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2018.05.19 (土)

「 朝鮮半島勢力巡る歴史的闘いが展開中も日本の野党は政治責任を果たしていない 」

『週刊ダイヤモンド』 2018年5月19日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1231
 

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の動きが派手派手しい。5月7日から8日、妹の与正氏と共に中国の大連を訪れた。習近平国家主席と共におさまった幾葉もの写真を北朝鮮の「労働新聞」に掲載し、米国に対して「僕には中国がついているぞ」と訴えるのに懸命である。

懐の窮鳥を庇うように、中国共産党を代弁する国営通信社の新華社は「関係国が敵視政策と安全への脅威をなくしさえすれば核を持つ必要はない」と正恩氏が語ったと伝えた。習氏は8日、トランプ米大統領に電話し、「米国が北朝鮮の合理的な安全保障上の懸念を考慮することを希望する」と語った。正恩氏を囲い込み、米国の脅威から守ってやるという中国の姿勢であろう。

9日には北朝鮮の招待でポンペオ米国務長官が平壌を訪れ正恩氏と会談、北朝鮮に拘束されていた米国人3人は解放されて、ポンペオ氏と共に米東部時間で10日未明にワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に到着した。

トランプ大統領から早速、安倍晋三首相に電話があった。米国人3人の解放に祝意を述べた首相の思いは、日本人拉致被害者の上にあったことだろう。

この間の9日、東京では日中韓の首脳会談が開催されたが、日本と中韓の間にある大きなギャップは埋めきれていない。会談後の記者会見で安倍首相は朝鮮半島情勢への対応を三首脳で綿密に話し合ったと述べたが、日米の主張する「完全で検証可能な、不可逆的な核・弾道ミサイルの廃棄」(CVID)という言葉も、北朝鮮への圧力という表現も三首脳の口からは出なかった。

拉致について安倍首相は、「早期解決に向けて、両首脳の支援と協力を呼びかけ、日本の立場に理解を得た」と述べたが、中韓両首脳は拉致には共同記者発表の席で言及していない。彼らの発言は徹底して自国の国益中心である。

中国の李克強首相は朝鮮半島の核に関して、「対話の軌道に戻る」ことを歓迎し、経済に関しては「自由貿易維持」を強調した。北朝鮮の核問題は時間をかけて、話し合いで折り合うべきだというもので、軍事力行使をチラつかせる米国への牽制である。自由貿易に関する発言も、米国第一で保護貿易に傾く米政権への対抗姿勢だ。

韓国の文在寅大統領は、日中双方が板門店宣言を歓迎したと語った。拉致にも慰安婦にも触れずに言及した板門店宣言は、二分されている朝鮮民族の再統一を前面に押し出したものだ。「北朝鮮の非核化」ではなく、米韓同盟の消滅をも示唆する「朝鮮半島の非核化」を強調するものでもある。

今回の首脳会談からは3か国が足並みを揃えて懸案を解決する姿勢よりも、同床異夢の様相が浮き彫りにされた。

10日の電話会談でトランプ氏は、北朝鮮問題で「日本はビッグ・プレーヤーだ」と述べたという。いま、朝鮮半島勢力を巡って日清戦争前夜といってもよい歴史的な闘いが展開中だ。朝鮮半島を中国が握るのか、米国が握るのか、そのせめぎ合いの最前線に私たちはいる。日本の命運を大きく揺るがすこの局面で叡知を集め、対策を練り、何としてでも拉致被害者を取り戻し、北朝鮮の核、ミサイル、生物兵器をなくすべき時だ。日本全体が団結することなしには達成できない課題である。

だが、国会審議を拒否して半月以上も連休した野党は、国会審議に戻ったかと思えば、まだ、加計学園問題をやっている。立憲民主党の長妻昭氏は「疑惑は深まったというよりも、予想以上に深刻だ。徹底的に腰を据えて国会でやらないといけない」と語った。だが、獣医学部新設は既得権益と岩盤規制を打ち破る闘いで、改革派がそれを打ち破っただけのことだ。長妻氏の非難は的外れである。朝鮮半島大激変の最中、国民を取り戻し、国民の命を守るにはどうすべきかを論じ、実行しなければならない。野党の多くは政治の責任を果たしていない。

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「 朝鮮半島勢力巡る歴史的闘いが展開中も日本の野党は政治責任を果たしていない 」

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