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2006.05.20 (土)

「 東京裁判史観を根底から覆す新事実を書物から得た米国 日本は『馬の耳に念仏』か? 」

『週刊ダイヤモンド』    2006年5月20日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 641

馬の耳に念仏。日本国の幾人かの政治家や政党を観察していて感ずるのが、失礼ながら、この言葉である。現在の日本にとって最も大きな課題の一つは、日本攻勢を強め続ける中国との関係について、日本の主張を広くわかりやすく、国際社会に伝えていくことだ。

そのときに必要なのが、歴史の知識である。歴史を学び、自国がどのような決断を過去に下してきたか、それはどのような他国との関係のなかでの選択だったか、それらを、現時点で振り返って、足らざるは何か。こうしたことを常に念頭に置いて、現在の政治に活用するのが、政治家の基本的姿勢でなければならない。

米国のブッシュ大統領が最近読んだ本は、毛沢東や周恩来の実像を暴いた『マオ』だそうだ。『ワイルド・スワン』を著したユン・チアン氏が、夫のジョン・ハリデイ氏と十余年の取材を経て共著で世に問うた『マオ』は、全世界でベストセラーとなっている。同書のなかで、これでもかこれでもかと描かれている中国共産党の実態は、中国に対するいかなる幻想も打ち砕くことだろう。「中国に対する幻想」は、「共産主義に対する幻想」と言い換えることが出来る。

ブッシュ大統領は、昨年、戦後60周年を記念して訪れたリガで、ヤルタ協定は米国の犯した最も深刻な誤りだったと述べた。言うまでもなく、米英ソ三国はヤルタ協定で、戦後の国際社会の基本的な枠組みを決めたのであり、その協定締結に向けて動いた米大統領、F・ルーズベルトは、対日戦争が1947年頃まで続くと予想していた。ルーズベルトは国務省を排除し、軍部の意見に耳を傾け、ソ連を対日戦争に引き込むことが、ぜひ必要だと考えていた。そのために、ソ連に過剰な譲歩をし、共産主義の本質を見逃した。それが戦後の国際社会の直面した深刻な対立と軋轢につながったと、ブッシュ大統領は言っているのである。

リガ演説は、少なくともブッシュ政権が“歴史の見直し”をしていることを示すもので、日本にも大きく深い影響を及ぼす。敗戦国ゆえに犯罪国家とされた日本の過去の歴史における立場を、公正かつ公平な目で見つめ直そうという姿勢が、初めて米国に生まれつつあるのだ。

歴史の潮流の変化を示す米国の傾向に適切に応えることが出来れば、日本の立場と日本への歴史評価も大きく変わってくる可能性がある。ブッシュ大統領が『マオ』を読んだこと、それをホワイトハウスが明らかにしたことは、じつに多くの重要なメッセージを、米国首脳が発信しているのだと考えてよいと思う。

同書では、28年の張作霖爆殺は、日本軍ではなくソ連が日本軍の仕業に見せかけて行ったということが示されている。37年に中国側が起こした盧溝橋事件以降の中国全土への戦火の拡大、いわゆる第二次上海事変は、関東軍の暴走ではなく、周恩来が国民党総統の阡」介石の元に送り込んでいた中国共産党のスパイ、張治中・南京上海総司令部司令官の仕業だったことも書かれている。つまり、戦争を拡大したのは日本軍よりも中国共産党で、背後から支配していたソ連共産党、コミンテルンだったということだ。これこそ、すべて日本が悪いという東京裁判史観を根本から変える有力な新情報だ。

この基本的構図を学んだブッシュ大統領は、おそらく、新しい目で日本および中国を見つめ直すはずだ。小泉純一郎首相の最大の課題は、そのブッシュ大統領に応え、日本の歴史と立場をよりよく知ってもらうことだ。そのためには、小泉首相も学ばなければならない。だが、首相や中国寄りの閣僚が、こうした書物を読んだという情報は入ってこない。歴史を学ばないがゆえに、なにを聞いても、この人たちは「馬の耳に念仏」なのだろう。

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