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2007.09.01 (土)

「 大統領就任には党内対立の克服が鍵 李明博氏の手腕は日韓関係にプラス 」

『週刊ダイヤモンド』    2007年9月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 704

韓国の野党、ハンナラ党の大統領候補は接戦のすえ、前ソウル市長の李明博(イミョンバク)氏に決定した。対立候補で故朴正煕(パクチヨンヒ)大統領の娘である朴槿恵(パククネ)氏に得票率1.5%の差で競り勝ったのだ。12月19日に予定されている大統領選挙では、国民の70%近くの支持を受けるハンナラ党が、わずか一ケタの支持しかない盧武鉉大統領の与党ウリ党に勝つのは自然の成り行きであるかに見える。だが、韓国情勢の先行きは読みにくい。特に、盧大統領は、形勢大逆転を狙って、金正日総書記との南北首脳会談を10月にも実現させる運びだ。

7年前の南北首脳会談は韓国内に熱烈な金正日ブームを巻き起こした。その首脳会談は金大中前大統領が違法な隠しガネ5億ドル(約600億円)をマカオの金正日総書記の口座に振り込んで実現させたものだった。今回も、盧大統領と金総書記の密約がうわさされている。金大中氏は巨額の裏ガネを提供したが、盧大統領は韓国そのものを提供するのではないかとさえいわれている。つまり、首脳会談で、両国が実質的に連邦政府樹立を取り決めるというのだ。

こうした見方はあくまでも推測にすぎないが、仮にそのような“大ニュース”が発生すれば、現在、ハンナラ党に有利な世論は、与党ウリ党有利へと大きく動く可能性もある。

だが、韓国で最も信頼される言論人、「月刊朝鮮」の元編集長・趙甲済(チョウカプチェ)氏は、韓国民はもはや北朝鮮にも盧大統領にも幻惑されないと強調する。

「金大中・金正日会談の結果から、韓国民は北朝鮮と韓国の左派勢力両方の正体を見たのです。もう騙されないでしょう。ですから、南北首脳会談が再び2000年のような熱風を吹かせることはないと思います。むしろ、李明博氏にとっての課題は、ハンナラ党内の対立を乗り越え、保守層の力を結集できるかどうかです」

大阪生まれの李氏は、日本が敗戦した年に家族とともに韓国に戻る。極貧の少年時代を過ごし苦学して高麗大学を卒業、現代建設に入社し、12年目、わずか36歳で社長に就任した。その後、国会議員を経て02年7月にソウル市長に就任。世界が、氏を類い稀なる政治家として認めたのは、このソウル市長時代のことだ。

『ソウル大改造』(李明博、マネジメント社)に詳しいが、李氏は市長に就任するや否や、1958年以来、コンクリートで蓋をされ、さらにその上に5 ・8キロメートルに及ぶ高架道路が造られた清渓川(チョンゲチョン)の再生に取り組んだ。約45年間、二重三重のコンクリート構造物によって闇の中に閉じ込められてきた川は、すさまじく汚染されていた。

変わり果てた清渓川を昔のような清流に戻すことには皆が賛成した。だが、同時に皆がそんなことは不可能だと言った。理由は、高架道路の下には約6万の小さな店が軒を並べ、20万人が生計を立てていたからだ。これらの人びとに代替地を与え、立ち退いてもらうことは政治的に不可能だというのだ。

事実、「ソウル市が立ち退きを強制するなら焼身自殺をする」と言って闘争宣言をする商人たちも多かった。だが、李氏はそれら20万人をわずか1年で説得し、2年で工事を完了したのだ。

巨額の立ち退き料を払ったわけではない。零細商人たちが、別の場所で商いを続け、暮らしが立つように知恵を絞ったのだ。

そして、反対派の頭目が李氏を訪ね、市の用意した移住団地に移り、清渓川でよりももっとしっかりやってみせると語るまでになった。

自ら生きんとする人びとに強く共感し、自立を促すかたちで支援する李氏の行政手腕こそ、現在の韓国に必要なものであろう。最も強硬な反対論者をこそ、誠意で説得するという李氏だ。その心で党内対立を克服できれば、現実を見据える氏の視点は、必ず日韓関係にもプラスに作用すると私は考える。

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