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2024.10.31 (木)

「 野田立憲民主は最悪の選択だ 」 

『週刊新潮』 2024年10月31日号
日本ルネッサンス 第1120回

今週末、いよいよ総選挙だ。自公で衆議院の過半数233議席に届かず、立憲民主党が議席を増やすと予想されている。石破茂総裁が支持率を下げ、大幅な議席減に直面するのは或る意味自業自得だろう。なんといっても氏の政策の多くはリベラル色が強く自民党らしくないからだ。

とはいえ野田佳彦氏率いる立憲民主の躍進を許してよいのか。立憲民主は日本共産党と最も近い政党だ。野田氏の後ろ盾は共産党との連携も辞さない小沢一郎氏である。立憲民主に一票を託すのは日本の未来を危うくすると、私は確信している。

選挙戦では政策論の余りの欠落に驚く。野田氏はひたすら「裏金」問題に特化して自民党と不記載議員を批判するが、検察と自民党自身による再三の処分を経た同問題より、はるかに重要な政策課題があるだろう。

野田氏の訴える政権交代が万が一、起きた場合、日本の未来は真っ暗だ。野田氏の後ろ盾の小沢氏と共産党が強い影響力を行使して、日本は世界の自由陣営とは方向違いの道筋に踏み込むのではないか。

国民生活を支え、日本の国力の土台を成す経済については、財務省がこれまで以上に強い力で野田政権の経済財政政策を主導するだろう。その先にどんな日本経済が生まれるかは、財務省に主導されていた12年前の民主党政権を思い出せばよい。

民主党政権は鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の三氏が各々約1年ずつ政権を担当した末に、2012年12月に終わった。12年も前のことなので、若い人たちは忘れてしまったか、そもそも知らないかもしれないが、民主党政権の3年3か月は日本にとっての悪夢だった。当時のわが国が経済、外交、安全保障、およそ全ての面でいかに惨めだったかを、民主党を引きつぐ立憲民主党が勢力を伸ばし、政権奪取を窺おうとする今こそ思い出さなければならない。

的外れの非難

野田氏が安倍晋三氏に政権を明け渡した2012年12月、わが国の経済はどん底に沈んでいた。大学を卒業して就職しようとしても学生たちの就職内定率は68%だった。就職を希望する学生100人の内、就職できるのは68人だけ、就職氷河期といわれたときよりも悪い数字だった。これを安倍政権は98%にまで改善した。

鳩山・菅・野田政権がいかに日本を暗く貧しい国にしたかを示す別の統計もある。民主党政権下では、正社員の有効求人倍率は0.52倍、つまり正社員になりたい100人の内、52人しかなれなかった。安倍氏が政権を奪還してアベノミクスを打ち出し、経済成長を後押ししたのは周知のとおりだ。そして安倍政権発足から約7年後の2019年、有効求人倍率は民主党政権当時の0.52倍から1.18倍に上昇した。これは正社員になりたいという人、100人に対して、118人分の正規の雇用があることを示す。

安倍総理は体調を崩して2020年9月に首相を退いた。それから1年余りが過ぎた21年12月3日、「言論テレビ」で当時のことを語った。

「1倍を超えたのは、統計を取り始めて実は初めてだったんです」

民主党の政策が国民や若者を貧しくしていたことを示すさらに別の統計もある。正社員に限定せず、働きたい人全体に対して求人が何件あるかを示す有効求人倍率で民主党政権が1倍を超える数字を出したのは8つの県にすぎなかった。一方、安倍政権では47全ての都道府県で1倍を超えた。

野田氏らの経済政策は大失敗だったということだ。歴然たる証拠があるにもかかわらず、野田氏と立憲民主はアベノミクスは失敗だとし、自民党政権の下で格差は広がり、貧しい人はもっと貧しくなったという。この主張自体が大きな間違いだ。

野田氏らは、国民の賃金は民主党政権時代は上がったのに、安倍政権になって下がり始めた。だから自民党では駄目だともいう。この点についても安倍氏はきちんと説明した。

「たとえば、私が月60万円の給料を貰っていたとします。凄く景気がよくなってきて、うちの妻も片手間に短時間仕事をするようになり、月10万円を得たとします。すると安倍家の収入は70万円になります。増えました。しかし毎月勤労統計で賃金は平均しますから、2で割って35万円になります。この数字を指して下がったじゃないかというのですが、実際は下がっていませんよね」

就職できない新卒者が多かった野田政権とは大きく異なり、安倍政権では98%の内定率で就職する新卒学生がどんと増えた。彼らは給与所得者になった。新卒社員の給料はおしなべて低い。それを含めて平均すると、統計上、賃金は低くなる。これを指して野田氏らは国民が手にする賃金は低くなったと非難する。これは本質を理解していない的外れの非難にすぎない。

財務省の強い影響

国民が豊かになったかどうかを判断するには、野田氏らがとり上げる統計だけでは間違ってしまう。大事なのは総雇用者報酬、みんなの稼ぎを足し合わせた額だ。それが増えることが実は一番大事だと安倍総理は語った。結論から言えば、民主党政権下の総雇用者報酬は政権交代時と比べてマイナス2兆円。安倍政権ではプラス35兆円だ。

私たちが経験した民主党政権下での生活は12年前のことだが、決して忘れてはならないだろう。野田政権では共産党との連携に前向きの小沢氏らの影響を受けるだけでなく、財務省の強い影響を受けることも忘れてはいけない。

わが国は財務省の引いた路線で経済成長を遂げられずに何十年も苦しんできた。経済が強くなければ日本国は国民のために十分な施策を講ずることも国際社会に貢献することもできない。経済成長で利潤を得て初めて会社は社員とその家族を守ることができる。国は税収が増えて福祉、教育、子育てなどにもお金を回せる。災害対策も国防も同じことだ。

しかし、財務省は20年も30年もわが国のGDPを成長させられなかった。日本より貧しかった中国や韓国を含めて世界の主要国が例外なく鮮やかな右肩上がりの曲線を描く中で、わが国だけ、たったひとり、地を這うようにGDPは500兆円規模に留まり続けた。

安倍氏が、財政規律を過剰に重視する財務省路線から離れてアベノミクスを始めた結果、わが国経済はようやくデフレ脱却を達成するところまで来た。そして学生や若者が満足に就職できるようになった。安倍自民党は官僚の中の官僚たる財務省との戦いに勝って、日本の経済成長を実現したのだ。

この流れは野田氏らが力をつけることで阻まれる可能性が大きい。こうしたひとつひとつの政策を考えれば、自民党が欠点の多い政党であったとしても代替勢力として立憲民主を選ぶのは間違いだ。立憲民主よりはるかにまともな、たとえば国民民主などの党もあると思うがどうか。

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