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2010.07.31 (土)

「 『テロの生き証人』の協力を得て金正日の嘘を暴くことが重要 」

『週刊ダイヤモンド』   2010年7月31日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 848

大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫元工作員を、拉致問題に詳しい救う会全国協議会会長の西岡力氏は「北朝鮮のテロの生き証人」と呼ぶ。

1987年11月の大韓航空機爆破事件の顛末を供述し始めた段階で、彼女は北朝鮮の犯罪を暴く側に立ったわけだが、金日成政権の北朝鮮は、金元工作員の供述を全面否定した。今日に至るまで、北朝鮮は、事件は韓国によるデッチ上げだという立場を崩さない。

驚くのは韓国でも同じような見方がまかり通ってきたことだ。このあたりの、金大中、盧武鉉政権時代の常軌を逸した北朝鮮寄りの報道には信じがたいものがある。金、盧両政権はそのような主張を歓迎するかのように放置し、逆に大韓航空機事件は北朝鮮の犯行だと証言する金元工作員に自由な発言を許さなかった。

だが、韓国政府の方針は明らかに変化した。金元工作員は発言する自由を得て、来日も許された。日本政府は、一年以上の禁固刑を受けた人物の入国は許可しないという規則の適用をはずし、チャーター機、前首相の別荘、料理の機会など、例外尽くしで彼女を迎えた。

だが、最も重要なことは、彼女の協力を得て、金正日の嘘を暴き尽くし、国際テロである拉致の元凶は金正日だと生き証人に具体的に語ってもらうことだ。

今年3月の韓国の哨戒艦天安撃沈事件を、北朝鮮は大韓航空機事件同様、韓国によるデッチ上げだと主張する。対して米韓両国は7月21日、初めての外相・国防相会議(2プラス2)を開いて、厳しい政策を明らかにした。

共同声明では韓国国内および日本海、黄海で、今後数ヵ月にわたって合同軍事演習を実施し、北朝鮮のいかなる威嚇も抑止する強固な防衛態勢を維持すると発表した。加えて米国は独自の新たな制裁措置も発表した。

米国の国家情報長官に指名されたJ・クラッパー氏も20日、上院の情報特別委員会で「北朝鮮が再び韓国を直接攻撃する可能性がある」「現状は八七年の大韓航空機事件を想起させる」と、非常に厳しい認識を披露した。
朝鮮半島情勢の厳しさは中国の姿勢によっても増幅されている。天安事件のとき、日本政府は全面的に韓国を支持し北朝鮮の犯行を非難した。だが、国連でも、20~21日にベトナム・ハノイで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3国の外相会議でも、日韓両国の北朝鮮非難の姿勢は歓迎されず、むしろ退けられた。中国が影響力を行使し、北朝鮮非難決議を骨抜きにするのである。

中国の目的はいまやいつ起きてもおかしくない北朝鮮急変事態を機に、北朝鮮に中国主導の政治勢力を打ち立てることだ。だからこそ、米韓両国の北朝鮮非難の声を抑え、北朝鮮を自陣営にとどめ置こうとする。南北朝鮮に、米国と中ソがついて戦った朝鮮戦争の構図は今も厳然と残っているのだ。

そうしたなかで、日本が果たせる役割は非常に大きい。そのことを誰よりも日本が自覚し、急変事態に際して日本は朝鮮半島の未来像として何を目指すのか、どのような協力体制を敷くのかを明確にしておかなければならない。

日本は韓国による朝鮮半島の自由統一を支持し、そのための手助けをすべきである。北朝鮮に中国主導の政治勢力が樹立されれば、南北分断は永遠に固定される。そんなことを許してはならず、朝鮮半島の人びとの意思を尊重し、韓国政府に全面協力すると宣言することだ。未来に向けての協力を通して、過去の歴史を超越するのである。

金元工作員の来日に象徴される韓国政府の変化は、日韓間に必要なのはこうした前向きの姿勢であるというメッセージである。仙谷由人官房長官が提言した55年前の日韓基本条約の見直しのような後ろ向きの発想は、百害あって一利なしなのである。

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