「 対馬、横須賀……要地買いを狙う外国人 危機意識薄い日本政府 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年5月23日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 789
中国外務省の馬朝旭報道局長は、中国が国連の大陸棚委員会に、東シナ海で沿岸から200カイリ(約370キロメートル)を超える地域に大陸棚の拡張を求める関連資料を提出したことを明らかにした。東シナ海は沖縄直前まで中国領だとの年来の主張を、中国はこれから国連の場で展開することになる。
他方、日本政府は日本の主張とそれを支える資料をすでに昨年11月に同委員会に提出ずみである。
国際社会の海の境界線は、過去約30年間、ただ一つの例外もなく、中間線を基準にして定められている。その意味で、日本は有利な立場にある。だが、不安を払拭し切れないのは、日本政府の政治的決意と問題意識の欠如である。問題が眼前にあっても、それを問題と感じ取ることが出来ず、国土を守ろうという決意にも欠けるのが、日本の政治だからだ。
たとえば対馬である。対馬の不動産の多くが韓国資本に買収されてしまったことは、すでに、報じられてきた。自衛隊の基地に隣接する広大な土地や、主要な港々の土地が韓国人の手に渡っている。韓国では対馬は韓国領だと教育されており、事態がこのまま進めば、対馬が第二の竹島になり、実効支配されることさえ、ありうる。その対馬で、韓国人所有の不動産に取り囲まれて駐屯する自衛隊員らのあいだには、諦めとも思えるような声がある。以下、民主党衆議院議員、長島昭久氏の話だ。
「同様の状況が全国に広がっていると、自衛隊員が肩を落として言うのです。調べてみると、驚くような実態がありました」
離島の対馬どころか、日本全国の基地周辺の状況は似通っていて、日本の安全保障は文字どおりの足元、自衛隊の基地から危機に直面している。
一つ、具体例を挙げる。横須賀港である。同港は米国の原子力空母ジョージ・ワシントンの母港となっており、日米両国のイージス艦も同港をベースとしている。横須賀港に出入りする軍艦の動きをつかめば、日米の軍事的展開が、おおかた把握出来る。有事の際はもちろん、平時から、この種の機密は厳重に保持されなければならない。
横須賀港周辺には、何ヵ所か、軍艦の動きを把握するのに最適の小高い丘がある。そうした丘に取り囲まれるようにして港があるわけだ。ある人物がたまたま、港全体を見渡すことのできる土地を手に入れた。この人物は、軍港全体を見渡すような土地を、このように民間で売買してよいのかと訝ったという。それでも土地を買い、登記をすませると、わずか1週間後に2人の男が訪ねて来て、土地を買いたいと申し出たそうだ。
2人は中国人だった。持ち主は、この土地を外国人に売るのは国防上よくないと考えて断った。すると1週間後、別の男たちが買いに来た。今度はロシア人だった。彼はまた断った。
国防の危機を痛感した彼は、一連の経緯をまとめ、日本政府はなんらかの対処をすべきだとの意見を添えて防衛庁長官に郵送した。久間章生、額賀福志郎両長官に、おのおのが現職のとき、その手紙を送った。
両長官からは、待てど暮らせど返事も、問い合わせも、なかった。彼は思い余って、同じ手紙をシーファー米国大使に送った。すると2週間後、大使直筆の返事が届いた。それからまもなくして、米国大使館から数人の人物が詳しい事情を聞きに訪ねて来たという。
日本政府は、防衛庁(現防衛省)の長官も同庁官僚も、中国人やロシア人の動きがいったい何を意味するのかについて考えることもしなかったのだ。これら個別の男たちの背後に中国やロシアという国家が控えているということにも考えが及ばなかったのであろう。
「米国と日本の危機意識の違いは、これほど大きい。日本国政府のこれが現状です」と、長島氏。日本政府よ、しっかりしてくれ。
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