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2007.01.06 (土)

「 北朝鮮に振り回される六ヵ国協議 カギ握る唯一の手段が日本の核論議 」

『週刊ダイヤモンド』     2006年12月30日・2007年1月6日
新春合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 672

 


一年一ヵ月ぶりに開かれた六ヵ国協議では、北朝鮮の核保有国としての強硬主張が目立ち、米国が振り回される場面が続いた。北朝鮮は、核放棄には、金融制裁と国連制裁決議に基づく全制裁の解除、軽水炉の提供がまずなされるべきで、核議論のためには核軍縮会議を要求せざるを得ないと述べた。

北朝鮮代表の金桂冠外務次官は、「認めようと認めまいと、わが国は核兵器の保有に満足している」と笑みを浮かべ、米国代表のヒル国務次官補はうっすらと生えた髭に疲労の影を見せつつ「忍耐の限界を超えている。今は行動の必要なときだ」と語った。

ヒル次官補は「北朝鮮が核を放棄すればすべてが可能となるが、放棄しない場合は全てが不可能になる」「今後数週間ないし数ヵ月間の活動計画を作りたい」とも述べた。

だが、関係諸国すべてが、米国自身が「行動」に移れないであろうこと、行動計画を作成しても北朝鮮が核を放棄することは決してないであろうことを、認識している。その意味において、北朝鮮の核をめぐる六ヵ国協議は、いまや北朝鮮に核放棄をお願いする性格を帯びてきた。お願いの場での協議の意義は失われたのであり、北朝鮮対策は全面的な見直しが必要だ。単なる継続は金正日体制の延命にはなるが、いかなる解決にもつながらない。

北朝鮮がここまで強気を主張する立場に到達しえた最大の理由は、中国である。小欄でもたびたび詳報してきたが、中国の金正日体制支援の理由の一つが、彼の国を事実上の経済的植民地にすることができる点だ。もう一つの理由は、中国の“恐れ”である。金正日体制が崩壊し、北朝鮮が内乱に陥った場合の中国への影響である。まず、大量の難民が発生する可能性が考えられる。難民が韓国との軍事境界線である三八度線を越えることは難しく、船の用意も難しいことから、脱北者らはとりあえず、自力で逃れることのできる中国に流入すると見られる。

他方、中国共産党政府が今最も恐れる内政問題は、農民の不満の爆発である。10億人近くの農民を中心に、年間8万3,000件の暴動が発生しているのが現状だ。

中国共産党政府は、長年、農民を二等国民として虐げてきた。彼らの安価な労働力を利用して、世界の生産工場を築いてきた。中国沿岸部にはとてつもない大ガネ持ちが溢れる反面、内陸の農村部には文字どおりの極貧層が存在する。信じがたいことだが、現在も洞窟に住んでいる人々、家族全員で一本のズボンを共有する人びとが少なからず存在するという。

このひずみを生じさせた中国共産党政府は、中朝国境地帯から難民が流入してきた場合、それが広範な中国の農民暴動につながっていくと恐れるのだ。農民が中国共産党政治の実態に目覚めたり、社会秩序が緩んだり、そのとば口ともなりうる難民が流入するのは、決して彼らが許容しないところだ。そのためにも、北朝鮮の現状維持を図るのだ。

そのような状況のなかで、じつは、日本こそが中国の北朝鮮支援を思いとどまらせることができる。中国がなによりも恐れるのは、日本の核保有である。彼らは、北朝鮮の核保有が日本の核保有につながることを最も恐れ、牽制球を投げ続ける。だからこそ、米国に日本の核保有の可能性を指摘されると、中国は北朝鮮に対して少しばかり強硬姿勢に転じた。

それでも今回の六ヵ国協議で、中国の北朝鮮への働きかけが不十分であることが明らかになった。となれば、北朝鮮問題の解決のためにも、日本の核保有をめぐる議論はもっと行なうべきなのだ。それは私たちの予想を超えて、北朝鮮問題の解決に向けて中国を動かしていく。そして何よりも、核論議は主権国家日本として当然の権利でもあるからだ。

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トラックバック: 15件

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    ・・・

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      izaより引用

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    トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2007年01月15日  11:23

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櫻井よしこ氏がネット新番組の発表をいたします。
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