「 高校の必修科目“未履修・改竄”発覚で露呈した歴史授業軽視教育の欠陥構造 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年11月11日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 665
「ミリシュウ」という耳なれない語が連日報道されている。全国にわたる多数の高校で、卒業に必要な必修科目を、受験勉強を優先するあまり学んでいなかった、未履修だったというのだ。 教育問題の根は深い。今回の未履修問題にもいくつもの側面がある。その第一が、未履修科目が世界史に集中していたことだ。学習指導要領は、高校の地理歴史教科で世界史を必修科目とし、地理と日本史を選択科目としている。歴史をこれほど軽視する国がほかにあるだろうか。 日本の義務教育における歴史の位置づけの低さに気づいてほしい。
まず、歴史が単独の科目でなく、社会科の一部となって久しいことだ。子どもたちは小学六年生になって初めて歴史を学ぶ。それもわずか68時限、一時限は45分である。駆け足どころか疾走速度で教えなければならない。そのため、歴史をおもしろくするさまざまな物語は、およそすべて省かれていく。子どもたちに教えられる歴史は、骨組みも内容もスカスカなのだ。そんな授業に子どもたちが引きつけられるはずがない。こうして歴史嫌いになった小中学生が、高校に入るとどうなるか。 基本を欠いている生徒は、初めから歴史への興味を失っている。高校は彼らの歴史離れを決定的にするだけだ。
進学率を上げるために、受験に役立つ科目に集中する結果として、歴史を不要科目として切り捨てるからだ。 一方では大学側がこの傾向を促進する。学生を集めるために受験生が苦手とする歴史を選択科目とし、歴史を知らなくても合格できる道を開いているからだ。大学側の動きが高校の歴史置き去りを加速する。まさに悪循環だ。 歴史を知らないことの不幸は、個々の生徒にとっても日本全体にとっても計り知れない。そもそも必修科目が世界史で、日本史が選択科目であることが異常だ。日本史を知らない子どもたちに世界史を、それも教科書で見る限り、一貫した歴史の流れを教えるというより、世界の国々の主な出来事を、さしたる意味もなく羅列しているような世界史を教えてなんになるのか。
歴史を教える際に中心になるべきは自国の歴史である。その展開に関連づけて他国の歴史を教えるのが、本来の教え方だ。自国の歴史を教えない教育は、生徒に己を見詰めさせることなく、自分が何者であるかを認識させずに育てるに等しい。日本の教育が、日本人の育成につながっていないのだ。 同問題が示すもう一つの側面は、教育者の事なかれ主義だ。多くの人が未履修問題を知っていた。学校当局は知っていた。学校を監督する教育委員会はどうか。教育委員会のメンバーの半数近くは元校長らが占める。当然、知っていたはずだ。けれど、誰も問題提起しなかった。学校によっては生徒たちも、そして親たちも知っていた。
たとえば通知表に「地理」の成績をそのまま「世界史」の評価として記入するなどの改竄(かいざん)が慣行的に行なわれていたことに気づかぬわけはない。 つまり、非常に多くの関係者が知っていた。しかし、誰も問題提起せずにごまかし合ってきたのが実態なのだ。だからこそ、特定の誰かのせいにすることは問題解決につながらない。私たちは皆、おそらく、根本から考え直さなければならないのだ。安倍晋三政権は教育を最大の課題と位置づけたが、言葉どおりの意味で、私もそう考える。いまや日本の危機なのである。 そして急いで言っておきたい。まじめに世界史を履修した生徒たちは、履修せずに、受験勉強に専念した生徒たちに比べ、受験で不利になったなどと考えないでほしいと。なぜなら、1998年、世界史の授業が置き去りにされていたことが発覚し、その後世界史授業が徹底された広島県では、国公立大への現役合格者数は、問題発覚前の1.5倍に増えた。学ぶ人こそ強いのだということを知っていてほしい。

教基法が改正、防衛省に昇格
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トラックバック by ほそかわ・かずひこの BLOG — 2006年12月17日 17:28
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『道理』が喪われた戦後日本の教育
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教育再生会議の「第一次報告書」を基本的に支持する
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http://www.kantei.go.jp/jp/abephoto/2007/01/2…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2007年01月26日 09:36
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