「 中国の本質を世界に知らしめたチベット少年僧銃撃現場の公開映像 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年11月4日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 664
今、インターネットで、米国の動画投稿サイト「ユーチューブ」に、ぜひアクセスしてみてほしい。中国軍が、チベットの25歳の尼僧と12歳の少年僧を銃撃し、死に至らしめた映像が日本語字幕付きで配信されている。
2人は、当初73人のグループの一員だった。彼らは全員チベット人で、中国の弾圧から逃れて隣国のネパールに亡命するところだった。しかし、ネパールにたどり着いたのは43人、残りは中国国境警備隊の銃撃を受け、殺されたか拘束された。あまりに衝撃的なこのニュースは、文字どおり瞬時に国際社会を駆け巡った。
なぜ、こんな映像を撮影できたのか。ざっと次のような次第だ。
映像はルーマニアの登山家、セルゲイ氏が偶然、現場を目撃し、撮影したものだ。彼は去る9月30日早朝、エベレストに近いチョオーユー峰のベースキャンプから氷河を見渡す位置に立ち、氷河上を一列に並んでネパールとの国境のナンプラ峠に向かう約30人の行列を撮影している。
動画では、警告の発砲音のあと、次の発砲音で、先頭の尼僧が倒れた。カメラは銃を構える中国兵の姿もとらえている。そして次に続く発砲音で、最後尾の少年僧が倒れた。そのほか、幾人もの人びとが倒されていった。撮影したセルゲイ氏は、こんなことが起きているのが信じられないとして、「イヌのように撃ち殺された」と語った。
氏は中国兵の襲撃から逃れたチベット人たちを助け、食料や衣類を分け与え、話を聞いた。それによると、亡命に加わったのは73人、約半分が6~10歳の僧だった。彼らは、チベット仏教の最高位にあり、1959年以来亡命生活を続けるダライ・ラマ14世に会うために亡命したという。
他方、中国政府は10月12日、銃撃は「違法越境者に引き返すよう説得したが、抵抗したため発砲した。正当防衛だった」という公式見解を発表した。だが、公開された映像は、中国政府の説明がまったくの嘘だったことを暴いている。亡命者らに対しては、警告と思われる発砲音が一発あっただけで、続く二発目の発砲音で尼僧が殺されている。しかも、半分が子ども僧であり、誰も武器は保持していない。そしてこの無防備な人びとを、中国軍は背後から撃った。映像のどこを見れば、“正当防衛”だったなどと白々しい説明ができるのか。
チベット問題は、中国共産党の実態の理解に欠かせない非常に重要な要素だ。ダライ・ラマ14世が亡命した59年はチベット動乱発生の年だ。
中国共産党は中華人民共和国を建設後、まもなくチベットを併合した。チベットの総人口は600万人、現在の中華人民共和国の領土の4分の1を占める広い領土を、チベットは持っていた。非武装の仏教国ながら、有史以来独立を保っていたチベットは、決して中国の一部ではない。チベット人は反抗し、一斉蜂起した。対して中国人民解放軍は、10万人に上る僧や知識人らを虐殺して乱を収拾した。このときにダライ・ラマ14世は、ヒマラヤを越えて亡命したのだ。
そして国家主席の胡錦濤氏は、チベット弾圧で初めて世界にその存在を知らしめた。彼はチベット自治区の覚書記として、八九年のチベット人らの蜂起のとき、中央政府の指示を待つことなく、鉄兜をかぶって戦車に飛び乗った。その冷酷非情かつ果敢な弾圧ぶりに、鄧小平が目をとめたといわれる。
以来、彼は出世を遂げ、鄧小平によって国家主席に指名され、今日に至る。
日本が相手にしている胡主席と中華人民共和国とは、そういう国だ。対中国外交において、日本は中国共産党が支配するこの国の国柄や性質を忘れてはならない。中国の上辺の善意や友好に乗せられて、日本の主張を曲げ、理由もなく日本のみ反省してみせることなど、金輪際してはならない。
厚顔無恥の中共と大恩あるダライラマ
インドと中共の間で国境問題が再燃した模様。
二つの大国に翻弄されるチベット国民とチベット指導者の ダライラマ を日本政府は是非支援してほしい。
日本は、チ…
トラックバック by nihondanji 2.0 — 2006年11月22日 07:41