「映画“靖国 YASUKUNI”で真に問われるべき問題」
『週刊ダイヤモンド』2008年4月12日号
新世紀の風をおこすオピニオン縦横無尽735
ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」は、都内四館、大阪市内一館での公開が決まっていたが、突然の上映中止となった。
中止を決めた映画館側は「営業上の総合的判断」「観客や近隣に迷惑がかかる」などを理由として挙げている。
靖国神社問題は、中国が政治問題として取り上げ続ける問題だ。それだけに、日本としては、他の問題以上に、靖国神社に関する表現の自由を損なわないよう、特段の注意を払わなければならない。さらに、日本はなにがあっても、言論、表現、思想信条の自由を重視し、守っていく国でありたい。にもかかわらず、なぜ、上映中止となったのか。
きっかけは稲田朋美衆議院議員の問題提起だとされる。メディアによっては、稲田氏の問題提起を、事前検閲だと断罪した。だが、同映画はすでに日本国内の複数の地域で試写会が行なわれており、韓国、米国、ドイツなどの国際映画祭で上映されている。したがって事前検閲との批判は当たらないだろう。なによりも稲田氏自身、上映自粛などはまったく求めていない。氏は、問題提起の理由を次のように述べた。
「同作品には、文化庁所管の独立行政法人、日本芸術文化振興会(以下、振興会)が750万円を助成しています。私は、この助成金の妥当性を問うたのです。映画の内容、製作者を見れば、疑問を抱かざるをえないのです」
振興会の助成金は日本映画に与えられる。日本映画とは「日本国民、日本の永住者、または日本の法令に基づいて設立された法人」が製作する作品とされている。稲田氏が指摘する。
「製作会社の龍影は、日本の法令に基づいて設立された法人ではあります。しかし、取締役は全員中国人で、しかも、龍影自体が、1993年に中国中央テレビの日本の総代理会社として設立された法人です」
振興会の助成金供与が内定した2006年以降、龍影は北京映画学院青年電影製作所と北京中坤影視制作有限公司を、新たな共同製作者に加えた。製作総指揮者、監督、プロデューサー、全員が中国人だと見てよいだろう。とすれば、助成を受ける資格そのものを欠いていることになる。
「第二に、龍影は助成金申請に当たってイデオロギー的な立場を離れて多面的に靖国神社を描くと説明しています。しかし、完成作品ではイデオロギー的主張と政治的色彩が前面に立っていると言わざるをえません」
稲田氏は、具体例として、映画に登場する主人公たちを挙げた。
「靖国神社は侵略戦争の象徴で、天皇のために死ぬ国民を育てる装置だと主張し、小泉純一郎総理の靖国参拝に関連して裁判を起こしている人びとが主に取り上げられています。靖国訴訟の原告団団長もその一人です。
また、靖国刀という、神社とは無関係の刀を作る匠も重要人物として登場し、日本刀で残虐行為が行なわれたというイメージを作り上げています」
映画の最終場面では「南京大虐殺」の「百人斬り」に関連する写真が大写しになる。中国側の捏造と判明している写真も含めて、強烈な印象を残す。それらの合間に、若き昭和天皇の参拝のフィルムと、それを見守る国民の映像が挿入されている。
南京大虐殺説を主張する学者らの諸論点は、すでに論破されている。だが、中国共産党政府は、頑なにそうした事実に背を向け、イデオロギーに傾く。中国共産党のその視点を製作軸にしたかのような「靖国」に、日本の文化庁由来の助成金を与えるのはおかしいという稲田氏らの指摘はもっともである。
「靖国」上映は中止されたが、むしろ私たちは、事実がどのように曲げられていくのかを、この映画で学ぶのがよいのである。そのうえで、同映画に与えた助成金とその審査方法について、厳しく問い続けることが重要だ。
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