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2018.11.15 (木)

「 韓国の左翼革命政権に、妥協は無用 」

『週刊新潮』 2018年11月15日号
日本ルネッサンス 第827回

親しい韓国人の友人のひとり、洪熒氏が憤って言った。

「日本の人達は文在寅政権と韓国を同一視しています。保守勢力を中心に、多くの韓国人が文政権のやり方に怒っていることを、日本のメディアは伝えてくれません。我々は文政権の下で起きている異常事態に、日本人と同じくらい怒っているのです」

洪氏は現在、日本で刊行されている新聞、「統一日報」の論説主幹を務めているが、かつて、在日韓国大使館の公使だった。日本との関わりはかれこれ40年になる。

10月30日、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に、「元徴用工」4人への損害賠償金として4億ウォン(約4000万円)の支払いを命じた判決、10月11日の国際観艦式に日本の海上自衛隊の旗を掲げないように要求した一方で、豊臣秀吉軍を破った李舜臣(イスンシン)の旗(抗日旗)を韓国軍艦に飾ったこと、2015年末に国際社会が注目する中で日韓両外相が発表した、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決の蒸し返しなど、文政権の横紙破りは非常識極まる。

洪氏は、心ある韓国人は皆、文政権の暴挙を恥じている、日本の政府も国民も、韓国国民と文政権を同一視しないで対韓政策を考えるべきで、そうしなければ事態はますます悪い方向に進む、と懸念する。

まず、明確にしておくべき点は、今回の韓国人元労働者への補償に日本の政府も企業も全く責任はないということだ。1965年の日韓請求権・経済協力協定の第2条は、「国及びその国民(法人を含む)」の請求権問題は、「完全かつ最終的に解決されたこと」を日韓両国が確認すると明記している。賠償などの請求権問題は、個人のものも法人のものも全て解決済みだと両国政府が確認したのである。

日本政府は当時、念には念を入れて日韓間の議事録も交わした。その中に、請求権に含まれるもの、つまり、全て解決済みとされるものは何かについて八項目にわたる説明がある。戦時徴用労働者の未払い賃金と補償も含まれており、解決済みであることを二重三重に明記している。

徴用工ではなかった

安倍晋三首相が、判決直後に間髪を入れず、「国際法に照らしてあり得ない判断だ」と述べたのは当然なのである。一方で首相は重要なことを指摘した。この裁判の原告4人は徴用工ではなく、「旧朝鮮半島出身の労働者」だと語った。これこそ大事な点である。

これまで、韓国側は無論、私も含めた日本のメディアはみな、4人の原告を「元徴用工」だとしてきた。日韓両政府もそのように呼んできた。司法の場で徴用工と言われてきたことをそのまま信用してきたわけだ。

徴用とは「国家権力により国民を強制的に動員し、一定の業務に従事させること」(広辞苑)だ。一旦発せられれば国民は拒否出来ない。

朝鮮半島での戦時労働動員には三つの形態があった。第一は1939~41年に企業の募集担当者が朝鮮に渡り実施した「募集」である。

第二が42年から44年9月までの期間、朝鮮総督府が各市・郡などに動員数を割り当て、行政の責任で募集し民間企業に割り振った「官斡旋」である。お役所が仲介した募集だが、職場や職種について納得いかなければ断る自由があった。

第三が、44年9月から45年3月ごろまで発動した「徴用」である。

原告4人はいずれも募集に応じた労働者だった。4人の内の二人は43年9月に平壌で日本製鉄(新日鉄住金の前身)の工員募集広告を見て応募し、面接に合格して、募集担当者に引率されて渡日し、大阪製鉄所の訓練工となった。

もう一人は41年、大田(テジョン)市長の推薦で勤労奉仕の「報国隊」に入り、日本製鉄の募集に応じ、担当者に引率されて渡日し、釜石製鉄所の工員となった。

最後の一人は43年1月、群山府(現在の群山市)の指示で募集に応じ、日本製鉄募集担当者の引率で渡日、八幡製鉄所工員となった。

つまり、4人とも徴用の始まる44年9月以前に、募集に応じて日本に働きに来た労働者である。彼らは民間企業と契約を結んで渡日した。戦争が長引くにつれて日本の男性の多くが徴兵され、国内産業を支える人手不足が顕著になっていた状況の下、彼らに対する待遇は総じてよかった。

4人が徴用工ではなかったことをつきとめたのは、シンクタンク「国家基本問題研究所」研究員で朝鮮問題の専門家、西岡力氏である。氏はこの事実を韓国大法院の判決書で発見した。日本の常識で判断すれば、間違った事実に基づく韓国大法院の判決は無効なはずだ。ただそう考えるのは日本人だけで、韓国側は募集も官斡旋も全て強制的な徴用だと主張しているため、全く、話が通じない。

一切の妥協は不要

それでも、安倍首相が国会の場でこの事実を明らかにしたことは非常に重要である。黒を白と言いくるめる韓国のやり方と、そのような手法を駆使する文在寅政権のいかがわしさを、鋭く抉り出して見せたからだ。

文政権下の韓国で進行中の事態は教育、軍、司法、外交のいずれにおいても通常の法治国家では考えられない異常なものだ。一連の事柄は韓国がもはや真っ当な民主主義の国などではなく、社会主義革命のまっ只中にあると認識すれば納得がいく。

革命勢力は、秩序の全て、条約も契約も常識も紙クズのように破り捨てる。現在、文政権が行っているのがまさしくそれだ。彼らは日本に不当な判決をつきつけ巨額の資金をむしり取り、日本を貶めようとする。

洪氏は、革命政権の文氏が日本を不条理に責めたてるように、韓国の大半の国民に対しても親北朝鮮社会主義革命を押しつけると指摘する。

このような文政権に対し、韓国内で反対の狼煙が上がり始めた。

「大将(ジェネラル)の会である星友会が、このままでは北朝鮮に韓国が席巻されるとして、文政権の対北宥和策に警告を発しました。9月21日には民間人3000人が文氏を与敵罪で告発しました。有罪になれば死刑しかない重い告発です。元大使の外交官らが文政権は韓国の安保体制を蹂躙しているとして『弾劾』の声明文を発表しました。当初大使30人で始まった告発ですが、参加希望の元大使らが次々に集まり、50人までふえました。いざとなると弱腰の外交官でさえ、文政権に反対表明をするようになったのです。日本のメディアはなぜこうした事を伝えないのでしょうか」

と洪氏は語る。

今回の「旧朝鮮半島出身労働者問題」は、このような全体像の中でとらえるべきで、革命志向の文政権に一切の妥協は不要なのだ。同時に日本は、韓国が近未来には敵対する存在となることを肝に銘じ、憲法改正をはじめ、日本の地力を強める施策を急ぐのがよい。

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