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2006.08.26 (土)

「 首相の靖国参拝は日本外交の指針 8月15日参拝の意義を重視せよ 」

『週刊ダイヤモンド』    2006年8月26日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 654

小泉純一郎首相が8月15日、礼服着用で靖国神社を参拝した。8月15日の参拝という公約と中韓両国との外交関係とのあいだで揺れ動いてきた五年余の任期の最終段階で、首相は公約を果たすとともに、対中外交において正しい姿勢を示したといえる。

首相の参拝は今後の日本外交の重要な指針となる。中国の主張には決して引きずられないとの決意を示す今回の参拝は、液状化しつつあった日本の国家基盤を強化するもので、首相はその点において歴史に名を刻むだろう。

参拝後、首相が語った。「なぜ8月15日なのか?」との問いに、当初は中国との関係などを考慮して15日だけは避けるべきだとの助言を受け入れたが、いつ、どのようなかたちで参拝しても、中国は必ず批判すること、また、常にこのことを問題視する勢力が存在することもわかったという。そうしたことを知ったからこそ、8月15日を参拝日として選んだのだと首相は強調したが、これこそ重要な点だ。

当欄でも指摘してきたが、靖国神社問題は、中国にとっては日本コントロールのための政治的材料にすぎない。つまり、参拝してはならないと中国が“厳命”すればただちに参拝をやめる日本になるまで、中国は靖国神社を問題にし続けるだろう。15日を前倒ししても、4月や1月に繰り上げても、中国の“厳命”に従わない限り、中国の内政干渉は続くのだ。

折しも8月10日に発売された江沢民前国家主席の『江沢民文選』(全三巻)には、江主席が1998年8月に各国への駐在大使を集めて「日本に対しては歴史問題を常に強調すべきだ。永遠に言い続けなければならない」と指示していたと書かれている。

これは、じつは98年の江主席訪日を前に中国共産党が日本を分析し、対日政策を策定した場でのことだ。江主席の指導の下で、中国共産党は、中国の国益のためには豊かな経済力を有する日本をコントロールすることこそが重要だと結論づけ、歴史問題を日本支配の有効な手段として利用することを、対日政策として決定したのだ。今回の江沢民文選は、右の中国共産党の決定を裏づける内容だ。

「永久に日本に歴史問題を突きつける」のであるから、どれほど参拝の日程を変更しても「いつも批判する」と小泉首相がいみじくも述べたように、中国の批判はなくならない。そのことを首相は5年余の体験で実感したのだ。

心ある日本人なら、この中国の実態をしっかりとわきまえなければならない。そのうえで、首相のもう一つの指摘、「常にこのことを問題視する勢力がいる」についても、深く考えたい。

靖国参拝を常に問題視してきたのは中国とともに日本の大部分のメディアである。メディアは常に、“中国の激しい反発”を批判のよりどころとしてきた。事実、今回の報道でも、首相参拝で中国が猛反発して日中関係がさらに悪化するとの主張が目立った。

しかし中国は、安倍晋三官房長官の4月の参拝に関して型どおりの反発はしたが、氏の個人名も特別の厳しい表現も、批判のなかでは用いなかった。退陣する首相にはより厳しい批判が飛んでくることは織り込みずみで構えるべきだ。しかし、批判とともにどんな表現で日中関係の未来が語られているかをこそ、見なければならない。江沢民流の強硬路線の行き詰まりや、支配者然とした外交は日本に通用しないと実感している勢力も、現在の中国には存在する。一枚岩ではない中国の内情を日本のメディアはきちんと伝え、中国の対日強硬派とのみ同一歩調を取るような報道は慎むべきだ。

日中関係は、双方が対等に主張し振る舞ってこそ真に建設的になりうる。そのためにも、最後の場面で小泉首相が打ち立てた毅然とした外交を、日本人全員の叡智で守り立てていかなければならない。

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