「 日本を知れば消える反日感情 日中の人的交流が示す可能性 」
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 692
過日、久しぶりに25年来の中国の友人に会った。ビジネスで大成功を収め、富豪となった友人夫妻は、文化大革命当時、紅衛兵だった。農村に下放され、現在も農村では日常茶飯の飢えの苦しみを存分に経験したそうだ。
彼らはやがて北京に戻り、大学を卒業し、日本に留学した。私との出会いはそのときである。この上なくすばらしい友人である夫妻は、しかし、日本の諸環境に不満で、日本を去り第三国に移住、国籍を取得した。その後、香港、北京を舞台にビジネスに乗り出し、大成功を収めたのだ。
ヤオハンとのかかわりもあった。周知のように、ヤオハンの和田一夫氏は中国進出で、ほぼ全資産を失った。小さな八百屋の時代から、家族全員が努力し、従業員の勤勉さに支えられて築き上げた全てが、中国ビジネスの拡大でつまずいたことで、あっという間に消滅したのだ。
経営者としての和田氏の判断ミスも当然ある。しかし、中国人相手の取引の難しさは、いまや常識である。法律も約束事も一顧だにしない理不尽極まる彼らによって、文字どおり身ぐるみ剥がされたのがヤオハンである。中国人の親切さとともにあこぎさも見聞してきた私は、和田氏らに対して気の毒だという想いを捨て切れない。しかし、友人は、このヤオハンと和田氏を悪し様に非難するのだった。
失敗し尽くした人々への容赦のない非難は聞くのもつらく、私たちの交流は少しばかり遠のいた。で、過日の再会はしばらくぶりだったのである。
夫妻は今、東京の海を見晴らす高層億ションを探している。日本定住を決めた友人は言う。「中国では、どんなに資産を蓄えても、どんなに権力を手に入れても、環境汚染から逃れることはできない。大富豪も共産党幹部も、汚染された空気と汚染された水で暮らさなければならない。現在の中国での成功は意味がないのです」。
大病で手術をしたばかりの友人はさらに言う。「結局、日本がいちばんいい。どこも本当に清潔。食べ物も安全。社会も安全。第一、人間が優しいですよ」と。
友人とは、これまでに靖国神社、南京事件、尖閣諸島など、こもごも語り合ってきた。意見は常にぶつかり、友人はあくまでも中国が正しいと突っ張るのだった。だが今回、友人は言った。「日本も悪いけれど、中国も悪い」と。「中国も悪い」と認めたのは、長い付き合いのなかで、これがおそらく初めてのことだ。
なぜ、こんなことを長々と紹介するのかといえば、それは、友人のような人が、中国にはきわめて多いからだ。政権の中枢に近く、一般の中国人にとっては夢のような生活をしている富豪、権力者、高官たちのなかには、じつは中国の抱える矛盾も問題も非常に明晰に理解し、日本こそが理想の国だと考える人が少なくない。日本を高く評価してはいても決して口にしなかったその認識を、彼らはようやく口にするようになったのだ。
中国共産党政権は情報封鎖を徹底させることで、国民に内外の実情を知らせず、日本を敵に仕立て上げてきた。日本人は軍国主義から離れることのできない邪悪な民族だと教育してきた。そうすることで、かろうじて共産党の権威を保ってきた。しかし、日本の実情を知れば、中国人の想いも変化する。
知ることでどんな変化が生ずるか。ある留学生の言葉を紹介したい。
「中国にいたときは、日本は軍国主義の国だと頭から信じていた。しかし、来日して驚いたのは、何週間か過ぎても、軍人らしき人物を一人も見かけなかったことだ。靖国神社にもおどろおどろしいイメージを抱いていたが、行ってみて、その静かな佇まいに驚いた」
人的交流を進めることで、中国人の反日感情は必ず消えていく。日本人は日本のあり方に自信を持ってよいのだ。
途上国を経済援助でからめとる国連フェミニズム
『正論』でおなじみジャーナリストの岡本明子さんから時々、「国連通信」と題した反フェミニズムの団体の情報がメールで届きます。
堕胎の推進を進める勢…
トラックバック by なめ猫♪ — 2007年06月20日 13:42