「 国連から法的責任を問われる前に河野談話の取り消しが最重要課題 」
『週刊ダイヤモンド』 2014年9月13日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1050
日本人にとってどうしても理解し難いことの一つが、中国と韓国が反日のために広めるうその数々である。そうした事例が、河野談話に基づいて書かれ国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告書に明記されている。
河野談話を引用した同報告書は、慰安婦を「日本軍の性奴隷制度」と断じ、女性たちが受けたとされる具体的被害について彼女たちの証言を次のように引用しているのだ。
「1日、60人から70人の相手をさせられた」、このような状況に対して朝鮮人少女が抗議をすると、「中隊長ヤマモト」が「剣で打て!」と命じた。日本の軍人たちは慰安婦全員の目の前で「この少女を裸にし手足を縛り、釘の突き出た板の上で、釘が彼女の血や肉片で覆われるまで転がし、最後に彼女の首を切り落とした」。
右の証言をした元慰安婦のチョン・オクスン氏はさらに、「もう一人の別のヤマモト」が次のような冷酷非道な指示を出したと語っている。
「お前ら全員を殺すのは、犬を殺すより簡単だ。朝鮮人女が泣いているのは食べていないからだ。この人間の肉を煮て食わせてやれ」
性病拡散防止のための「殺菌消毒」として、「少女の局部に熱した鉄の棒を突っ込んだ」「少女の半数以上が殺害された」とも証言している。
同報告書は、慰安婦として強制連行された「村の少女たち」は「非常に若く、大半が14歳から18歳だった」とも明記している。
若い少女たちが強制連行されたという報告の基となったのが「朝日新聞」の植村隆記者(すでに退社)の捏造記事である。植村氏は慰安婦とは無関係の女子挺身隊という勤労奉仕の少女たちと慰安婦を結び付けて報じた人物だ。
それにしてもクマラスワミ報告書の記述を読んでがくぜんとしない日本人はいないだろう。チョン氏が語った蛮行が日本人の行動ではないことは、日本人なら誰でも分かる。日本民族の行いの中にこんな蛮行はないのである。
では、なぜ、彼女は一連の証言をしたのか。この疑問に田久保忠衛氏が、「通州事件を調べると、中国人がその種の蛮行を日本人にしていることが分かります」と語った。
調べてみると、その通りだった。1937年7月29日、通州で中国軍が3桁に上る在留日本人を捕らえ処刑した。その処刑の残虐さはチョン証言の残虐さを上回る。女性を辱め、遺体を切り刻み、切り落とした頭部で遊んだというのだ。残されている写真には、首を固定されつるされている人がいる。食事も水も与えられずに放置され、数日苦しんで死に至った人々だ。
中国人の刑は残酷であることをもって是とされる。捕らえた対象を、より多くより長く苦しませなければ、逆に刑吏が罰せられるという。
通州事件を振り返り、この種の中華文明における刑の凄まじさは、チベット族やウイグル族を漢族がどのように虐殺してきたかを思い起こせば納得がいく。朝鮮半島は幾世紀もの間、この中華文明に染まってきた。従って、チョン氏の証言も中華文明に染まった朝鮮文明の中での出来事を語っているのである。ここまで考えれば、チョン証言は、彼女の民族の行動パターンを示すものであり、日本人の行動ではないことに納得する。
しかし、「国連報告」という立派な形で世界に広まっているのは、チョン氏の証言のようなことを日本が行ったという「事実」なのだ。国連人種差別撤廃委員会は8月29日、慰安婦問題を「人道に対する罪」と位置付け、日本政府に責任者を特定し法的措置を取れとの最終報告を発表した。誤解を解かなければ、日本は国連から時効なしで法的責任を問われることになる。事は非常に深刻。全ての元凶の河野談話を取り消すことが最重要課題である。