「 上海領事自殺で再び中国の嘘 」
『週刊新潮』 '06年1月19日号
日本ルネッサンス 第198回
年末に『週刊文春』が報じた上海総領事館の領事自殺事件は二つの問題を日本に突きつけている。日本国の外交が上層部に行けば行くほど日本の国益を全く顧みない体質に陥っていることと、中国政府の展開する凄まじい虚偽のキャンペーンに殆ど歯が立たないことである。
『文春』の報道は、日本の外交官が中国の公安当局に脅迫され、「国を売ることは出来ない」との遺書を残して04年5月6日に自殺したこと、その事件を外務省は官邸にも報告せず、中国政府の責任も追及せずに放置し、事実上事件の隠蔽をはかってきたことを詳報したものだ。
この報道がなければ、領事が命を賭して「国を売る」ことを避けようとした上の事件は闇に葬られていたはずだ。複数の外交情報筋は『文春』の報道を“概ね正しい”と認めたうえで、同誌の取材を認識し始めた2005年暮れまで、1年7か月以上、外務省がこの件を放置してきたことを確認した。
昨年12月19日に中国に出張した泉裕泰中国課長が中国政府に抗議したのも、同月27日に佐々江賢一郎アジア大洋州局長が電話で中国臨時代理大使に抗議したのも、『文春』の取材によって彼らが隠し、放置してきた領事自殺事件が明るみに出されることを予測してのことである。状況を知れば、慌ててとったアリバイ抗議と見られても仕方がない。
外務省チャイナスクールの“親中、媚中”の体質を十分に心得ている中国政府は、事件から十数日後の、北京大使館公使による口頭での抗議に対し、「中国政府は知らなかった。調べておく」と口頭で対応しただけで、これまた、事件を放置した。中国政府が調査結果を出さずとも、日本の外交官らがまともに日本の国益を主張し、事件の真相について説明を求めてくることなど金輪際ないとタカを括っていたのであろう。日本外交の惨状を突きつけられる思いだが、事件が発覚した昨年12月以来の日中両政府の応酬を見ると、中国政府の主張には以下のように多くの虚偽と歪曲がある。
開き直る中国
まず12月27日、中国外務省の秦剛報道副局長は『文春』の報道自体を「事実に基づいたものではない」と非難したが、この反論自体が「事実に基づい」ていない。
無論、彼らは、中国の公安当局者が国際条約を無視して他国の外交官を死に追いやるほど脅迫していたなどとは、間違っても認めない。だが、報道された秦剛副局長の会見の様子は、その威圧的物言いといい、尊大な姿勢といい、これこそが中国のやり方だと、痛感させるものだった。
対する日本側は翌28日に外務省の鹿取克章報道官が記者会見し「中国側公安当局関係者により、ウィーン条約上の義務に反する遺憾な行為があった」と発表。ウィーン条約には、外交官には通信の自由が認められていること、外交官の身体の安全も保障されていること、一連の外交官特権を接受国(中国)は守らなければならないことが定められている。外交官を守るどころか脅迫して死に追いやった中国に対して、「ウィーン条約違反」「遺憾な行為」と、いずれも抽象的だが、大人しい外務省にしては踏み込んだ抗議ではあった。
すると29日、中国側の秦剛同副局長は、日本政府は「事実無根のことを言い立てて、中国のイメージを著しく損ねており、そのことに強い憤慨と抗議を表明する」と断固たる調子で述べたのだ。自らの非を指摘されれば、直ちに日本側の捏造だとして開き直る。常に日本を悪者に貶めるのが、中国政府のやり方である。
さらに31日には在日中国大使館が反論声明を出した。そのなかで中国側は幾つもの嘘をついている。第1は「事件後、中日双方は外交ルートを通じて、何度も意思疎通をはかった」という点だ。
すでに述べたように、事件は『文春』によって掘り起こされたのであり、日本外務省も事件を放置してきた。日本側が当初の抗議以来問い合わせさえしなかった同件について、中国政府が「何度も意思疎通をはかった」ことはあり得ない。中国政府はウィーン条約違反事件に封をして、自らの蛮行を隠してきたのが事実だ。
嘘の第2は「この事件は中国政府関係者といかなる関係もないことを確認した。中国側はこうしたことを日本側に説明した」との点だ。
外交官相手の恫喝が、中国政府の指示と無関係に実行されることは不可能である。いかに中国政府が否定しようとも、無関係であるとの主張を、日本のみならず国際社会が認めることはないだろう。
また、事件と中国政府が無関係であることを「日本側に説明した」との主張も嘘である。事実は、前述のとおり、日中双方共に同事件に頬被りをしてきたのだ。
「国を売る」人事は考え直せ
中国大使館の声明には、領事の自殺は「日本側は、館員は職務の重圧のために自殺したと表明、遺族の意思に基づいて、中国側に事件を公表しないよう求めた」との主張もある。こうした点について、今年1月8日、中国外務省の孔泉報道官が記者会見し、「中国の警察は当時、法に基づき日本の総領事館関係職員から事情聴取し、事実確認した。聴取記録や日本側関係者の署名もある」と述べ、再び、日本政府が捏造によって中国を貶めており、中国政府は強烈な憤慨を表明する旨、強い調子で非難した。
だが当時、中国官憲の事情聴取に総領事館の職員が応じた事実はないと、複数の外交情報筋は指摘する。彼らがいう“事情聴取”や“事実確認”の根拠に関してただひとつ推測されるのは、領事の亡骸を荼毘に付す際に、現地の警察や医務官に対して所定の手続きを踏み、所定の書類を作成したことだ。一連の手続きは事件直後の混乱のなか、皆が皆、真の事情を知らされているわけでもない段階で行われた。中国の官憲や医務官の質問に日本側職員が何かを語ったとしても、それはそれだけの話だ。中国が主張する、事件の真相を告げる事情聴取だったなどとは到底いえない性質のものであろう。
歴史を見ても、日中関係の現在を見ても、中国は自らの非は決して認めず、反対に日本を貶めるために多くの虚偽を国際社会に広めてきた。
中国政府は上海総領事館への反日デモを黙認した。サッカーのアジア杯の際に日本公使の車をボコボコにした。潜水艦で領海を侵犯した。だが、これら全てについて謝らず、東シナ海の資源を我が物顔に簒奪する。領事自殺事件も開き直るばかりだ。その中国に日本はいかに対処し、国益を守るべきか。筋を曲げて融和をはかれば中国の蛮行を受け容れることになる。日中間に真の対等な関係を築くためにも、妥協は逆効果だ。このような時こそ、国益擁護の原点を揺るがせてはならない。阿南惟茂大使の後任に、同じくチャイナスクールの宮本雄二氏の名が挙がっているが、そのような「国を売る」人事こそ、考え直すべきだろう。
中国を擁護していた外務省の改革も必要である
前記事→上海領事館員自殺に中国が反論
前記事→民間防衛を読んで、工作活動を知るべき
前記事→中国工作員の犠牲になった総領事館員続報
前記事→ホステス…
トラックバック by 反日活動から日本を守るblog2 — 2006年01月19日 23:02
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先日のエントリーで、天安門事件で民主化運動に理解を示し、失脚した趙紫陽氏の一周忌に合わせて追悼を呼びかけた民主活動家が逮捕されたニュースを紹介しました。…
トラックバック by やじざむらい的日々雑感 — 2006年01月20日 08:05
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ビザ免除法草案作成、ワシントン議会へのロビーに期待
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トラックバック by マスコミが伝えない 韓国 — 2006年01月20日 10:46
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トラックバック by マスコミが伝えない 韓国 — 2006年01月20日 10:48
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トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年01月20日 13:02
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メヂカラ
一月も半分以上が過ぎた。来週試験で二年生も終わり。なんともはや
ところで、試験前で忙しいというのにそういうときに限って他のことが気になってしまう
そん…
トラックバック by 羇鳥何時帰空 — 2006年01月20日 21:46
★ 「愛国無罪」と宋慶齢(孫文の未亡人):1930年代の中国…
「愛国無罪」について、正しく書けているサイトがまったくない。ネット上に史料を提供するために、昨日の続きで補足説明を書いておきます。ネットは本当に使えねえな…
トラックバック by 書評日記 パペッティア通信 — 2006年01月21日 04:30
インドと日本 〜 関係緊密化への道(その2)
藤田氏より「インドと日本 〜 関係緊密化への道(その2)」のご投稿を頂きましたご参照いただければ幸いです。
親日国家・インドと日本との絆を知ろう
…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年01月21日 10:58
インドと日本 縲鰀 関係緊密化への道(その2)
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人権侵害を行う左翼人権派–2ちゃんねるに工作活動が!
時々書いている2ちゃんねるの大規模オフ【福岡総合】人権擁護法案・条例反対運動OFF3 にまた粘着する輩が来訪された。
去年の騒動の発火点を起こした輩…
トラックバック by なめ猫♪ — 2006年01月21日 19:13
逆切れ@在上海領事館事件で焦りの見える外交部
前日まで「この問題に関しては、実は既に結論が出ており、日本メディアの報道には一切根拠がない」という返答のみを繰り返していた中共、秦剛が一変し、今日の外交部…
トラックバック by 中南海ノ黄昏 — 2006年01月22日 06:51
本当は恐ろしいアメリカの民主主義
本日は本会ブログに投稿いただいている大谷和正様の本をご紹介します。「世界を動かすのは誰か―国際金融財閥の罠から日本再生へ」という本で1月の中旬から有名…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年01月22日 11:05
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反国民行為
新聞に、二階経済産業大臣の一言が載っていた。
『東シナ海の試掘はやる必要を認めない』
と・・・・
いやはや、この大臣、もともとが媚中、媚江沢民だとは思っ…
トラックバック by 手前ら、日本人なめんじゃあねぇ — 2006年01月22日 11:12
有識者報告書は共産党が30年かけて準備し、狡智に構成?
昨年、11月下旬に毎日新聞は「政府内部での検討がはじまったのは1997年(平成9年)からとされ、決して小泉内閣によりこの問題が提起されたものではないことが…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年01月23日 12:17
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隠蔽・国民だましの奸賊ども−総領事館事件
写真は有名な、と言うより、誰もが呆れた、瀋陽「帽子拾い事件」___________________________
何も知らずに、「日中友好促進ために」…
トラックバック by 憂国メモランダム — 2006年01月23日 15:27
人権擁護反対運動に迫る卑劣な妨害工作(福岡)
皆さん、このスレを見てください、ただしグロイ内容に耐えられる方のみ閲覧ください
福岡人権擁護法案反対総合スレッド4
見られた方は大変不快な気持…
トラックバック by あきログ — 2006年01月23日 22:36
拝啓CIAデータ殿!(外貨・金・保有高国別ランキング)
おなじみ「CIAファクトブック」から新年度のデータを引っ張ってきた。
人気ブログランキング参加中!人気blogランキングへ
しかししかし、このデ…
トラックバック by エセ男爵酔狂記 Part-II — 2006年01月24日 03:10
皇族の意見を無視し、拙速な改定を推進する宮内庁に抗議の声を上げよう!
日本会議*国民運動通信142号を配信します。
皇室典範の拙速な改定に反対しよう
国会陳情(1/31)、緊急集会(2/1)に御参加を!
●…
トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年01月24日 07:03
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トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年01月24日 07:03
歴史の共同研究 ~アメリカの参加は中国にとって都合が悪い?~
相変わらず、無茶苦茶ですね…
情報機関強化の口実と批判 館員自殺で中国外務省系誌
FLASH24より引用
>【北京27日共同】…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2006年01月27日 12:27
外務省の対応は、中国に間違ったメッセージを送る
上海総領事館員、自殺、「対応策」で外務省幕引き図る、こんな見出しの記事が読売に載っていた。だが、これは、尾ひれをつけて、靖国、教科書、歴史認識を、事あるご…
トラックバック by よろずBLOG — 2006年01月28日 12:12
読むと腹の立つ文章
さぁ、読んで腹を立てろっ!!
「 上海領事自殺で再び中国の嘘 」 :桜井よしこWebサイト!
「 “平和的台頭”は巧妙な装い 日本孤立化に情報操作する…
トラックバック by chakuro.com-ガンプラ日記にょ — 2006年02月04日 00:28
暗躍する中国情報機関員 ~日本は今後の対応を考えるべき~
上海領事館事務員の自殺問題。
この事件で、日本外交の弱さが改めて露呈しました。
亡くなった方は」、殉職扱いだそうです。
yaho…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2006年02月17日 12:45
在上海総領事館電信官自殺事件
2006年03月31日の読売新聞1面に「中国側、機密執拗に要求…自殺上海領事館員の遺書入手」という記事がありました。私(喜八)がざっと見たところでは、同日…
トラックバック by 喜八ログ — 2006年04月07日 13:10
拉致問題、上海領事自殺にみる外交の脆弱性
横田さんがブッシュ大統領と面会するため、先日、アメリカへ行かれた。日朝両政府による拉致問題が依然進展しないので、横田さんはワラをも掴む思いでのことであっ…
トラックバック by こん — 2006年05月03日 01:53
日本政府はバカッ母、この際外務省職員の総入れ替えを!
今回の「竹島周辺の海洋調査」に関するドタバタ劇について、産経新聞に次のような記事が載った。(抜粋)↓
http://news.goo.ne.jp/new…
トラックバック by 釣りキチおやじの言いたい放題 — 2006年05月03日 17:35
中国の憲法・教育法では、日本人・アメリカ人などの存在を認めない
中国の憲法・教育法(教育基本法)について、一部内容が判明しました。
…
トラックバック by 釣りキチおやじの言いたい放題 — 2006年05月03日 17:37
自民党の敗北は、当然の帰結
23日に投開票された衆院千葉7区補選、岩国市長選、沖縄市長選において、自民党は悉く敗北したのだが、
この1日前の22日、竹島周辺海域での海洋調査を巡る日…
トラックバック by 釣りキチおやじの言いたい放題 — 2006年05月03日 17:40
福田元官房長官が握りつぶしの主犯? ~海日本総領事館の館員自殺問題で~
またしても…
「職務重圧で自殺」上海領事館、遺体引き取り時に説明
YOMIURI ONLINEより一部引用
>在上海日本総領事館の…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2006年05月15日 12:35