に照準を合わせている核弾道ミサイル(吉林省通化(Tonghua)基地に24基)
東風3型(DF-3)CSS-2 MRBM 2,650km …
トラックバック by 100円でギャンブラー 競艇 CASINO LIVES — 2006年04月13日 02:51
Google Earthで東シナ海ガス田問題を観る
最近のニュースをば。 東シナ海のガス田開発問題で、自民、公明両党は11日の与党政策責任者会議で、試掘権を付与された帝国石油が試掘を始めることを想定した…
トラックバック by 中南海ノ黄昏 — 2006年04月17日 23:54