「 小泉政権最大の弱点は“外交” 対中国外交に必要なのは国益を賭けた日米連携の強化 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年10月8日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 611
9月26日の小泉純一郎首相の所信表明演説はきわめて簡潔だった。あらためて郵政民営化の重要性を説く首相の言葉は、選挙戦で幾百回も繰り返したものであり、怒濤の勝利を収めた今、それは自信に溢れていた。所信表明の半分が郵政改革に費やされ、首相はその後も公務員改革で定員10%の削減を打ち出し、議員年金の廃止を指示するなど、自らが改革の先頭に立つ姿勢を見せた。こうした点は評価したい。
だが、今、懸念すべきは外交である。外交、安全保障の分野で、いわば日本の後ろ楯になってきた米国のブッシュ政権が苦境に立ち、その負の影響が、アジアにも目立ち始めているからだ。日本が取り組むことは二つ。まず、日米関係をより緊密に保つ努力であり、二つには日本自身の外交力を高めることだ。
まず、日米関係のなかの問題解決に力を注がなければならない。一例が、BSEと牛肉輸入の問題である。米国の検査体制が、日本が期待するほど完全ではないのも事実ではあろう。しかし、同時に日本が要求する全頭検査は、科学的に見て妥当か否かを、理性的に問うてみる必要がある。
沖縄に集中する在日米軍基地の問題をどう解決していくのか。普天間からの基地移転について、いくつか具体案が再浮上している。日本側が決断すると同時に、米国側には地位協定の改善を要求し、基地を擁する地元の不安を取り除くことだ。また、目前に迫っているイラク復興支援特別措置法の期限を前に、早期にその延長を決定するとともに、日本のイラクでの貢献の内容を再考する必要がある。
治安維持を目標とする各国部隊に対して、自衛隊は民生の安定、向上を目標とする。そのため、使命が達成されたか否かの判断が難しい。言い換えれば、いつ撤退出来るのかが、復興支援というスローガンからは見えてこない。だからこそ、米国への側面支援という実態を、日本の国際戦略の軸に据えてきちんと論ずることが必要だ。そうして初めて、なし崩しではない責任ある自衛隊の活動が可能になる。
アジアでは中国が“猛威”を振るいつつある。12月にクアラルンプールで開催される第一回東アジア首脳会議は、東アジア共同体の構築に向かう第一歩だ。ASEAN諸国と日中韓の三国が推進するこの東アジアサミットに、米国は招かれていない。中国はアジア各国に、米国を排除するよう、水面下ではあるが強力に働きかけ続けてきた。日本は、米国の参加を正面から求めるべきだったのを、正面からの説得をはばかり、姑息にもオブザーバーとして招くべく、各国に働きかけた。結果は日本外交の失敗に終わり、米国の参加なしで東アジアサミットは開かれる。つまり、日米共に、中国の外交力の前に屈服したかたちとなったのだ。
中国とのパワーバランスを取るためにも、日本は、国益を賭けるほどの覚悟で米国を援助すべきときなのだ。長い歴史を検証すれば、日米の連携強化がきわめて有効な中国カードとなってきたのを忘れてはならない。
対ロシア関係も危うい。北方領土問題を見よ。かつてエリツィン大統領が、北方領土問題は歯舞、色丹、国後、択捉の四島だと明言したが、プーチン大統領はいまや、北方領土問題はロシアが二島を返して終わりであるとの姿勢を崩そうとはしない。にもかかわらず、日本がロシアに阿(おもね)り、プーチン大統領に“来日してもらう”ための外交、不当に日本の国益を損ねる外交を展開してきたのが、この数年の小泉政権である。
国内の経済改革については評価できても、外交における小泉首相は隙だらけである。強大な力を持つに至った今こそ、首相はその揺るぎない力を持って、外交にスジを通すべきだ。
週刊ダイヤモンド2005年10月8日号を読んで
最近の櫻井よしこ氏の記事には、道路公団民営化などで書かれていたような小泉政権への強烈な批判が薄れている
ように思う。
トラックバック by イプサム — 2005年10月11日 21:09
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ニュークリア・エイジ
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あらためて、言うまでもないでしょう。本日、ご紹介するのは、マンガ史にのこる名作、『虹色のトロツキー』です。極め付きのお薦め作品です。内容を簡単にご紹介しましょう…
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地方公務員の政治的行為の制限について
昨日、自民党では「地方公務員の政治的行為の制限」についての地方公務員法などの一部法改正に関して、選挙制度調査会・総務部会・文部科学部会合同会議が開催されました。…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2005年10月13日 07:03
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鳥取人権条例可決―全国への波及を阻止せよ
昨日、全国初の人権擁護条例が鳥取県議会で可決しました。鳥取県弁護士会も山陰中央新報も反対するなかで、片山県知事は無責任な発言に終始しました。
テレビや新聞…
トラックバック by なめ猫♪ — 2005年10月13日 09:56
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自民党の護憲的改憲案から漂う腐臭
≧々が「我が国」「国を愛する」「憂国の戦士」「国防」と書いたり述べたりする時、無意識の内に「国」のことを国民や領土で構成される共同体と考えている。
トラックバック by オンラインコンビニエンス何でもそろう便利屋です — 2005年10月13日 10:22
今ここにある危機
わが国のアジアの権益拡大にアメリカは同思っているのだろうか。
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現…
トラックバック by 手前ら、日本人をなめんじゃあねぇ — 2005年10月16日 12:48
小泉首相の靖国参拝
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小泉首相が「靖国参拝する」、というのは「郵政民営化する」と同様
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早紀江さんのことば (2005/10/16福島)
第3回拉致被害者救うフォーラムinふくしま
2005年10月16日福島にて
2005年10月16日福島にて
今日は、こ…
トラックバック by Blue jewel — 2005年10月19日 19:45
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(1)
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…
トラックバック by FREE SPEECH─「自由な言論」は何処にある? — 2005年10月21日 10:43
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トラックバック by 為替王 — 2006年04月07日 15:38