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2006.11.25 (土)

「 いじめには負けない強さを持つしかない 大人社会ではよりひどいじめが待

『週刊ダイヤモンド』   2006年11月25日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 667
子供たちの自殺が続き、大人たちの狼狽が続く。私たちはいったい

どうしたら幼い人たちの自殺の連鎖を止めることができるのか。大人はいかにして、この種の事態を前に、自信を持って子供たちを指導できるのか。

いじめによる自殺が起これば、それは第一義的に学校の責任で、校長や担任教師の指導に欠陥があるせいだと決めつけるのが現在の風潮だ。学校や教師に責任を負わせ、学校を恨みの対象として、そこで一つの区切りをつけるかのような現傾向は、問題の本質を見ていないから生じるのではないか。

全国の学校で行なわれているいじめ撲滅のための子供たちへの指導は、いじめが卑劣な行為だと教えることに重点が置かれているようだ。校長や教師には、いじめ行為の有無を注意深い観察で判断し、いじめがあればそれを悪として教え、なくすように指導せよとの指導がなされている。

問題解決には、右のような方法も必要だ。いじめ行為の卑怯さを教えることも、子供たちの“救いを求める声”にもっと耳を傾けるよう、学校当局に努力と注意を促すことも大事だ。しかし同時に、私たちは人間の本質と現実を見ることも忘れてはならない。その現実を子供たちに教えることを恐れてはならない。

なぜなら、大人になって実社会で働けば、いじめ行為が、人間の本質に深く根ざす行為であることに否応なく気づかされる。大人社会のいじめは、それこそ想像を超える残忍なかたちを取って表れる。組織内の権力争いとも絡み合って、すさまじい闘争のかたちを取ることもある。

そしてこの種のことは日本だけではないのだ。米国も中国も、どの国でもどの民族でも、同じ現象は起きる。残念だけれど、他人をいじめて喜んだり、それによって自身の不満を発散させたりする行為は、人間に付きものだ。

大人は、いじめは人間に付きものだと子供たちに教えなければならない。いじめがなくなる次元にまで、人間の心が高められることを望みながらも、そこまでの高みに人間が到達できないうちは、しっかり、自分で自分を守ることがどれほど大切かということを教えてやらなければならない。

そうしたことを理解出来れば、子供たちは、いじめをなくそうと声をかけ合うことは大切だけれど、それだけでは不十分で、自ら闘うこと、いじめなどには決して負けない強い心を自分の中に育てなければならないことに気づくはずだ。そして、それが大人になるということ、生きていくということの一つの側面なのだと、賢く学ぶだろう。

いじめは逃げるだけでは解決しないという鉄則を教えてやるのが、大人の子供への愛である。いじめに対して、「お前は闘って自分を守れるだけの強さを持っているはずだよ」と、言い聞かせるのが、大人の子供への信頼ではないか。

その際、親がぜひ心がけるべきことは、なにが起きても、いつでもどこでも、私は君を守るよ、愛しているよ、信頼しているよと子供にわかるように、また十分に伝わるように、言って聞かせることだ。親の愛と支援を得た子供は、まさに、百人力となる。

いじめをなくす第一歩は、じつは、このような親と子供の絆の深さと強さにあるのだ。いじめなどには負けない強い子供、その子供をしっかり支える親の愛が、すべての基本なのだ。

いじめに負けない心を養ったうえで、人間にはしかし、いじめの性質を克服する能力も備わっていると子供に教えるのも大人の務めだ。人間の心の奥深くにある友情や愛情や信頼の力が鍵になること、どの人の心にも友情や愛情や信頼は宿っていること、それを引き出すだけの強さと温かさを、あなたは自らの中に育みなさいと、自覚を促すのが親や教師の務めなのである。

 

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