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2018.05.05 (土)

「 米国が求める形の非核化目指す北朝鮮問題 「リビア方式」による解決可能性を示唆か 」

『週刊ダイヤモンド』 2018年4月28日・5月5日合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1229

4月17日の日米首脳会談で、ドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三首相に、「極めて高いレベルで北朝鮮と直接対話している」と語り、その後記者団が「金正恩氏と直接話しているのか」と問うと、「イエス」と答えた。マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官が3月30日から4月1日の復活祭の連休を利用して訪朝したのだという。

いま米国の対北朝鮮外交はトランプ氏の意向を汲むポンペオ氏に加えて、国家安全保障問題担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏が軸となって構築されている。3氏共に、非核化の話し合いが失敗すれば、軍事オプションもあり得るとの考え方だ。

ポンペオ氏は正恩氏と話し合いをした後の4月12日、上院外交委員会で行われた国務長官への指名承認公聴会で、正恩体制の転換は考えていないと明言すると同時に、非核化に関して、「見返りを与える前に恒久的かつ不可逆的な成果を得ることを確実にする」と述べた。

米国側の一連の動きは北朝鮮問題が「リビア方式」による解決に向かう可能性を示唆するのではないか。

これはリビアの最高指導者、カダフィ大佐が選んだ非核化の道である。カダフィ氏は秘密裏に大量破壊兵器の製造を進めていたが、2003年12月にイラクのサダム・フセイン元大統領が地中に潜んでいたところを米軍に拘束されたのを見て、震え上がった。カダフィ氏はその3日後に大量破壊兵器を放棄する意思を世界に宣言した。

CIAと英国の秘密情報組織、MI6の要員を含む専門家集団がリビア入りし、核兵器、核製造に必要な関連物資、核運搬用のミサイル、製造施設、一連の計画に関する書類など全てを押収、化学物質はリビア国内で米英作業部隊の監視の下で破壊され、書類は全て国外に持ち出された。

カダフィ氏は全てを受け入れて生き延びた。但し、彼は10年にチュニジアでいわゆる中東の春と呼ばれる民主化運動が始まり、その広がりの中で11年に群衆に殺害された。

正恩氏が核を放棄すれば、カダフィ氏やフセイン氏のように命を奪われるという言説があるが、右の2つのケースが伝えているのは全く別の教訓ではないか。フセイン氏は核兵器を持っていなかったが持っている振りをして査察を拒否し、米軍に殺害された。カダフィ氏は核兵器製造を明らかにし、査察を受け入れ、8年間生き延びた。氏を殺害したのは前述したように、リビアの国民であり、それはカダフィ一族による専制恐怖政治が招いた結果だ。

2人の指導者の異なる運命を正恩氏が把握すれば、どちらを選べば氏の命脈が守られるかわかるはずだ。

トランプ氏は安倍首相との共同記者会見でも「成果が期待できなければ米朝首脳会談は実現しない。会談が実現しても実りがなければ退席する」と語っている。正恩氏に圧力をかけ続け、米国の求める形の非核化実現を促しているのだ。

安倍首相とトランプ氏は19日午前の共同記者会見で拉致問題についても語った。トランプ氏は拉致被害者について、「日本に帰れることを大事に考えている。私はこのことをシンゾーに約束した」と語った。救う会会長の西岡力氏は語る。

「CIAは北朝鮮の情報当局にも接触しており、拉致被害者についても語り合っていると思われます。その中で拉致被害者生存情報を得ているのではないでしょうか。その上で拉致被害者の帰国に言及しているのです。勿論、甘い期待はできませんが、拉致問題解決に向けてよい兆しだと思います」

国際政治は動いている。多くの日本人の命と運命がかかっている。国としてどう動くべきか、正念場である。日本の国会はもっとこうした大事な問題に向き合うべきだ。

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