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2018.07.07 (土)

「 判事と長官が対立する韓国の異常事態 司法の頂点に立つ最高裁まで左翼が侵食 」

『週刊ダイヤモンド』 2018年7月7日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1238
 

朝鮮問題専門家の西岡力氏が、シンクタンク「国家基本問題研究所」の定期会合で語った。

「韓国は政治とメディアだけでなく、司法も北朝鮮にやられてしまいました。韓国に残っているまともな保守は在野の言論人だけです」

氏が警告したのは韓国大法院(最高裁判所)の金命洙(キム・ミョンス)院長(長官)の件だ。

金氏は1959年生まれ、59歳の若さで昨年9月、文在寅大統領によって大法院院長に抜擢された。「統一日報」論説主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏が補足した。

「金氏は大法院院長になる前は、春川地方裁判所の所長にすぎませんでした。春川地裁は、韓国で最も小さな裁判所です」

そんな小さな地裁の長を務めただけの人物が、高等法院院長出身者の地位とされる大法院院長になぜ、いきなりなれたのか。再び洪氏が説明した。

「韓国では地方裁判所長が選挙管理委員会の長も兼任します。金氏は(文氏が大統領に選ばれた)2017年5月の総選挙で、文氏と対立する政党の候補者、鎮金台氏を強引なやり方で選挙違反の罪に問い、失脚させようとしました。春川地裁は鎮氏を有罪としましたが、高裁は無罪、最高裁は14人の判事のうち、金長官を除く13人の判事全員が無罪と判断しました。金氏は法の番人でありながら、法よりも政治的イデオロギーを優先させる。その姿勢が文大統領に評価されているのです」

北朝鮮の金日成主席は70年代から韓国の左翼勢力を経済的に支え、優秀な人材に奨学金を与え、教育して、韓国の司法やマスコミ界に送り込み韓国内部からの革命を画策した。そうした北朝鮮の長期戦略がいま、山場を迎えようとしていると、西岡氏が言う。

「現職の最高裁長官が、前任の長官、梁承泰(ヤン・スンテ)氏を刑事告発しようとしているのです。容疑は朴槿恵前政権との司法取引です」

再び洪氏が補足した。

「金長官は梁前長官が朴前大統領と取引したという疑惑を言い立て、最高裁内部に特別調査委員会を設置しました。同委員会は三度にわたって調査しましたが、疑惑を裏付ける如何なる証拠も見つかりませんでした。最高裁の判事は長官を含めて14人、うち、長官を除く13人全員が連名で『裁判の本質を損なう司法取引疑惑には、全く根拠がなかったことは明確だ』と断定する報告書を発表しました」

にもかかわらず、事態はさらにねじ曲げられつつある。韓国での保守勢力潰しの常套手段のひとつが乱訴である。狙った相手を訴え、時間とエネルギーとお金を使わせ、潰してしまう。言いがかりに等しい理由で連続して裁判を起こされ、身ぐるみはがれた言論人に「朝鮮日報」論説委員を歴任し、「韓国論壇」を主宰した李度珩(イ・ドンヒョン)氏がいる。政治家では朴前大統領が典型的事例で、財産どころか名誉も剥奪され、拘束され続けている。

そしていま、梁氏も左翼系団体の告発に晒されている。検察は告発状を受けて調査に乗り出した。ソウル中央地検特捜一部が粱氏の事案の担当だ。特捜一部は左翼労働団体の典型である法院労働組合本部長らから事情を聴いている。金長官はこのような状況下で進んで検察の調査に協力する姿勢を見せているのだ。
 
だが、前述のように最高裁の判事らは長官の行動に異議を唱え、13人の判事と長官が対立状況を続けている。まさに異常事態である。韓国の政界は大統領以下大きく左に傾き、マスメディアも悉くと言ってよい程、北朝鮮寄りだ。国の基本を成す司法の、その頂点である最高裁までも、左翼陣営に侵食されようとしている。このままいけば、共産党が司法・立法・行政の三権の上に君臨する中国のような国に、韓国もなるだろう。まさに革命が起きたのだ。そのことを自覚して日本は危機に備えなければならない。

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「 判事と長官が対立する韓国の異常事態 司法の頂点に立つ最高裁まで左翼が侵食 」

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