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2007.07.14 (土)

「 決して台湾有事にとどまらない中国における軍事力行使の可能性 」

『週刊ダイヤモンド』     2007年7月14日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 698

7月3日、久間章生防衛大臣が辞任、4日、小池百合子首相補佐官が初の女性防衛大臣となった。

米軍による日本への原爆投下は「しょうがない」などの発言は、久間氏の政治家としての、いわんや防衛大臣としての資格を否定するものだ。1980年、長崎県議を経て中央政界入りして以来、歴史を理解出来ていない人物が27年間も衆議院議員を務めていたのだ。

それにしても、現在、安全保障問題は重大な局面にさしかかっている。まず私たちは、日本周辺で拡大し続ける中国の軍事力の脅威に正面から向き合わなくてはならない。

中国の当面の直接的な狙いが台湾併合であるのは、すでに多くの人びとの共通認識である。台湾向けに配備ずみの短距離弾道ミサイルは800基を超え、毎年100基ほど増え続けている。

台湾側にはこのミサイル攻撃を防ぐ手段はなく、台湾国民のあいだには一種の諦めムードさえ漂う。戦っても勝ち目はない、ならば中国と折り合いをつけ、経済的に潤っていくのも悪くはないという考えは、意外にも三十~五十代の働き盛りの人びとに根強い。圧倒的な軍事力の前に、台湾が戦う気力を喪失し、中国に屈服する道を選ぶのかもしれないと、台湾情勢を見ていて感ずるときがある。

日本もまた、盤石ではない。現在、中国は中距離弾道ミサイルの近代化を急速に進めているが、これで日本全土が攻撃目標としてとらえられてしまうのだ。加えて日本も台湾同様、中国の弾道ミサイルを防ぐ手立てを持たない。

中国が日本に対して軍事的手段を行使する第一のケースは、台湾有事のときである。中国軍の最高教育機関である中国国防大学は、その極秘報告「2010年の中国国防計画」で、今後10年間の中国の主要な作戦対象、つまり、敵は日米両国であると明記したうえで、“台湾海戦”に両国が介入するとしても「陸地発進の戦闘機が空中給油機と空中警戒・指揮機の連合により、基本的に任務を達成できる」と、自信を持って書いている。台湾をめぐっての戦いで日米両国を制圧できると確信しているのだ。

その際の中国軍の戦闘能力が、彼らが極秘報告に書いた陸地発進の戦闘機だけでないのは明らかだ。現在急速に整えつつある中距離弾道ミサイル、およびそれに搭載する核弾頭にモノを言わせるであろうことは目に見える。中国は日本に対して「台湾問題に介入すれば、東京を、あるいは大阪を核攻撃する」と恫喝するであろう。日米共同で配備しつつあるミサイルディフェンス(MD)システムの構築がいまだ不十分な今、日本の選択肢はきわめて限られている。

中国の軍事力行使の可能性は、しかし、台湾有事にとどまらない。私たちは中国が尖閣諸島に続いて、沖縄に関してどのような主張を展開してきたかを知っておきたいものだ。

尖閣諸島については、中国は92年2月の領海法によって明白に中国領だと定義し、今日に至る。他方、沖縄について、中国の国際問題専門誌「世界知識」は05年8月、「琉球王国が日本領土になったのは、日本の侵略の結果であり、第二次世界大戦後の米国からの返還も国際法上の根拠を欠く」「沖縄の主権の帰属は未確定」と伝えた。この点は、「改革者」七月号で、村井友秀・防衛大学国際関係学科教授が詳しく論じている。

こうした状況下で、日本および価値観を共有する台湾の、民主主義と安全を守るためには、日本が中国に負けないだけの軍事力を備えなければならない。それは第一に日米同盟の強化、集団的自衛権の行使に加えて、日本の軍事力整備に格段の力を入れることだ。安全保障力のあらゆる側面を最大限強化しなければならない今、安倍政権の力量が厳しく問われている。

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